
2026年6月19日付 SNEPシングル&アルバムチャート
※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)
【シングルチャート】
1 Piré - Mauvais djo
2 Sexy Nana - Aya Nakamura & La Rvfleuze
3 Pineapple - Leto
4 Pocahontas - PLK
5 Maladie - Mauvais djo
6 Dai Dai - Shakira
7 Melodrama - Disiz, Theodora
8 René Caovilla - Gambi
9 Dracura - Tame Impala
10 Elle voulait - RnBoi
【アルバムチャート】
1 you seem pretty sad for a girl so in love - Olivia Rodrigo
2 Byakugan - Kaaris
3 Casus belli - Le Crime
4 EX VOTO - Kalash
5 Destinée - Aya Nakamura
6 Oubliez-moi - JuL
7 The Cat - Nono La Grinta
8 Grand garçon - PLK
9 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims
10 Sarah B. - Bello & Dallas
シングルチャートは前週の1位と2位が、3位と4位が入れ替わりました。新たな1位はMauvais djoの「Piré」です。
6位にShakira(シャキーラ)の「Dai Dai」が38位から急浮上。コロンビア生まれの女性ラテンポップシンガーで49歳。6月11日(現地時間)にメキシコシティのアステカ・スタジアムで行われたFIFAワールドカップ北中米大会の開会式で、大会公式テーマソングのこの「Dai Dai」を歌いました。FCバルセロナにいた元サッカー選手のジェラール・ピケと2010年から事実婚状態になり子どもが2人いますが、ピケが女子大生と不倫したために2022年6月に別れました。
今週のアルバムチャートの1~4位はニューエントリーが揃いました。1位はアメリカ・カリフォルニア州マリエータ出身の23歳の女優にして歌手、Olivia Rodrigo(オリヴィア・ロドリゴ)の3枚目の新作「you seem pretty sad for a girl so in love」(全部小文字/日本語タイトルは「恋に落ちた女の子にしては、なんだかずいぶん悲しそうだね」)で6月12日のリリース。UKチャートでも1位でした。彼女は10代でディズニー・チャンネルのドラマに出演して人気に火がつき、2021年1月のシングル「drivers license」で歌手デビューするや、全米ビルボード・チャートで初登場から8週連続1位という新記録を樹立しました。同年5月発売のデビューアルバム「SOUR」もチャート初登場首位で、2023年のセカンドアルバム「GUTS」(最高全米1位)と合わせると全世界でアルバムセールス3600万枚以上を記録しています。
アルバム2位はKaaris(カーリス)の「Byakugan(ビャクガン)」で6月12日のリリース。カーリスはワールドカップで先日、土壇場でドイツに逆転負けしたコートジボワールで生まれ、3歳でパリ北東郊外セーヌ=サン=ドニ(Seine-Saint-Denis/93)県スヴラン(Sevran)に移住してここで育った46歳のベテランラッパー。Booba(ブーバ)との関係については「永遠のライバル」とだけ言っておきましょう。アルバムタイトルは日本のアニメ「NARUTO(ナルト)」の日向一族が受け継ぐ眼力の秘術で、漢字では「白眼」と書きます。収録曲はハードでダークなトラップへ「原点回帰」しているのだそうです。
Kalash(カラシュ)が6月12日に出した新作「EX-VOTO(エクス・ヴォート)」が今週アルバムチャート4位。カラシュはアルザス地方バ=ラン(Bas-Rhin/67)県の大都市ストラスブール(Strasbourg)生まれの38歳。ルーツがカリブ海のフランス海外県マルティニーク(Martinique)島なのでヒップホップもレゲエもやります。コンゴ系の覆面ラッパーKalash Criminel(カラシュ・クリミネル)とはコラボもしていますが別人です。
アルバムタイトルの「EX-VOTO」はラテン語で「教会への奉納品」を意味し、カトリック教会では願いがかなうと教会のキリスト像や聖マリア像、聖人像に捧げます。現代では眼病が治れば目を、足のケガが治れば足をかたどった銀製の工芸品を買ってきて奉納することが多いようです。
Le Crime(ル・クリム)
今週のアルバムチャート3位に6月12日リリースの18曲入りの「Casus belli(カスス・ベリ)」が初登場したLe Crime(ル・クリム)は、ワインで世界的に有名なジロンド(Gironde/33)県ボルドー(Bordeaux)出身のラッパーです。年齢不詳。2021年ごろから「Ingrat」という曲がTikTokなどソーシャルメディアで注目されるようになり、2025年には「La Vague」(7月発売)と「Après La Vague」(10月発売)という2枚のアルバムを出して、ラップフランセの世界では一定の知名度を獲得しました。
Apple Musicによると影響を受けたラッパーはJuL、Niaks、Lacrimだそうですが、彼の作風は名前が示すような危険で野性味あふれるダークなトラップを主体に、メロディアスな要素(メロ)、オールドスクール的なリリック重視のヒップホップの要素もからまった独特なものになっていて、それが一種ミステリアスな風味を醸し出しています。
名前が知られても、あくまでも地元ボルドーを拠点にしたソーシャルメディアを駆使する「一匹狼」的な独自の活動を続け、パリやマルセイユ方面のメジャーなラッパーたちとは一線を画してきましたが、新作アルバム「Casus belli」ではパリ17区出身のLeto(レト)とのコラボ曲「Ballon d'Or」(バロンドール/サッカーの世界最優秀選手賞)、セーヌ=エ=マルヌ県出身で、7歳年上のAya Nakamura(今週シングル2位、アルバム5位)と2025年から事実婚状態にある24歳のラッパーRKとのコラボ曲「Barbie」が収録されています。他には2024年に出したシングル「Oulala」も入っているこのニューアルバムをひっさげて、6月26日にはナント、7月5日にはベルギーのリエージュでライブがあります。
アルバムタイトルの「Casus belli」ですが、これは外交や戦時国際法の用語で「戦争の原因」とか「開戦の口実」を指し、もともとはラテン語です。たとえば「居留する自国民の保護」とか「武装集団の越境攻撃」を口実に宣戦布告をして戦争を始めたら、その理由が「カスス・ベリ」と呼ばれます。もっとも最近は宣戦布告なき戦争ばかり起きていますが、それは1928年の「パリ不戦条約」(ブリアン=ケロッグ協定ともいい、63か国が署名し現在も有効)で戦争それ自体が全て違法とされ、宣戦布告が法的な正当性を欠いてしまったからです。フランスのラッパーは毎週毎週、中世史とかベル・エポックとか法律用語とかラテン語とか、いろいろと勉強させてくれます。
では、そのアルバムの収録曲から、5月2日に動画が公開されたシングル「Médaillon(メダリオン)」をお聴きください。タイトルは「メダルのような円形のもの」を広く指す言葉ですが、この曲の歌詞(palores)が「Pour nous y'aura pas d'médaillon(俺たちはメダルを持てない)」と始まり、その後にネガティブでドロドロしたフレーズが続くので、単に栄誉の授与品のメダルを指しているようです。
Le Crime(ル・クリム) - Médaillon (Clip Officiel)
では、また来週
À la semaine prochaine!






















