2024年11月8日付 SNEPシングル&アルバムチャート
※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)
【シングルチャート】
1 Cartier Santos - SDM
2 Sois pas timide - Maître Gims
3 Sous la lune - JuL
4 Pour elle - SDM
5 Spider - Maître Gims, Dystinct
6 4 Kampé - Joé Dwèt Filé
7 Minimum Ça - Dr.Yaro
8 Ça parle mal - Bouss
9 Collabo - Ninho & Niska
10 Die With A Smile - Lady Gaga & Bruno Mars
【アルバムチャート】
1 Songs Of A Lost World - The Cure
2 Goat - Ninho & Niska
3 Pyramide 2 - Werenoi
4 À la vie à la mort - SDM
5 BDLM Vol.1 - Tiakola
6 Le Nord se souvient - Maître Gims
7 La symphonie des éclaires - Zaho de Sagazan
8 Babel Babel - Indochine
9 Depuis le temps - Bouss
10 X - Calogero
今回は11月11日がフランスの国民の休日「Armistice 1918」(第一次世界大戦の休戦記念日)だったため、SNEPチャートの発表も、ブログの配信も1日遅れになりました。ちなみに第二次世界大戦のヨーロッパ戦線でナチス・ドイツが降伏した5月8日も「Victoire du 8 mai 1945」で祝日です。8月15日は「Assomption」(聖母被昇天の日)というローマ・カトリックの祝祭日で、もともと国民の休日です。
28歳のコンゴ系のラッパー、SDMのアルバム「À la vie à la mort」(今週4位/9月26日発売)の収録曲「Cartier Santos」が今週もシングルチャート1位です。SDMは彼のミドルネームSadamの略ですが、15歳でラッパーとしてデビューした時は「SADAM KADAFI 92」という、今は亡きイラクとリビアの独裁者を合わせたような怖い名前でした。
3位にフレンチラップの帝王JuLの「Sous la lune」が浮上。6位に「4 Kampé」が登場したJoé Dwèt Filé(ジョエ・ドウェット・フィレ)は、セーヌ=サン=ドニ(Seine-Saint-Denis/93)県モントルイユ(Montreuil)生まれ。ハイチ系で29歳のアフロ・カリビアンのシンガーソングライター。2021年6月15日号でご紹介しています。レディー・ガガ(Lady Gaga)とブルーノ・マーズ(Bruno Mars)のコラボ曲でアメリカのビルボードチャートで最高2位になった「Die With A Smile」が、フランスでもシングル10位に入りました。
アルバムチャート1位は前週のNinho & Niskaの「Goat」に代わってUKのロックバンド「The Cure(ザ・キュアー)」の16年ぶりの新作「Songs Of A Lost World」が登場。それ以下のトップ10は前週と同じ顔ぶれからルアンヌ・エメラの「Solo」が圏外に去りました。フランスのロック・レジェンド、アンドシーヌ「Babel Babel」が今週も8位で粘っています。
The Cure(ザ・キュアー)
1978年の結成から今年で46年、2019年には「ロックの殿堂」入りしているUKの超ベテランバンド、The Cure(ザ・キュアー)が16年ぶり14枚目のスタジオアルバム「Songs Of A Lost World」を11月1日にリリースし、UKのチャートでも、今週のフランスSNEPチャートでもいきなり1位になりました。現在は5人編成。フロントマンのロバート・スミス(Robert Smith)は現在65歳で白髪も目立つようになりましたが、2023年には世界33か国、90公演の「Shows Of A Lost World」ツアーを打ち抜いて、その健在ぶりをアピールしています。
ロンドンの南、ウエスト・サセックス州クローリー(Crawley)で、同市出身のロバート・スミスを中心に結成され、1979年にアルベール・カミュの小説「異邦人」にインスパイアされたシングル「Killing An Arab」でメジャーデビューしました。2008年の前作「4:13 Dream」まで、アルバムを全世界でトータル約3000万枚以上セールスしています。1984年と2007年のフジロック・フェスティバルでライブパフォーマンスを披露しています。
ジャンルとしては「オルタナティブ」とされることが多く、知的で文学的なリリック、しばしば「死」をイメージさせる陰鬱で幻想的、宗教的、退廃的な作風、芸術的なアートワークなど、いわゆる「ゴシック趣味」のマニアックな世界観でカルトな人気を得てきました。評論家はデヴィッド・ボウイの影響を指摘しているようですが、フランスであれば、ミレーヌ・ファルメールが好きな人なら、ザ・キュアーも好きになれそうな感じがあります。
ザ・キュアーは分派活動、解散騒ぎ、内紛に起因するメンバーチェンジを繰り返しながら、一貫してロバート・スミスの強烈すぎる個性に支えられてきたバンドで、今回の久々のニューアルバムも彼が全ての曲を作詞、作曲、編曲しています。
その収録曲から先行シングルリリースされたオープニングチューン「Alone」をお聴きください。「This is the end of every song we sing, alone」で締めくくる終末観に満ちたそのリリックは、相次ぐ肉親の死と失恋に加えて肺を病み、アルコールに溺れた末に32歳で夭折したヴィクトリア朝時代(世紀末)の英国のデカダン詩人アーネスト・ダウスン(Ernest Dowson)に影響されたものだと、ロバート・スミスは語っています。
The Cure(ザ・キュアー) - Alone
では、また来週
À la semaine prochaine!