ドローン初心者が知らず知らずのうちに法令に違反しないために必要な考え方 - その空は、誰のもの? | Art of the World - カメラを持って、旅に出よう

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10年以上定期的に世界を旅しています。それらの旅の記録を写真と共に残しています。2024年3月現在渡航国と地域は65。

 

「ドローン 検挙」

 

なんかで検索すると、検挙事例がたくさんヒットします。

凄く勉強になります。

 

そんな事例の中には、「これ、結構多くの人が知らず知らずやりかねないのでは」と思ってしまうような、

うっかりやってしまいそうな事例も散見されました。

 

私も購入前から関連法について勉強していたのですが、
決まりごとの整理でなく、
基本的な考え方の観点から少しまとめてみたいと思います。



 

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空の上からでしか撮影できない風景は、大変素晴らしいものです。

私も富山の美しい景色をたくさん発見していきたいと思っています。

ドローンは視界の可能性を大きく広げてくれる、素晴らしいツールです。

 

ただ、まず、大前提として、

ドローンは、重く、高速で動き、鋭いプロペラが高速旋回する、非常に危ない代物です。
こんな危ないものから人・動物・物・自然 etc...

を守ってくれるような法律が存在するのは極自然なことといえるでしょう。

そもそも、100g以上の重量のドローンは全て、無人航空機です。

自動車を路上で走らせる前に道路交通法を学校で学ぶように、

航空機たるドローンも、航空機関連の法律の理解無しに飛ばしてはいけません。

 

以上、ドローンによる空撮を行うには、

安全運転意識だけでは全然足りず、

個人の想像を超えた色々なことも網羅的・横断的に検討して設計された規制を理解し、

それらを全て守らなければなりません。

 

罰金で済んだならまだしも、

人・動物・物・自然 etc... を傷つけることは全力で避けなければならないでしょう。

 

 

 

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それらの「色々なこと」の一つとして、「所有権」があります。

 

 飛ばしたい「空」は誰のものか。

 

これを常に念頭に入れておく必要があります。

 

もう一点は、そもそも飛行機が飛んでいい空域かどうかということですね。

例えば皇居の上を勝手に飛行機が飛んで良い訳はなさそうです。

であれば、それを制約する法律や条例といった決まり事が存在するはず。

そして、同じ原理で、飛行機を飛ばしていけない空域が他にも設定されている可能性がある。

 

以上2点の理解を確保した上で、

 

・アルコール・薬の影響が無い

・危険な操縦をしない

・人・物件の一定範囲内に入らない

etc...

 

などといった「正しい飛ばし方」により飛行します。

※当局のホームページなどで必ず違反規定を確認しましょう

 

 

 

① 空域

ドローンフライトナビなど、飛行禁止マップを確認します。

 

 

 

 

 

② 土地

飛行計画の経路直下にある土地の所有者に飛行許可を確認し、必要に応じて申請をします。

宅地のような私有地でしたらその家の方に許可をもらわなければなりません。

そう、空とは、ある高さまではその直下の土地の所有者のものなのです。

これが頭に入っていれば多くのうっかりトラブルを回避できる可能性が高まると思います。

 

え?

飛行機って民家の上飛んでない?

それ一軒一軒確認してるのかな?

と疑問に思いましたが、

よくよく調べると、民法の規定により、

土地直上(そして直下)の一定範囲内が、所有権の及ぶ範囲となるそうです。

飛行機はその範囲より更に高いところを飛んでいるということですね。

 

ではドローンはその所有権の及ぶ範囲の上を飛べばいいのではないか…というとそうはいきません。

一定以上の地上高度(2024年6月18日現在、150m以上)の飛行には、

資格を持った上で、国土交通省への申請と、その申請の承認が必要になります。

しかし、地上高150m程度までの空はすべて、その直下の土地の方の所有物となります。

 

行政が所有・管理している土地であれば、

行政に「飛ばしたいのですが、許可は出されているでしょうか」と電話なりメールなりで確認すれば、

許可を出されている場所であれば申請の書式、提出先、料金等を案内してくれるはずです。

まったく許可を出さず一切禁止を宣言している場所もあります。

富山県内だと海王丸パークや、太閤山ランドなど。



 

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以上、

A. 以下を頭に入れて飛行計画を作り、

 - 自分の持つ資格で基本的に可能な飛行範囲・時間

B. 以下を確認した上で、

   ① 飛ばしていい空域か

 ② 飛ばしていい土地か

C. 正しい飛ばし方にて飛ばす

 

という3点が重要となります。

 

そしてここまでの話でわかる通り、

ドローンって事前の諸々の確認・計画なく勝手気ままに飛ばしていいものでは一切ないという事です。

「よっし天気いいからドライブがてら河川敷に行ってドローン飛ばすか」と、

ふらっと気分で、下調べもしないで行ったドライブ先の河川で飛ばす、ということはしてはいけません。

 

その河川敷の離着陸ポイント、そして経路直下の川・河川敷の所有者・管理者は誰でしょうか。

その所有者・管理者は、河川敷は公共空間だから自由に遊びにきていいよと開放しているのかもしれませんが、

上空或いはドローンについてはどんなポリシーなのでしょうか。

これに即座に回答できなければあまりにまずい飛行ということですね。
 

 

 

また、従って、残念ながら、

国土交通省の承認無くドローンを飛ばしていい空域に土地を所有していない方は、

ドローンを飛ばすにあたってハードルがあるということになります。

常に誰かしらに許可を取らなければ離陸ができないという意味です。

他人の敷地や、許可の無い公園なんかでちょっとでも浮かせたらもうアウトです。

 

私は自宅がDIDの中ですが、

私の勤め先はDIDで無いところに所在しており、

そして敷地内に非常に広い更地を保有しています。

会社からは「安全に十分配慮して飛ばすように」と注意の元、

特に会社への申請不要での飛行許可をもらっているので、

私は比較的飛ばしやすい環境を持っているといえます。

 

こういう環境の無い方は、ドローンパークと呼ばれる、

ドローンを飛ばす空間を提供している施設で練習するのがいいかもしれませんね。

年間いくらで契約し、2時間使用ごとにいくら、みたいな料金体系のところが富山県内にもありました。

 

 

 

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私が思う、初心者がやりがちだけど、

ドローンで知らず知らずのうちに法令に違反しないために必要な考え方とは、

 

ドローンはラジコンでない。100g以上は無人航空機である。自動車と同じく登録が必要であり、航空法の対象となる。

ドローンの飛行経路は行き当たりばったりではいけない。必ずポンチ絵を書いておく。

空には境界がある。(国内だと)国土交通省が空を区分しており、境界を隔てて規制のレベルが変わることがある。

③ 空はすべて所有権のない空間でなく、誰かの所有物である。所有者に許可をもらう必要がある。

 

ということではないかなと思いました。

このあたりが頭に入っていれば、

 

「みなとみらいで、近くの家電量販店で買ったDJIを早速離陸させたところ、巡回中の警官に職務質問され、検挙された」

 

を"うっかり" やることにはならないのではないかと思います。

 

以上ドローンをよくご存じの方には当たり前のことかと思いますが、

私がドローン購入時のことを思い出し、これ何も知らずに買ってたら、うっかりやりかねなかったな、と思ったことの根底にある考え方の観点からまとめてみた次第です。