今年も大晦日を迎えることとなりました(なお,拙稿「大晦日に(2012年)」も参照)。本年もご愛顧いただいた皆様にはお礼を申し上げます。この大晦日は,「平成最後」ということもあり,いろいろなところでその言葉を耳目にすることにもなりました(なお,経緯について,拙稿「天皇の生前退位と皇室典範」など参照)。

 

そんな中,今年は「死刑」が多く執行された年となり,その数は,死刑執行が再開された1993年以来最高であった2008年(~9月24日福田康夫内閣〔法相:鳩山邦夫・保岡興治〕,9月24日~麻生太郎内閣〔法相:森英介〕)と同数の15人となりました。もっとも,この数は,夏にほぼ連続して行われたオウム真理教の教祖・幹部の死刑執行(13名。拙稿「オウム真理教教祖他複数人についての死刑執行に際して(1)~(3・完)」参照)があったことの影響があるといえましょう。そして,年末を迎えた12月27日,元暴力団幹部らの強盗殺人事件を理由とする2名の執行により,15名となりました。夏のオウム教祖らの執行は,上川陽子法相の下で行われ,12月27日の2名の執行は山下貴司法相の下で行われました。

山下法相は検察官のキャリアを持っていることからすれば,死刑に対する「免疫」があり,ある意味で「アレルギー」はなかったのではないかと思われます。それだけでなく,死刑命令書の起案を担当する刑事局は検察官の巣でもあり,「馴染み」もあるのではないかと思われます。このことは,2名の執行をするということに積極的に働いた要因でしょう。なぜなら,法務省としては,「2名までなら,『2008年も15名だった』という形で先例を盾にできる」と考えていたとも思われるからです。要は,2名なら年末に執行したところで,大きなバッシングの対象にはならないだろうという政治判断があったのではないかとも思わせるのです。

 

1年のまとめが死刑という(刑事)政治的な話題にならざるを得なかったのには,やや暗澹たる気分にさせられるところではありますが,これは我々が生活する「日本」という国家の実態の一面です。


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