前回: https://ameblo.jp/junwxyz/entry-12611812832.html
朝。
気が付いたら外は明るくなっていました。
前日かなり飲んでいましたが、テキーラがいいお酒だったのか気持ち悪さはありません。
清々しい2019年の始まりでした。
---
この日はセモンコンと並ぶレソトのもう一つの名所、マレアレアを訪れることにしていました。
マレアレアへ行くには一度首都のマセルに上がり、そこでマレアレア行きのシェアバスを捕まえることになります。
一日で移動するには宿を早めに出る必要がありました。
そこでお別れを言うためにエリカとロバートにテキストを送りますが反応なし。
二人の棟の前まで行ってはみましたが、カーテンが閉まっていました。昨晩僕は早々にパーティーを抜けましたが、結構遅くまで残っていたとしたら、チェックアウトギリギリまで寝ていることでしょう。
これが最後かもしれないから、残念だな。
そう思った瞬間、自分の中のある変化に気が付きました。以前は、別れの度に「またいつか会えるさ」、という気持ちになっていたものですが、この時は明確に「二度と会うことがない可能性が高いんだろうな」という思いになっていました。
歳を重ねるごとに、人生の可能性が狭まっていくのを無意識に感じていたのでしょう。
この変化に気づいた途端、無性に切なくなりました。
---
コテージに戻ろうとしたところ、エリカとロバートの隣の部屋の中に居た女性に声をかけられました。
南ア人のマニシャです。マニシャは、同じく南ア出身のご主人、南ア系の金融機関に勤めるアレックスのレソト駐在で一緒に移住。
フリーランスでマーケティングのコンサルタントをしているマニシャがクリスとタイアップしてレソトの企業向けトレーニングを企画した縁で、この宿に年越しに来ていました。
自分「あっおはようございます。」
マニシャ「おはよう、どうしたの?」
自分「もうマセルに行くのでロバートとエリカにお別れ言いに来たんですけど、寝てるみたいで。」
マニシャ「マセルに行くのね。私とアレックスもマセルに戻るところだけど、車乗って行く?」
文字通り渡りに船。丁重に御願いしました。
マニシャ「チェックアウトするから受け付け集合ね。」
レセプションの前に居ると、BMWのX5がやってきました。いい車乗ってるな…
アレックス「おはよう。昨日は楽しかったね。」
自分「おはようございます。よろしくお願いします。」
アレックスがおもむろに荷室を空けて、クーラーボックスからビールをくれました。
アレックス「飲みながら待ってて。」
運転手に悪いですが…と思ってたら二人も飲んでいた。
(Xperia XZ1 compactで撮影)
---
マセルまでは1時間ちょっと。車内では色々な話をしました。
アレックス「日本人と話すのは初めてだよ。日本にもいつか行ってみたいな。」
自分「いつでもどうぞ。案内しますよ。Ya come to Japan anytime you want. I will be your personal tour guide」
筋骨隆々な鍛えられた体にタトゥーが映えるアレックス、最初は少し緊張しましたがとっても気さくな良い人でした。
アレックスとマニシャは幼なじみとのこと。とても仲が良さそうです。
しかしBMWのX5を颯爽と乗りこなすこのご夫婦。かなり稼いでいそうです。
---
あっと言う間にマセルの近くまで来ました。自家用車だと1時間ちょっとですが、シェアバスできたら、お客さんが集まる時間も含めて3時間はかかるでしょう。助かりました。
郊外のレストラン併設のスーパーマーケットに車を止めます。
アレックス「お昼食べて行こうか」
二人のおかげでマレアレア行きの時間は少し余裕がありました。朝ごはんも食べていなかったし、何より二人ともう少し話したかったので、是非とご一緒しました。
レソト人の若者がオーダーをとりに来ます。二人とは顔なじみのようでした。
マニシャ「元気?紹介するわ、He is our latest friend」
一番新しい友達 - 素直に嬉しいです。
パイントでビールを飲んだ後、追撃でアレックスが5Lはあろうかというビア樽を注文し、ガンガン飲ませてきます。
自分「ちょっ、これ以上酔ったらマレアレア行けなくなります」
アレックス「まぁまぁそう言わず」
治安が良いとはいえ、見知らぬアフリカの大地の旅。
酔っ払ったら危ない。と言いつつ飲んでしまいました。遠い日本から来た異邦人をもてなそうというその優しい気持ちが嬉しくて。
名残惜しいですが、日が沈む前にマレアレアに着くためには、そろそろマセルを出ないと。
アレックス「元気で。またいつか。」
ガッチリと握手を交わします。
またいつか、会えますように。
---
マセルのバスステーションまではマニシャに送ってもらいました。
マニシャ「気を付けてね。」
自分「ありがとうございました。素敵な時間でした。」
マニシャのX5を見送り、マレアレア行きのバスを探します。
地元の人「あーマレアレアこっちじゃないよ、あっちのバスステーション」
マジか。20kg近い荷物を抱えたまま、酔っ払ってふらふらしながら10分くらい歩いて着いた別のバスステーションで、
地元の人「マレアレアは今日直通便が無いから途中で乗り換えだよ」
うーんこんな酔っ払ってて乗り継ぎ大丈夫だろうか。
---
地元民が乗るバスで
(Xperia XZ1 compactで撮影)
車窓の景色は相変わらず素晴らしく、見入っているうちに寝てしまいましたが、幸いバスの同乗者たちがとても親切で、乗り換えるべきところで起こしてくれました。
しかしそこで悲劇が起きました。酔いが全然醒めていなかったため、動きが適当になり、降車の際、まずモンベルのいいお値段がしたスパッツの膝を車内の金具にひっかけて破いてしまいます。
「やべ」
しかも悪いことに、20kgあるバックパックを適当な姿勢で引っ張ったためか…
ピキッ!!!!!
「…!!!!!!!」
腰に来ました。
まさかこの年でぎっくり腰をやるなんて。
---
無事に乗り継いだハイエースで、マレアレアへの分岐点で下してもらいました。
ここからマレアレアまで3km。ヒッチハイクしようかとも思いましたが、酔いは醒めているので歩くことにしました。
腰には鈍い痛みが続きますが、歩くのは意外と大丈夫でした。
数百メートル歩いたところでセダンが止まってくれました。地元民のようです。
助かりました。
いよいよマレアレアに着きました。マレアレアの奥にある、マレアレアロッジの前で降ろしてもらいました。
お金を渡そうとすると困惑した表情をされました。清廉な二人の親切に感謝する一方、ガス代はお支払いしないと、と握ってもらいました。
この道の向こうにマレアレアロッジが。
(Xperia XZ1 compactで撮影)
---
マレアレアロッジにチェックインします。
予約はしていませんでしたが、空きがそこそこありました。年始だからでしょうか。
一人で泊まるには広いトリプルベッドの部屋に案内されましたが、一泊あたりの値段は一人分でした。
そろそろ日が沈みかけているマレアレア、少し散策することにしましたが…
なんだか切なくなる景色。
美しい。
来て良かった。
夜は敷地内のバーでビールを飲んでゆっくりと。
しかし昨日から飲んでばかりだな。
続きます。