2回戦を前に自己練習に励む明訓について書いていました。


ピアノを使う為に西宮曙高校に行った殿馬一人。室戸学習塾戦の第3打席と第4打席(描かれていないが岩鬼のホームランの後に打席があったはずで、おそらくここでも凡退しているのだろう)に徹底的に狂わされたリズムの修復の為とのことです。第2打席まではむしろ殿馬の方が圧しているように感じられましたから、特に第3打席の衝撃が大きかったことが伺えます。

殿馬の場合は特殊としても、各々が練習に汗を流すわけですが、この大会レギュラーとして試合に出ている渚が控え選手達をまとめている感じなのが面白かったですね。次の世代のリーダー候補でしょうか。


『大甲子園』はここで6日目第3試合に飛びます。巨人学園vs呉です。

9回表まで0−0、ヒット数は巨人学園が2安打、呉が8安打。呉の8安打0点は問題でしょう。

巨人学園で気になるのが9回裏が6番から始まること。ヒット数が2安打ですから、ランナーがこの2人だけとすると9番から攻撃が始まる筈。6番から始まるためには巨人学園の残塁が8ないといけません。巨人学園の残塁が8なら、8安打の呉の攻撃と何ら変わらないという事になります。

ヒットは真田一球の2安打。あと6の出塁(それも四死球かエラー)ありながら「快調宮島」と言われる理由を考えてみましょう。


6つの出塁のうち4つは理由がわかります。巨人学園で脅威なのは一球の足、それは呉高校も理解していたでしょう。この試合、一球が何番を打ったのかわかりませんが、1番以外ならば全打席一球の足を封じる方法があります。前のランナーをわざと出塁させればいいのです。そのランナーが一角か呉九郎のように鈍足ならば最良です。明訓戦のオーダーをヒントに、一球が当初一角をトップで起用していたことを踏まえ、巨人学園の主要キャラ4人が

「1番一角、3番一球、4番九郎、5番司」

となったと仮定して、試合の流れを考えてみました。


1回 一角四球。2番法市送りバント。一球四球。九郎三振。司レフトフライ

3回 三原セカンドゴロ。一角四球。法市送りバント。一球レフト前ヒット。九郎三振。

6回 法市四球。呉三振。一球右中間二塁打。司敬遠。手塚スクイズ失敗。三原三振。

8回 法市三振。呉四球。一球四球。司ショートライナーでダブルプレー。


少し司にブレーキになってもらう必要があるが、これなら四球が全て故意四球になる。四死球をこれだけ出しても「快調宮島」と言えるだろう。

逆にいえば、翻弄してくる一球の野球を狂わせる最高の手段が、一球の足を封じる事である。それを証明してしまった。

さらに一角を2回歩かせているのも効く。バッターとして2番目に怖いのが一角だろう。一角を歩かせれば一角に長打も打たれることはない。

ここまで書いて、やはり巨人学園にとって堀田は重要なキャラである事に気づかされた。1番堀田ならばこのような策はとれない。「快調宮島」と抑えられる事はなかっただろう。

ただ、もし堀田がいれば理想は「1番一球、2番堀田、3番司、4番一角」と並べるのがいいと思うが。


それはさておき、9回裏に突如宮島が乱れ呉は敗れたが、ひょっとしたらかなり策士のチームだったかと思うと残念である。


漫画では描かれていないが、この試合の後に注目のカード花巻vs松尾商がある。以前に書いたように、 福岡大会で博多どんたくに勝っている。勝手に想像したスピンオフは添付の通りである。



この試合、描かれていないことが本当に惜しい。ちょっと想像してみたいが、選抜で「渚で十分」と言われた花巻打線だから、想像されるのは投手戦である。
そして試合を左右させたのは、両校のモチベーションだろう。「打倒明訓」を目指す花巻と、おそらく多くの選手が「博多どんたくに勝って甲子園」という結果に満足していそうな松尾商である。最終的に花巻が競り勝つ事になったのは自明なので事と思われる。
スコアとしては2−0か3−1だと思っている。

それでは、以降次回である。