仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスの歌。シャンソン・ポピュレール。
 
2026年6月16日号

 

2026年6月12日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Sexy Nana - Aya Nakamura & La Rvfleuze

 2 Piré - Mauvais djo

 3 Pocahontas - PLK

 4 Pineapple - Leto

 5 Melodrama - Disiz, Theodora

 6 René Caovilla - Gambi

 7 Maladie - Mauvais djo

 8 Elle voulait - RnBoi

 9 Dracura - Tame Impala

 10 I Knew It, I Knew You - Taylor Swift

 

【アルバムチャート】

 1 Drakkar - Alonzo

 2 Oubliez-moi - JuL

 3 Sarah B. - Bello & Dallas

 4 Destinée - Aya Nakamura

 5 The Cat - Nono La Grinta

 6 Grand garçon - PLK

 7 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 8 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 9 Et si j'échoue - Bouss

 10 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 

 シングルチャートはAya NakamuraとLa Rvfleuzeの「Sexy Nana」が4週連続1位。9位までは前週と同じ顔ぶれで順位が入れ替わっただけでした。10位にTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の「I Knew It, I Knew You」が登場。ディズニー映画『Toy Story 5(トイ・ストーリー5)』のサウンドトラックとして書き下ろした新曲で、6月5日のリリースです。

 

 Bello & Dallas

 アルバムチャート3位に6月5日発売の14曲入りセカンドアルバム「Sarah B.(サラ・ベー)」が初登場したBello & Dallas(ベロ&ダラス)は、ブルターニュ地方の中心都市、イル=エ=ヴィレーヌ(Ille-et-Vilaine/35)県レンヌ(Rennes)出身のラップデュオです。トラップとメロディアスなアーバンポップが融合したような作風が特徴で、ファーストシングル「Export」を2024年7月に、ファーストアルバム「FUGA」を2025年12月に出しています。

 アルバムタイトル「Sarah B.」とはレンヌ市内にある22階建て、高さ65メートルの公営高層住宅「Tour Sarah-Bernhardt(サラ・ベルナール・タワー)」の略称で、1963年に完成しました。Bello & Dallasの二人は少年時代ここに住んでいましたが、その頃には第一次大戦前の「ベル・エポック(Belle Époque)」時代を象徴する大女優、芸術家の名とは似ても似つかぬ荒廃した建物になっていたそうです。彼らのそこでの日々を回想するような曲が収録されています。

 なお、サラ・ベルナールは公式にはパリ15区生まれで、幼少時にブルターニュ半島の先端にあるフィニステール(Finistère/29)県カンペルレ(Quimperlé)に住んでいたもののレンヌの町とのご縁はないのですが、レンヌ市は彼女の名前を広場、公園、市場などさまざまな施設に冠して「街おこし」に利用しています。

 

Alonzo(アロンゾ)


Alonzo

 Alonzo(アロンゾ)の6月5日リリースの12枚目の17曲入りスタジオアルバム「Drakkar(ドラッカー)」が今週、いきなりアルバムチャート1位に登場しました。2022年の前作アルバム「Quartiers nord」(最高3位/「マルセイユ北部地区」という意味)リリース直後の2022年5月31日号でくわしくご紹介していますが、1982年7月にマルセイユで生まれたラッパーで現在43歳。本名はKassimou Djaeといい、コモロ系です。

 1994年、いとこのSoprano、Vincenzo、モロッコ出身のDJ Sya Stylesと4人で、マルセイユを拠点に主にギャングスターラップをやるグループ「Kids Dog Black(KDB)」を結成し、翌年「Psy 4 de la Rime」と改名して2002年にアルバムデビューしています。ソロデビューは2009年で、翌2010年のセカンドアルバム「Les temps modernes」が最高7位になり、以後、JuLをボスとするラップフランセのマルセイユ・コネクションの一員として「13 organisée」に参加するなど、実績を重ねてきました。

 2015年の「Règlement de comptes」以降、リリースしたアルバムは8作連続でトップ10に入っていて、シングルでも2022年にNinho、Napsと組んで出した「Tout va bien」が1位にのぼりつめています。

 さて、Mous-K、L2B、Guy2Bezbar、RnBoi、KeBlackらが参加したアロンゾの新作アルバムのタイトル「Drakkar」とは、中世にヨーロッパ各地を荒らしまわったバイキング(ノルマン人)の海賊船のことです。収録曲「Drakkar(Interlude)」(Interludeとは「間奏曲」という意味)の短い歌詞の中でも、「On a débarqué en drakkar.  On a tout chargé sur le zodiac.  Tout ça pour finir sur un yacht,  Yeah」(拙訳:俺たちはバイキングの海賊船を下船して、荷物を全てゾディアックに積み込んで、最後はそれをみんなヨットの上に乗せたんだ。イエイ)とあります。マルセイユは古代ギリシャ時代から地中海の港町です。

※「ゾディアック(ZODIAC)」とは、フランスのゾディアック・エアロスペース社が1939年に生産を開始したゴムボートです。当初は軍用の上陸用舟艇でしたが、戦後、海洋ドキュメンタリーの映画やテレビ番組で日本でも有名になったボルドー出身の海洋学者、ジャック=イヴ・クストー(Jacques-Yves Cousteau/エミール・ガニヨンÉmile Gagnanとともにスキューバダイビング器具の発明者)が七つの海の海底探検で愛用していたこともあって世界的なプレジャーボートのブランドに成長し、現在ではエンジンつきゴムボートの代名詞のようになっています。

 なお、バイキングに由来する「Drakkar」という言葉ですが、現代のフランスでは「ギ・ラロッシュ(Guy Laroche)」ブランドの男性用香水「Drakkar Noir(ドラッカー・ノワール)」を指す場合もよくあり、この伊達男御用達の「甘く危険な香り」の発売が自分が生まれた年と同じ1982年ということで、アロンゾも特別な思い入れがあるのかもしれません。

 では、アルバム収録曲から6月2日発売のシングル「100MILLE」をお聴きください。歌詞に「Mon contrat vaut 10 Richard Mille (Calcule)」(拙訳:オレの契約金はリシャール・ミルの10個分あるんだ(計算してくれ))とありますが、その「Richard Mille(リシャール・ミル)」とは2001年創業のスイスの超高級腕時計ブランドで、東京のブランドショップでは1000万円、1億円単位の値段がついています。贅沢を誇示するのはアメリカでもフランスでも、ラッパーあるある。

 

Alonzo(アロンゾ)- 100MILLE (Clip Officiel) 

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスの歌謡曲チャート
 
2026年6月9日号

 

2026年6月5日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Sexy Nana - Aya Nakamura & La Rvfleuze

 2 Piré - Mauvais djo

 3 Pocahontas - PLK

 4 Pineapple - Leto

 5 Melodrama - Disiz, Theodora

 6 Elle voulait - RnBoi

 7 René Caovilla - Gambi

 8 Dracura - Tame Impala

 9 hate that i made you love me - Ariana Grande

 10 Maladie - Mauvais djo

 

【アルバムチャート】

 1 Oubliez-moi - JuL

 2 Grand garçon - PLK

 3 Blanco Nemesis - Booba

 4 The Boys of Dungeon Lane - Paul McCartney

 5 The Cat - Nono La Grinta

 6 Destinée - Aya Nakamura

 7 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 8 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 9 Et si j'échoue - Bouss

 10 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 

 シングルチャートはAya NakamuraとLa Rvfleuzeの「Sexy Nana」が3週連続の1位です。エソンヌ(Essonnes/91)県エヴリー=クールクロンヌ(Évry-Courcouronnes)出身のコンゴ系28歳のラッパー、Mauvais djo(ムーヴェイズ・ジョー)は「Piré」が2位、「Maladie」が10位と2曲がトップ10入りしました。DisizとTheodoraの「Melodrama」は5位を維持。

 アメリカの歌姫、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)の「hate that i made you love me」が9位に初登場しました。PSGのCL連覇で注目されたNono La Grintaの「Paris」は今週11位で惜しくもトップ10入りならず。フランス人の関心はすでにワールドカップのフランス代表にいってますか? 16日(現地時間)の初戦の相手は2002年開幕戦で負けたセネガル代表。

 アルバムチャートの1位は3週連続でJuLの「Oubliez-moi」。2位はPLKの「Grand garçon」が粘っています。

 アルバム4位は、解散からもう56年も経過しましたが元ビートルズのポール・マッカートニー(Paul McCartney)83歳が5月29日にリリースした18枚目のスタジオソロアルバム「The Boys of Dungeon Lane(ダンジョン・レインの少年たち)」です。ダンジョン・レインはイングランド・リヴァプール南部のスピーク地区に実在する通りの名前で、ポールが少年時代を過ごした家の近くにあります。「ペニー・レイン(Penny Lane)」も、ジョンの家の近くにあった救世軍の戦災孤児収容施設「ストロベリー・フィールド(Strawberry Field)」の跡地も歩いて行ける範囲ですが、効率よく回れる「マジカル・ミステリー・ツアー」(笑)というツアーバスが運行されています。

 

Aya Nakamura

 Aya Nakamura(アヤ・ナカムラ)が2025年11月に出した通算5枚目の18曲入りスタジオアルバム「Destinée」(最高1位)が今週、アルバムチャートで6位に再浮上しました。シングルチャート3週連続1位の「Sexy Nana」による波及効果とみて間違いないでしょう。

 マリ共和国の首都バマコ(Bamako)で生まれ、フランスのセーヌ=サン=ドニ(Seine-Saint-Denis/93)県オルネー=スー=ボワ(Aulnay-sous-Bois)で育った「アフロ・トラップの女王」は、2024年7月のパリ五輪開会式でのパフォーマンスでその名が世界に知られました。Ayaは本名(Aya Danioko)ですが、Nakamuraはアメリカのテレビドラマ『HEROES/ヒーローズ』に登場するマシ・オカ(岡政偉/東京都渋谷区出身)が演じる超能力を操る日本人「ヒロ・ナカムラ(Hiro Nakamura/中村広)」に由来します。

 

【Fête de la musique 2026(音楽の日2026)】

 夏至の日、6月21日(日)は、1982年にミッテラン政権のジャック・ラング文化相の提唱で始まった「Fête de la musique(音楽の日)」です。フランスでも全世界でも日本でも、数々の音楽イベントが開催されます。

・フランス文化省の公式サイト(フランス語)

  https://fetedelamusique.culture.gouv.fr/

・パリとイル・ド・フランス地方で開催される「音楽の祭典2026」のプログラム(日本語)

 https://www.sortiraparis.com/ja/nyusu/ongaku-sai/guides/53382-paritoiru-do-furansuno-yin-le-ji2026-konsatonopuroguramu

・音楽の祭日2026〜音楽でつなぐMUSIC MARATHON〜(Fête de la musique au Japon/日本語)

 https://www.mediatv.ne.jp/ongakunosaijitsu/

・アンスティチュ・フランセ東京/東京日仏学院(6月27日開催/日本語)

 https://event.exantenna.net/tokyo/fete-de-la-musique.html

 

Booba(ブーバ)


Booba

 5月28日にリリースされた約2年ぶり13作目の新作スタジオアルバム「Blanco Nemesis」が今週、アルバムチャート3位に初登場したBooba(ブーバ)について、これまで当ブログでは2020年5月19日号を皮切りにアルバム「Ad vitam æternam」が1位になった2024年2月20日号まで何度もご紹介してきましたが、今回以降は彼の「黒歴史」とも言えるKaaris(カーリス)との「オルリー空港事件」に触れるのも、「武闘派」とレッテル貼りするのもやめにしまして、一人のヒップホップのミュージシャンとして、純粋に音楽の話だけで通したいと思います。フランスの芸能ゴシップのブログではなく、音楽ヒットチャートのブログですので……。

 プロフィールを改めてご紹介しますと、1976年12月、陶磁器の「セーヴル焼」で有名なオー=ド=セーヌ(Hauts-de-Seine/93)県セーヴル(Sèvres)生まれの49歳。本名はÉlie Yaffa(エリ・ヤッファ)といいセネガル系です。

 今や伝説と化したラップデュオ「Lunatic」を経て25歳でソロデビュー。2002年のファーストアルバム「Temps mort」は最高2位。2004年のセカンドアルバム「Panthéon」は最高3位で、2006年のサードアルバム「Ouest Side」で初の1位を獲得します。以後、最高1位のアルバムは「Lunatic」(2010年)、「D.U.C」(2015年)、「Trône」(2017年)、「Ad vitam æternam」(2024年)と計5枚もあり、ラップフランセの世界では少々遅咲きながら大物ラッパーの道を歩んできました。

 ギャングスタラップやトラップの影響を受けたハードコアな作品が多いですが、日本でも知られる映画『TAXi』シリーズのサントラを手がけたり、自前のレーベル「92i」を創設してDamsoら後輩ラッパーを世に送り出す一方、アパレルブランド「Unkut」を立ち上げて商業的に成功させています。その資金力に物を言わせ、曲のPVではいつも映画のような映像世界を展開しています。その点に限れば「男版ミレーヌ・ファルメール」と言えるかもしれません。

 さて、新作「Blanco Nemesis」のタイトルは、スペイン語で「白」を意味する「Blanco」と、ギリシャ神話の女神ネメシス(Nemesis)を組み合わせています。ネメシスは、人間が神に対して傲慢な態度をとった時、罰として神の怒りを下す「復讐の女神」で、そこから転じて「宿敵」とか「天罰」を意味する場合があります。ブーバの最高7位だった2015年のアルバムのタイトルが「Nero Nemesis」(黒いネメシス/Neroはイタリア語で「黒」)でしたので、それと対をなす続編的な位置づけのアルバムではないかと話題を呼んでいます。なお、ブーバには「El Blanco」というスペイン語のニックネームがあるので、それとも因縁があるのかもしれません。

 今週のシングルチャートでは収録曲の「Kendall」が14位に入っていますが、今回はオープニングチューンの「Nemesis」をお聴きください。歌詞(paroles)には「Templiers」という言葉が頻繁に出てきますが、これは中世の「テンプル騎士団」のことで、十字軍が華やかなりし頃の1119年に設立され、当初は聖地エルサレムの巡礼者の安全を守る役割を担っていましたが、次第にヨーロッパ随一の「金貸し集団」に変質。今で言う銀行業務も行っていたものの、1314年、教皇庁により「異端」と認定されて壊滅しました。しかし、現在も「聖遺物を隠し持っている」「財産を地中海の小島に隠している」「オカルティックな秘儀をやっている」など数々の「伝説」がささやかれ、小説や映画、最近はRPGの題材になっています。

 ブーバは以前からヨーロッパをはじめイスラム圏、アフリカ、インド、中国、ネイティブ・アメリカン、日本(ラフカディオ・ハーンの「怪談(Kwaidan)」)など世界中の神話や伝説の類に関心を示していて、それが彼のリリック、PVの独特な持ち味になっています。オカルト雑誌「ムー」がフランスにあれば、きっと愛読者になっていたでしょう。ちなみにその愛読者を「ムー民」と呼ぶそうです。こっち向いて♪

 

Booba(ブーバ) - Nemesis (Clip Officiel)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスの歌謡曲Chanson Populaire
 
2026年6月2日号

 

2026年5月29日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Sexy Nana - Aya Nakamura & La Rvfleuze

 2 Pocahontas - PLK

 3 Piré - Mauvais djo

 4 Pineapple - Leto

 5 Melodrama - Disiz, Theodora

 6 Dracura - Tame Impala

 7 Elle voulait - RnBoi

 8 René Caovilla - Gambi

 9 Billie Jean - Michael Jackson

 10 Nuevayol - Bud Bunny

 

【アルバムチャート】

 1 Oubliez-moi - JuL

 2 The Cat - Nono La Grinta

 3 OFFSHORE - So La Lune

 4 Hatelove - Joé Dwet Filé

 5 Grand Garçon - PLK

 6 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 7 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 8 DeBÍ TiRAR MáS FOToS - Bud Bunny

 9 Pyramide 2 - Werenoi

 10 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 

 シングルチャートはマリの首都バマコ出身の「アフロの女王」Aya Nakamuraとパリ19区出身の「新世代ラッパー」La Rvfleuzeがデュエットした「Sexy Nana」が2週連続の1位。Mauvais djo(ムーヴェイズ・ジョー)の「Piré」が前週の8位から3位にランクアップしました。22週連続1位という偉大な記録を築いたDisizとTheodoraの「Melodrama」は5位に後退。盛者必衰、世のならい。アルバムチャート1位は前週に引き続いてJuL(ジュール)の「Oubliez-moi」です。

 

Nono La Grinta

 アルバム2位に5月22日発売の「The Cat」が初登場したNono La Grinta(ノノ・ラ・グリンタ)はパリ10区生まれで19区で育った20歳のラッパー。コンゴ系。2025年8月19日号でくわしくご紹介しました。彼の愛称「Black Cat」にちなんだタイトルのファーストアルバムは最高3位のヒットシングル「Love You」(今週13位)は収録されていますが、パリ・サンジェルマン(PSG)が2025年、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)を制した後に最高2位の大ヒットを記録した「Paris」は入っていません。5月30日、PSGはPK戦の末にアーセナルを破ってCL連覇を果たしたので、次週6月5日付ではその「Paris」(今週35位)がシングルチャートでジャンプアップする可能性があります。

 アルバム4位にJoé Dwèt Filé(ジョー・ドウェ・フィル)の新作「Hatelove」が入りました。5月22日リリース。ハイチ出身の31歳のシンガーソングライターで、ハイチの「コンバ」、グアドループやマルティニークの「ズーク」、トリニダード・トバゴの「カリプソ」などアフロ・カリビアンの音楽をベースとした独自の音楽世界を築いています。2021年にアルバム「Calypso(カリプソ)」が最高4位になったほか、同年、カーボベルデ(セネガル沖の島国で今月、北中米大会でワールドカップ初出場)出身の歌姫、Ronisia(ロニシア)をフィーチャーしたシングル「Jolie madame」も最高10位になるなど、フランスのチャートでも実績があります。

 8位にBad Bunny(バッド・バニー)の「DeBÍ TiRAR MáS FOToS」が再浮上し、シングルチャートでも「Nuevayol」が10位。この人はプエルトリコです。さらにシングル11位には「Jamaican」が入るなど、次に紹介するミュージシャンがいたコモロも含めて「島国に良き音楽あり」の「法則」(?)が開花した週でした。

 

So La Lune(ソ・ラ・リュンヌ/だから月)


So La Lune

 今週のアルバムチャート3位に、5月22日リリースの15曲入りのセカンドアルバム「OFFSHORE(オフショア)」がチャートインしたSo La Lune(ソ・ラ・リュンヌ)は、日本ではアーティスト名を「だから月」と日本語で紹介してくださいというご本人の希望があります。過去に2023年12月19日号、2025年5月27日号でくわしく解説しました。

 1997年2月、リヨン生まれの29歳。両親は旧フランス植民地のコモロ連合(Union des Comores)なるインド洋のほとりの島国からの移民です。学校をサボりがちだったので、心配した父親は14歳の彼をリヨンからコモロの学校に転校させ、母親の実家から高校卒業まで通っていました。現地では、東アフリカのザンジバル、マダガスカル、インドネシアにイスラム神秘主義「スーフィスム」などの要素が混然一体となった独特の音楽文化に影響を受けたそうです。

 フランスに戻ってからはパリで暮らし音楽活動に専念。2019年、22歳でラッパーとしてメジャーデビューします。2019年末にリリースした「Fissure de vie 23」がYouTubeで30万回以上の再生回数を記録。2020年7月のミックステープ「Tsuki」(日本語の「月」)も好評で、それ以来、ラップフランセの主流派と距離を置いた「ニューウェイヴ・ラップ」を志向しています。2021年のシングル「Rodé」がゴールドディスクになり、2022年には2作目のミックステープ「Fissure de vie」(人生の亀裂)を出し、2025年5月に出したEP「Nouveau produit」はアルバムチャートで最高7位になるなど、音楽活動はおおむね順調に推移しています。

 曲は明るめながら歌詞は私小説的で、空虚感、孤独、死、心的外傷後ストレス障害、統合失調症、ドラッグ中毒など、自らの内面、精神世界に向かったものが多いようです。彼が特に好きなものが「宇宙」と「日本」で、忍者に関心を示したり、来日して新宿の歌舞伎町や渋谷の道玄坂でPVを撮ったこともあります。

 2023年11月、手塚治虫のアニメ「雨ふり小僧」にちなんで名づけたファーストアルバム「L'enfant de la pluie」がSCH、Khaliの参加を得て最高7位になって以来、約2年半ぶりに出した新作のタイトルは「OFFSHORE(オフショア)」。本来、船やサーフボードが「沖合の」「岸から離れて」という意味の英語の単語ですが、経済用語ではタックスヘイブン(Tax Haven/租税回避地。天国を意味するHeavenではありませんのでご注意)での金融取引を指す場合や、製造業の海外生産、ソフトウェアの海外開発を指す場合があります。

 ちなみに彼がハイティーン時代に暮らしていたコモロ連合は、国際金融の世界ではカリブ海のケイマン諸島、バミューダ諸島、バージン諸島などが英米法系・英語圏のタックスヘイブンなのに対して、大陸法系の法体系のもとフランス語の手続きで会社を設立できるタックスヘイブンとして、モナコやルクセンブルクとともにフランスやベルギーの大企業に「愛用」されています。「英米法系」「大陸法系」とは何ぞやについては、法律を勉強したお友だちに聞いてください。

 それはともかく、ジャケットやPVから察するにOFFSHOREの意味は「沖合の」の方と思われます。戦略的にそうしているのかどうかわかりませんが、Ninho、Genezio、Green Montana、Moha MMZが参加した新作アルバムの収録曲からは外されている4月9日公開のシングル「Azeu Freestyle Offshore」をお聴きください。

「Azeu」はフランス語では「(女の子に)ゾッコン夢中だ」とか「興奮している」とか「(アルコールやクスリで)ハイになっている」といったニュアンスの俗語「Azeulé」の省略形です。言葉の裏にあるそんな下世話な事情はAI翻訳ではなかなか出てこないんですね……。

 歌詞(paroles)冒頭の「Ça va tant qu'le compte y est,Yaska quepi,j'dois continuer」は、要するに自分の銀行口座にカネは順調に入っているよ、カネの心配はいらないよということ。その次にある「Cotillard」とはエディット・ピアフ役で第80回アカデミー賞主演女優賞を受賞したフランスの女優マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)のことらしいです。

 

So La Lune(ソ・ラ・リュンヌ/だから月)- Azeu Freestyle Offshore (Clip Officiel)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスのシャッソン・ポピュレール
 
2026年5月26日号

 

2026年5月22日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Sexy Nana - Aya Nakamura & La Rvfleuze

 2 Pocahontas - PLK

 3 Melodrama - Disiz, Theodora

 4 Pineapple - Leto

 5 Dracura - Tame Impala

 6 Billie Jean - Michael Jackson

 7 Elle voulait - RnBoi

 8 Piré - Mauvais djo

 9 Beat It - Michael Jackson

 10 René Caovilla - Gambi

 

【アルバムチャート】

 1 Oubliez-moi - JuL

 2 JOŸA - Tayc

 3 Iceman - Drake

 4 Grand Garçon - PLK

 5 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 6 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 7 Pyramide 2 - Werenoi

 8 Insolent - Mous-K

 9 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 10 Arirang - BTS

 

 新たなシングルチャート1位は、前週7位だったAya NakamuraとLa Rvfleuzeの「Sexy Nana」です。エミール・ゾラもジャン・ルノワールも(ドロシー・アーズナーもクリスチャン=ジャックも)、草葉の陰で喜んでいるでしょう、か?

 長期政権を築いた2枚、PLKの「Pocahontas」は2位、DisizとTheodoraの「Melodrama」は3位に後退。生きていれば67歳のマイコーは今週もシングル6位と9位にチャートイン。伝記映画は欧米で公開中で、日本では6月12日に封切りです。

 シングル8位はMauvais djo(ムーヴェイズ・ジョー/「悪太郎」?)の「Piré」で、前週の23位からトップ10に浮上。タイトルは「最悪」という意味です。コンゴ系の28歳のラッパーで、エソンヌ(Essonnes/91)県エヴリー=クールクロンヌ(Évry-Courcouronnes)出身。同じÉvry出身のMC YOSHI(日本人ではありません)、Kokosvoiceと2023年に3人組グループ「TRIANGLE DES BERMUDES」(トリアングル・デ・バルミュデ、略してTDB/日本では70年代に雑誌「ムー」やバリー・マニロウのヒット曲で知られた北大西洋の魔の海域「バミューダ・トライアングル」のこと)を結成。TDBは「Charger(突撃する)」が2025年7、8月にシングル最高2位になり、2025年8月12日号でくわしく解説しています。Mauvais djoはソロでも2021年からシングルを数多く出してきた実績があり、ディエゴ・マラドーナに追悼曲を捧げたこともあります。パリのクラブシーンでMC、DJとして活躍中です。

 

JuL

 今週のアルバムチャート1位に、今やMaître Gimsなどと肩を並べるラップフランセの大御所、国民的ラッパーと化した観のあるマルセイユ出身の36歳、JuL(ジュール)の26枚目(仕事熱心!)のアルバム「Oubliez-moi」が貫禄の初登場。5月15日リリース。「私を忘れてください」という意味のタイトルは、彼にとってデビュー3年目にあたる2015年のシングル曲と同じです。原点回帰ですか? JuLのプロフィールについては2025年5月13日号でくわしく解説しました。

 アルバム2位は、この人もマルセイユ出身のTayc(タイク)が5月15日に出したニューアルバム「JOŸA(ホジャ/ジョイア)」がチャートインしました。タイトルはスペイン語で「宝石」という意味。タイクはカメルーン系30歳のアフロポップ・シンガーで、R&B、アフロビートにヒップホップをフュージョンさせ、なまめかしいヴォーカルで歌う「アフロラブ(Afrolov')」という独特のスタイルで人気を得ています。新作アルバムにはアヤ・ナカムラ、ララ・ファビアンがヴォーカルで参加しています。人脈が幅広いですね。

 タイクのアルバムのオープニングチューンは「ÿ-Prologue:2 Mai 1826」。その1826年5月2日とは、女優にしてフランス大革命の革命戦士で、フェミニストの先駆け的存在でもあったクレール・ラコンブ(Claire Lacombe)がパリでその61年の生涯を全うした日付です。エベール派だったために1794年にロベスピエールが牛耳る公安委員会に逮捕されますが、直後にテルミドール9日のクーデターが起きたため、同じくフェミニストの先駆けとしてパリ3区の広場にその名を刻むオランプ・ド・グージュ(Olympe de Gouges)のようにギロチンにかけられるのを間一髪、免れています。総裁政府によって釈放されますが復古王政時代には精神病院に送られるという数奇な運命をたどりました。革命前に舞台女優として活動していたマルセイユのラルク通り19番地に彼女の記念銘板があるので、タイクはそれを見たことがあるのかもしれません。

 アルバム3位にはカナダの超大物ラッパー、ドレイク(Drake)の9枚目のアルバム「Iceman」が入りました。5月15日に「Habibti」「Maid of Honour」とともにアルバム3枚を同時発売。タイトルは彼とディスりあう「宿敵」ケンドリック・ラマー (Kendrick Lamar)がリル・ウェインの2005年の「Fireman」に参加したのに当てつけたものらしいですが真相はいかに。ビーフ(beef)で仲良くケンカしな。誰かさんのように混雑する空港ロビーで殴りあうよりマシです。

 

Mous-K


Mous-k 

 今週のアルバムチャート8位に、5月15日リリースのセカンドアルバム「Insolent(アンソラン)」(「生意気な」「横柄な」「不遜な」という意味)が初登場したMous-Kは、コンゴ系で26歳の新進ラッパーです。1999年12月にマルセイユで生まれ、生年月日をタイトルにした「7 Décembre 99」という曲がありますが、本人いわく「5歳か6歳頃に」パリの南約30キロの場所にあるエソンヌ(Essonnes/91)県コルベイユ=エソンヌ(Corbeil-Essonnes)の町に引っ越したので、自身は「僕はマルセイユ生まれのパリジャンだ」と公言しています。イル=ド=フランス地域圏に住めばパリジャンと名乗れるのなら、「江戸っ子」よりも相当広範囲でいいんですね。

 2019年、名刺代わりに出した「Rentre dans le 91」がYouTubeで再生回数300万回以上を記録してヒップホップシーンに名乗りをあげました。ラップフランセの世界では県番号を名乗るのは地元愛の証明になります。その地元エソンヌ県出身の先輩ラッパーFSK(すでに引退)とは特に親しかったそうです。5歳年上のマルセイユのラッパー、Elams(エラムズ)の協力を得てミックステープ「La Quicka」(ラ・クィカ/「メデジン・カルテル」を率いた悪名高きコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバル子飼いの刺客ムニョス・モスケラの異名。NYで逮捕されて終身刑の判決を受け、現在はバージニア州で収監中)を出したのに続き、2020年11月にファーストアルバム「Tour 23」を出しています。その後、アルバム制作では約6年のブランクがありましたが、パリを中心にライブ活動はコンスタントに続けていました。

 Mous-Kの音楽の特徴は、年齢のわりに落ち着いていて大人っぽいメッセージ性があるリリック(paroles)でしょうか。同世代がカネやドラッグや女の子やサッカーなどなどワイワイ陽気にラップしている中、Mous-Kは郊外(Banlieue)の若者が経験するようなそれなりのトラブルに巻き込まれながら、ストリートに横たわる現実の中で「自分の人生は、これでいいのだろうか?」と自問自答するような曲を書いていました。そのスタイルはPLK、Alonzo、Guy2Bezbarなど有名どころも参加している新作「Insolent」の16曲にも反映しています。

 収録曲からサン=ドニ出身のドリルラッパーのフランス代表、Gazo(ガゾ)をフィーチャーして4月3日に先行シングルリリースされた「Life」をお聴きください。泣く子も黙るシカゴのサウスサイド地区から生まれたドリルラップですから、その歌詞では10代から悪いこと、いっぱいいっぱいやってきましたと、日本語なら放送禁止用語になるワードも含めて「過去形」で語っていますが、言外に「これから俺は、どうするんだ?」というニュアンスが含まれているかのようです。聖アウグスティヌスのように、青少年時代に悪事をやり尽くすと回心して最後は聖人になれる、という期待もありますか?

 

Mous-K - Life ft.Gazo(Clip Officiel)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランス国旗とChanson Populaireの文字
 
2026年5月19日号

 

2026年5月15日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Pocahontas - PLK

 2 Melodrama - Disiz, Theodora

 3 Pineapple - Leto

 4 Elle voulait - RnBoi

 5 Billie Jean - Michael Jackson

 6 Dracura - Tame Impala

 7 Sexy Nana - Aya Nakamura & La Rvfleuze

 8 René Caovilla - Gambi

 9 Beat It - Michael Jackson

 10 Mon Bébé - RnBoi

 

【アルバムチャート】

 1 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 2 Grand Garçon - PLK

 3 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 4 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 5 GREENGREEN - Cortis

 6 Pyramide 2 - Werenoi

 7 Michael:Songs From The Motion Picture - Michael Jackson

 8 Arirang - BTS

 9 DeBÍ TiRAR MáS FOToS - Bad Bunny

 10 Mega BBL - Theodora

 

 前週に引き続きシングルチャート1位はPLKの「Pocahontas」、2位はDisizとTheodoraの「Melodrama」です。7位にマリ出身の「アフロ・トラップの女王」Aya Nakamuraさん31歳が、24歳のセネガル系のドリルラッパー、La Rvfleuze(ラ・ルヴフルーズ)とデュエットする「Sexy Nana」が初登場しました。

 遊び人の男子が、ブランド物を買いまくる女の子ナナと付き合っていることを自慢し、女の子のほうは「私はセクシーなイケてる悪女(baddies)」「あんたとは相性が悪いのよね(impatible)」と開き直る歌詞。疲れそう。ナナというタイトルと浪費ぶりから、巨匠ジャン・ルノワール監督が映画化したエミール・ゾラの小説「ナナ」を連想したあなたは教養ある人です。La Rvfleuzeはアルバムチャートでも「Numéro d'écrou」(囚人番号)が3度目の1位についています。RnBoiがシングルの4位と10位に2曲チャートインしています。

 

Cortis

 アルバム5位に韓国のK-POPボーイズグループCortis(コルティス)の「GREENGREEN」がチャートインしました。5月4日にリリースされた2枚目のEPで、6曲入り。コルティスは現在17~20歳の男子5人組で、2025年8月にシングル「What You Want」、同年9月にEP「COLOR OUTSIDE THE LINES」を発売してデビューしています。

 

Crystalo(クリスタロ)


Crystalo

 6月11日(現地時間)、男子サッカーのワールドカップ北中米大会が開幕します。5月14日にはフランス代表のディディエ・デシャン監督によって出場メンバー26名が発表されました。2018年ロシア大会では優勝、2022年カタール大会では優勝をメッシがいるアルゼンチンに譲って準優勝している「レ・ブルー(Les bleus)」「ル・コック(Le coq)」ことフランス代表は、今大会も優勝候補の最右翼です。

 その応援ソングが「Imbattables」(「無敵」とか「不屈の精神」という意味)で、大会が始まって勝利を重ねれば、7月のフランスのSNEPシングルチャートで上位に食い込んでくるかもしれませんので、先回りして今、ご紹介しておきます。

 サッカーと言えば、2025年5月にパリ・サンジェルマン(PSG)がUEFAチャンピオンズリーグで初優勝を遂げた後、今週「LOVE YOU」がシングル11位につけているNono La Grinta(ノノ・ラ・グリンタ)の「Paris」がPSGの応援ソングとみなされ、シングル最高2位のヒットを記録しました。PSGは今季もリーグ・アンを制し、チャンピオンズリーグでも決勝に進出していますから、もしも5月30日の決勝戦でイングランドのアーセナルを破って連覇を遂げたら6月のチャート上位に「Paris」が再登場するかもしれません。

 それはともかく、代表チームのほうの応援ソング「Imbattables」のヒップホップ調の楽曲のアーティスト名は「Crystalo(クリスタロ)」です。「誰?」と思っても無理ありません。実はCrystaloは生身の人間ではないからです。曲がAI(人工知能)で作成された、いわば「ヴァーチャル・ラッパー」で、「フランスでは初めての存在」だそうです。2025年12月には新年2026年の年明けを前にして「26」というタイトルのシングルを出しています。

 クリスタロはフランス代表の3回目の優勝を熱望する熱狂的なサポーターという「キャラクター設定」で、「Imbattables」の歌詞(paroles)ではエムバペ、ドゥエ、デンベレ、オリーセ、バルコラなど、フランス代表に選ばれた選手の名前を熱く連呼します。有力視されながらも代表を外されたカマヴィンガは入っていません(2月ネット公開なのにすでに知ってた?)が、なぜかLamine(スペイン代表のラミン・ヤマル)やVini(ブラジル代表のヴィニシウス)の名前があります。国籍変更の願望だとしたら、ちょっとやりすぎかもしれませんが……。

 それはともかく、クリスタロは実は有名ラッパーが陰で操っている「世を忍ぶ仮の姿」だという噂があります。Mohamoud Yasinという参加アーティスト名がクレジットされていますが、同姓同名のエジプト人の映画俳優は2020年に79歳で亡くなっているので別人と思われます。マグレヴ系フランス人でサッカーが大好きなラッパーが怪しい? 聴きながら「陰の覆面ラッパー」の正体が誰なのかを推理するのも、また一興でしょうか。

 

Crystalo(クリスタロ) - Imbattables (Hymne des bleus)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランス国旗と「Chanson Populaire」の文字
 
2026年5月12日号

 

2026年5月8日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Pocahontas - PLK

 2 Melodrama - Disiz, Theodora

 3 Pineapple - Leto

 4 Elle voulait - RnBoi

 5 Dracura - Tame Impala

 6 Billie Jean - Michael Jackson

 7 René Caovilla - Gambi

 8 Beat It - Michael Jackson

 9 Spa - Maître Gims, Theodora

 10 Avec moi - RnBoi ft.Nono La Grinta

 

【アルバムチャート】

 1 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 2 Grand Garçon - PLK

 3 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 4 Michael:Songs From The Motion Picture - Michael Jackson

 5 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 6 Arirang - BTS

 7 Pyramide 2 - Werenoi

 8 Mega BBL - Theodora

 9 Sombre mélodie - Landy

 10 DeBÍ TiRAR MáS FOToS - Bad Bunny

 

 今週、シングルチャートは前週の1位と2位が入れ替わり。PLKの「Pocahontas」が3月20日付以来の1位にのぼりつめ、DisizとTheodoraの「Melodrama」は2位に後退しました。

 6位に「Billie Jean」、8位に「Beat It」が浮上して、故・Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)の曲がシングルトップ10に2曲チャートイン。アルバム「Michael:Songs From The Motion Picture」の収録曲で、伝記映画『Michael/マイケル』の公開効果は絶大です。字幕作成の手間がかかるためか、日本では6月12日に劇場公開されます。主演は彼の兄ジャーメインの息子で実の甥、29歳のジャファー・ジャクソンです。

 

La Rvfleuse

 アルバムチャートでは今週、新作の登場はなく、La Rvfleuze(ラ・ルヴフルーズ)の「Numéro d'écrou」(囚人番号)が4月10日付以来の1位に再浮上しました。この24歳のセネガル系のドリルラッパーについては2026年3月3日号でくわしくご説明しています。前週1位だったマイコーの伝記映画のサウンドトラック盤は4位に後退しています。

 8位のコンゴ系女性ラッパーTheodora(セオドラ)の「Mega BBL」(2月のヴィクトワール音楽賞で最優秀アルバム賞を受賞)と、10位のプエルトリコのアーティスト、Bad Bunny(バッド・バニー)の「DeBÍ TiRAR MáS FOToS(デビ・ティラール・マス・フォートス)」が、アルバムチャートのトップ10に返り咲きました。

 

PLK


PLK

 今週、シングル1位に「Pocahontas」、アルバム2位に「Grand Garçon」がチャートインしたPLKは、2023年4月25日号、2026年3月24日号で少しご紹介したことがありますが、1997年4月、パリ14区生まれで現在29歳。本名はMathieu Pruskiといい、父親はポーランド系で、ステージネームのPLKはポーランド人を指すPolak(ポラック)の略です。母親は地中海のコルシカ島アジャクシオ(Ajaccio)出身で、皇帝ナポレオン1世、アリゼ(Alizée)と同郷です。

 9歳で作詞、13歳で作曲を始め、14歳で近所の仲間とバンドを結成。ラッパーKrisyの助力で2017年6月、20歳でミックステープ「Ténébreux」「Platinum」でラッパーとしてソロデビューします。2018年10月にはファーストアルバム「Polak」を出して最高6位。Maître GimsがいたSexion d'AssautのメンバーLefaや、Sofiane、SCH、Nekfeuなどフレンチラップの有名どころともコラボレーションし、映画『Taxi 5』のサウンドトラック制作にも参加していますから、デビュー当時からその才能を見込まれていたのでしょう。

 その後、アルバムでは2020年の2枚目の「Enna」が最高2位、2023年の「2069'」が最高2位、そして2024年の「Chambre 140」で初の1位になります。シングルでは2019年の「Un peu de haine」、2023年の「Demain」が最高1位でした。2024年にはGazo、Hamza、JuLとコラボしたシングルがトップ10入りし、2026年に入ってからは今をときめくTheodoraとコラボしたシングル「Sex Model」が最高3位になっています。そのようにPLKは今やチャート上位常連の一角を占めるまでになっています。2021年には、PSGとマルセイユが対戦するリーグ・アン伝統の一戦「ル・クラスィク(Le Classique)」にちなんでJuLが企画したパリとマルセイユ周辺のラッパーが集結するプロジェクト「Le classico organisée」に参加しました。

 シングル「Pocahontas」は、3月13日にリリースされ最高1位になった17曲入りスタジオアルバム「Grand Garçon」の収録曲で、アルバムと同時発売されています。3月20日付では、それまで22週も1位を保持していたDisizとTheodoraの「Melodrama」を押しのけてシングルチャート1位の座につき、今週5月8日付で再び1位になりました。

 シングルのタイトルのPocahontas(ポカホンタス)は17世紀のネイティブ・アメリカンのヒロインで、アメリカ人ならたいてい小学校の授業で習って名前を知っているほどの人物です。1995年にディズニーのアニメ映画『ポカホンタス(Pocahontas)』が劇場公開され、ヴァネッサ・ウィリアムス(Vanessa Williams)が歌う主題歌「Colors of the Wind」がヒットしました。

 映画は現在のヴァージニア州の先住民ポウハタン族の首長の娘ポカホンタスが、村を訪れた英国人の開拓者ジョン・スミスと出会って恋におちながらも白人入植者と先住民の争いに巻き込まれ、なんとか戦いは食い止めながら最後は別れ別れになるというストーリーです。1998年には、ポカホンタスが別の英国人と結婚してロンドンに渡る続編『ポカホンタスII/イングランドへの旅立ち(Pocahontas II: Journey to a New World)』が製作されますが、本編のほうが史実を大幅に歪曲・美化したとネイティブ・アメリカンの団体がディズニーを批判したためなのか、劇場公開されずにビデオだけが発売されました。

 さて、PLKの楽曲のほうのポカホンタスですが、歌詞(Paroles)は良く言えばセンチメンタル、悪く言えばデレデレなラブソングで、こんなフレーズをリフレインしています。

「Oh baby, dis-moi comment on fait? Nous deux,c'est comme dans les films, mais en vrai. Elle, c'est un avion d'chasse, oulala l'avion d'chasse. Dès que j'l'attrape, on trace loin, c'est ma Pocahontas」

(拙訳:おおベイビー。どうすればいいのか教えてよ。僕たち二人、映画の中にいるみたいだ。いや、現実なんだ。なんてこった。彼女は戦闘機だ。彼女を捕まえたらすぐに、僕らは遠くへ飛び立つ。彼女は僕のポカホンタスなんだ)

 アニメ映画では愛と平和、自然との共生、異文化との共生などが盛り込まれましたが、それとは無関係なようです。

 PLKは9月、Theodora、La Rvfleuzeなど、いまチャートをにぎわせている面々をゲストに、サン=ドニの「スタッド・ド・フランス」で2日間のスタジアム・ライブを予定しています。

 

PLK - Pocahontas(ポカホンタス)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスの歌謡曲シャソン・ポピュレール
 
2026年5月5日号

 

2026年5月1日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Melodrama - Disiz, Theodora

 2 Pocahontas - PLK

 3 Pineapple - Leto

 4 Elle voulait - RnBoi

 5 René Caovilla - Gambi

 6 Dracura(Remix) - Tame Impala

 7 Spa - Maître Gims, Theodora

 8 Beauty And A Beat - Justin Bieber ft.Nicki Minaj

 9 B.M.S.(By my side) - Rambo Goyard

 10 Love You - Nono La Grinta

 

【アルバムチャート】

 1 Michael:Songs From The Motion Picture - Michael Jackson

 2 Décennie - Gradur

 3 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 4 Grand Garçon - PLK

 5 Sombre mélodie - Landy

 6 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 7 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 8 Magma - Le Rat Luciano

 9 Arirang - BTS

 10 Pyramide 2 - Werenoi

 

 シングルチャートは今週も1位がDisizとTheodoraの「Melodrama」で、2位がPLKの「Pocahontas」でした。シングル9位に2026年2月24日号でくわしくご紹介したRambo Goyardの「B.M.S.」が、10位に2026年4月14日号でご紹介したNono La Grintaの「Love You」が、それぞれトップ10に再浮上しています。

 今週のアルバムチャートでは「春の新作」が続々と登場しています。1位は人呼んで「King of Pop」ことMichael Jackson(マイケル・ジャクソン)。不世出のスーパースター・マイコーが2009年5月に亡くなって、早いものでもう17年。アルバム「Michael:Songs From The Motion Picture」は伝記映画『Michael/マイケル』のサウンドトラック盤で、13曲を収録して映画公開に合わせて4月24日、全世界で発売されました。なお、今週のシングル16位に彼の「Billie Jean」が、同23位に「Beat It」がチャートインしています。今ごろ天国でムーンウォークを披露しているでしょうか?

 

Landy

 4月24日リリースの4枚目のスタジオアルバム「Sombre mélodie」がアルバム5位に初登場したLandy(ランディ)は、パリ19区生まれ、サン=ドニ(Saint-Denis)にある団地シテ・ジォリオ=キュリー(Cité Joliot-Curie)で育った30歳。「Le Dyonisien」(サン=ドニっ子)を自称して同名の曲も出すほど地元愛の強いラッパーです。2020年12月29日号でご紹介しました。本名をDylan Gahoussou Syllaといい、両親の出身地はコンゴとコートジボワールで、父親は前号でご紹介したルンバ・コンゴレーズのギタリストです。新作アルバムはTiakola、Genezio、R2、KeBlackらが参加しています。

 今週、「Magma」がアルバム8位に登場したLe Rat Luciano(ル・ラット・ルチアーノ)は、マルセイユ(Marseille)出身の50歳のラッパーにしてプロデューサーにして俳優。フレンチラップシーンでは珍しく(失礼)、後輩の面倒見がいい心やさしい人格者として知られていて、とりわけ同郷のJuL(ジュール)との関係が深く「13'Organisé」のプロジェクトにも参加しています。90年代から活動するベテランですが、4月24日に出した「Magma」は実に26年ぶりになる2枚目のスタジオソロアルバムです。なお、クリスチャン・ヴァンデ率いる同名のフランスのプログレバンドMagmaとは全く無関係です。

 

Gradur(グラドゥール)


Gradur

 今週のアルバムチャート2位に4月24日リリースの4枚目のスタジオアルバム「Décennie」(デセニー/「10年間」という意味)が登場したGradur(グラドゥール)は35歳のラッパーですが、約7年間もアルバムを出していなかったので、2020年1月に始まった当ブログではこれまで、とりあげる機会がありませんでした。

 本名はWanani Gradi Mariadiといい、1990年11月にフランス最北端、ベルギー国境に近いノール(Nord/59)県ルーベ(Roubaix)で生まれますが、父親の出身地がキンシャサ(Kinshasa)なので誕生時の国籍はコンゴ民主共和国(RDC)の旧国名ザイール共和国で、8歳の時に国籍をフランスに変更しています。

 ルーベの高校を卒業後、2011年にフランス軍に志願入隊し、陸軍の砲兵隊に所属しながらサッカーに熱中。選手になるつもりでしたが足をケガして断念。目指す進路をラッパーに変更して2013年頃から作詞を始めます。ところが、兵舎内でいけないクスリをやっていたことが上官にばれ、おまけに軍曹の命令に服従せず言いあいにまで発展する出来事まであって2014年、フランス陸軍をやめてしまいます。『兵隊やくざ』シリーズの勝新太郎顔負けですが営倉入りにも不名誉除隊にも不良行為除隊にもならず、よかったですね。

 ルーベに帰郷して地元のラッパーたちと音楽活動を始め、自主制作でミックステープ「Sheguey Squad」(Shegueyはコンゴのリンガラ語で「ストリートの子」という意味)を出したりしますが、彼に目をつけてメジャーシーンに引き上げた恩人が、2018年のオルリー空港乱闘事件で「武名」を轟かせた武闘派ラッパーのBooba(ブーバ/セネガル系)でした。「prouver qu'il ne se limite pas aux freestyles et à l'égotrip」(拙訳:即興のラップにも、自分自身をむき出しにする表現にも、限界はないことを証明したい)と言う彼と、硬派と硬派でウマが合ったのでしょうか?

 アメリカのシカゴでしばらく修業した後、ファーストシングル「Terrasser」(「地面に打ち倒す」という意味/最高27位)をリリースします。それを収録した2015年のファーストアルバム「L'Homme au bob」はSNEPアルバムチャートでなんと最高1位にのぼりつめました。2016年の2枚目のアルバム「Where is l'album de Gradur」は最高6位で、Heuss L'Enfoiréをフィーチャーし最高1位のシングル「Ne reviens pas」を収録した2019年の「Zone 59」は最高5位になりますが、そこから今作「Décennie」までソロアルバムの発表に約7年のブランクがありました。

 それでも毎年シングルは出し続けていて、2025年には前号でご紹介したFally IpupaやSDM、Tiakola、Letoらコンゴに縁のあるアーティストが集結したコンピレーション・アルバム「Projet Kongo (100%kongo)」に深く関わります。これは、コンゴ民主共和国を武装勢力や外国の搾取から解放し、正義、平和、自己決定権の確立、経済の真の自立を目指す「Free Congo」の政治・社会運動に彼が共感して企画したプロジェクトで、まさに硬派の面目躍如。それだけに政治的な配慮がからむのかリリースが遅れていて、2026年中には実現する見込みです。

 すでに、その収録曲からGradurとNinho、Damso、Kalash Criminel、Josman、Youssouphaがコラボした「Free Congo」(最高34位)をはじめ、 SDM、Rsko、L2B、Zed、Guy2Bezbar、Niskaをフィーチャーした楽曲がシングル発売されています。毎週コンゴ、コンゴで恐縮ですが、ラップフランセにコンゴ系のアーティストが多いことがよくわかります。

 なお、出身地のルーベがベルギー国境に近いことと、コンゴ民主共和国が旧ベルギー領でコンゴ系の人が多いからなのか、ベルギーのワロン地域(フランス語圏)チャートではフランスよりも上位のポジションになる場合が多いようです。

 さて、今回は新作ソロアルバム「Décennie」から、Ninhoをフィーチャーして4月10日にシングルリリースされた「Opps」をお聴きください。タイトルは不覚をとって「しまった」と思った時の表現で、英語では「Opps」ですがフランス語では「Oups」で、「Oh là là!」よりも不覚の度合いがまだ軽い場合に使われます。

 歌詞(paroles)では「Ici,c'est Roubaix,ouais,c'est pas l'Amérique」(拙訳:ここはルーベ、うん、ここはアメリカじゃない)とリフレイン。地元愛とコンゴ愛の男、グラドゥール。郷里のルーベと、ヒップホップの武者修行を積んだ街シカゴを比べていますか?

 

Gradur(グラドゥール) - Opps ft.Ninho

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスの人気音楽チャート
 
2026年4月28日号

 

2026年4月24日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Melodrama - Disiz, Theodora

 2 Pocahontas - PLK

 3 Elle voulait - RnBoi

 4 Pineapple - Leto

 5 Spa - Maître Gims, Theodora

 6 Dracura(Remix) - Tame Impala

 7 René Caovilla - Gambi

 8 Parlu - La Rvfleuze

 9 Beauty And A Beat - Justin Bieber ft.Nicki Minaj

 10 Argent sale - La Rvfleuze

 

【アルバムチャート】

 1 XX - Fally Ipupa

 2 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 3 Grand Garçon - PLK

 4 Arirang - BTS

 5 Movie - Sofiane Pamart

 6 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 7 Capitale du crime radio Volume 3(Part 2) - La Fouine

 8 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 9 Pyramide 2 - Werenoi

 10 Karma - Bigflo & Oli

 

 今週もシングルチャートは1位がDisizとTheodoraの「Melodrama」で、2位がPLKの「Pocahontas」でした。

 6位にオーストラリアのTame Impala(テーム・インパラ)の「Dracura」が浮上。パース(Perth)出身のケヴィン・パーカー(Kevin Parker)によるサイケデリック・ロックのソロプロジェクトで、曲自体は2025年9月にリリースされていて、そのリミックス盤です。

 9位には4月19日の「コーチェラ2026」のステージにビリー・アイリッシュとともに登場し復活を印象づけたカナダ・オンタリオ州出身のジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)が、トリニダード・トバゴ出身の女性ラッパー、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)をフィーチャーした「Beauty And A Beat」がランクインしました。もうゴシップメディアなんかじゃなくて、楽曲やステージで目立ってくださいね。

 

Sofiane Pamart

 今週のアルバム5位は、2024年のパリ五輪開会式で火がついたピアノを弾いたピアニスト、Sofiane Pamart(ソフィアン・パマール)が4月17日にリリースした5年ぶり4枚目のスタジオアルバム「Movie」です。リール(Lille)出身の36歳。2022年2月22日号でくわしくご紹介しましたが、2019年のデビュー作「PLANET」が世界的ヒットを記録し、クラシックピアノをベースにジャズ、ロック、ポップスからヒップホップまで大胆にとり入れる「ネオクラシカル(新古典主義)の旗手」として存在感を発揮しています。アルバムはタイトルが「Movie」と言っても映画音楽集ではなく、映画のワンシーンのイメージを自身のピアノを中心に音楽だけで表現しようとする意欲作です。

 7位はLa Fouine(ラ・フイヌ)が1月29日にリリースして最高1位になった「Capitale du Crime Radio Volume 3」が再浮上。Volume 1は2024年11月、Volume 2は2025年9月に出ています。44歳のモロッコ系のラッパーでイヴリーヌ(Yvelines/78)県トラップ(Trappes)出身。2024年12月3日号でくわしくご紹介しています。

 Theodoraの「Mega BBL」がトップ10圏外に去りました。アルバムとしては2025年5月の発売なので、最高2位も含めて約1年もの間、フランスのチャートで上位にいたことになります。

 

Fally Ipupa(ファリー・イプパ)


Fally Ipupa

 今週のアルバムチャートでいきなり1位に初登場したのが、「アフリカの星」Fally Ipupa(ファリー・イプパ)が4月17日にリリースした8枚目のアルバム「XX」(Vingt/ヴァン)です。XXはローマ数字の20で、「20曲入り」と「デビュー20周年」という2つの意味が込められています。

 Fally Ipupaは48歳のコンゴ民主共和国(RDC)のミュージシャンです。本名はFally Ipupa Nsimbaといい、1977年12月に首都キンシャサ(Kinshasa)で生まれ、今やコンゴだけでなく現代のアフリカ音楽を代表する存在になりました。

 余談ですが、アフリカの「音楽首都」といえば、80年代頃のワールドミュージックの時代には「ンバラ」のユッスー・ンドゥール(Youssou N'Dour)が活躍したセネガルの首都ダカール(Dakar)が目立っていましたが、現在はアフリカとキューバの音楽がフュージョンした「リンガラ・ミュージック」や、ダンスミュージックの「スークース(Soukous)」が元気に響き渡るキンシャサに移ったかのような感があります。英語圏ならナイジェリアのラゴスあたりでしょうか?

 ファリー・イプパは、キューバのルンバが「アフリカ化」したダンスミュージック「アフリカン・ルンバ」、フランス語で言えば「Rumba Congolaise(ルンバ・コンゴレーズ)」の第一人者です。かつて「ルンバの王様」と呼ばれユッスー・ンドゥールにもひけをとらないスターだったパパ・ウェンバ(Papa Wemba)が2016年4月に突如ステージで倒れて他界した後、その後継者の地位を確立しています。人呼んで「ルンバの王子」が「王様」を継承して10年が経過しました。

 と言っても、彼は必ずしも伝統派、保守派ではなく、アメリカのR&Bや欧米のポップスその他の要素も取り入れながら「21世紀のルンバ・コンゴレーズは、かくあるべきか?」を模索しており、プロデューサーとして後進の若手たちのプロデュースも手がけつつ、あくまでも「革新者」であろうとする姿勢を崩していません。

 作品の歌詞は地元の部族語リンガラ語のもフランス語のもあり、母国の人口(1億人以上)に比例してコンゴ系のコミュニティが大きいフランスですから、新作アルバムがいきなり1位になっても全く不思議ではありません。ちなみに今週のチャート上では、Maître Gims、Theodora、Letoがコンゴの血をひいています。

 Fally Ipupaは2006年に「Droit Chemin」でアルバムデビューしましたが、フランスで注目されるようになったのは10年後の2016年、Booba(ブーバ/セネガル系)をフィーチャーしたシングル曲「Kiname」がSNEPシングルチャートで最高10位になったことでした。フランスの「Elektra」レーベルから初めてリリースした翌2017年の4枚目のアルバム「Tokooos」はSNEPチャート最高28位になり、プラチナディスクを獲得しています。その後、2017年にはアメリカのビッグネームのR.Kelly(R・ケリー)をフィーチャーした「Nidja」を出しており、フランスではコンゴ系のNinho、Dadju、KeBlack、Damsoや、「黄金の帝国」伝説のマリからやってきたAya Nakamuraとコラボレーションした曲をシングル発売しています。

 さて、4年ぶりの新作アルバム「XX」には、コンゴのベテラン歌手Lokua Kanzaをはじめ、フランスで活動するコンゴ系のGuy2Bezbar、KeBlack、SDMや、南アフリカのDJ Maphorisa、ナイジェリアのWizkid、ベナン(Benin)出身でグラミー賞を5回受賞し2021年の東京五輪開会式でも歌ったアンジェリーク・キジョー(Angélique Kidjo)、アフリカ西海岸沖に浮かぶ旧ポルトガル領の島国サントメ・プリンシペ(São Tomé and Príncipe)の兄弟デュオCalemaが参加しています。まさに「オール・アフリカ」という感じですね。アフリカからカリブ海の島に送り込まれた奴隷が蜂起して1804年にフランスから独立したハイチがルーツのJoé Dwèt Filéも加わっています。

 今回は収録曲から、歌詞がちょっとなまめかしいオープニングチューン「Cinéma」をお聴きください。ニューアルバム発売に続いて5月2日、3日には、サン=ドニのスタッド・ドゥ・フランス(Stade de France)で大がかりなコンサートを開く予定です。ルンバを踊るダンサーも来演するそうで、巨大競技場がアフリカ一色に染まりそうです。

 

Fally Ipupa(ファリー・イプパ) - Cinéma (Clip Officiel)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスの歌謡曲シャンソン・ポピュレール
 
2026年4月21日号

 

2026年4月17日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Melodrama - Disiz, Theodora

 2 Pocahontas - PLK

 3 Elle voulait - RnBoi

 4 Spa - Maître Gims, Theodora

 5 Argent sale - La Rvfleuze

 6 Parlu - La Rvfleuze

 7 René Caovilla - Gambi

 8 B.M.S.(By my side) - Rambo Goyard

 9 Love you - Nono La Grinta

 10 Pineapple - Leto

 

【アルバムチャート】

 1 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 2 Arirang - BTS

 3 Grand Garçon - PLK

 4 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 5 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 6 Pyramide 2 - Werenoi

 7 Mega BBL - Theodora

 8 Debí Tirar Más Fotos - Bad Bunny

 9 Et si j'échoue - Bouss

 10 Fête foraine - Christophe Maé

 

 シングルチャート1位は今週もDisizとTheodoraの「Melodrama」、2位は今週もPLKの「Pocahontas」でした。

 

Gambi

 シングル7位にGambi(ガンビ)の「René Caovilla(レネ・カオヴィラ)」が前週の22位からジャンプアップ。ガンビはパリ12区が環状道路(旧城壁)の東に張り出したヴァンセンヌの森(Bois de Vincennes)に接するヴァル=ド=マルヌ(Val-de-Marne/94)県フォントネー=スー=ボワ(Fontenay-sous-Bois)出身の28歳のラッパー。パリのお寿司屋さんの出前持ちをしながらYouTubeにせっせと自作ラップを投稿し、それが認められ2019年にデビューした苦労人です。2020年7月21日号でご紹介しました。曲のタイトル「René Caovilla」はイタリアのヴェネツィアに本店がある高級婦人靴ブランドで、独裁者ムッソリーニの時代から100年近い歴史があります。

 10位のLeto(レト)の「Pineapple」(パイナップル)は4月10日リリースでランキング初登場。レトはパリ17区出身のコンゴ系の30歳のラッパーでヒップホップグループ「PSO Thug」のメンバー。2022年3月1日号でご紹介しました。

 アルバムチャートのトップ10は、前週くわしくご説明したWallace Cleaver(ウォーレス・クリーバー)の「Marcel」に代わってBouss(ブース)の「Et si j'échoue」が9位にカムバックしましたが、それ以外の顔ぶれは変わりません。

 

U2


U2

 今回はいつものシングルチャート、アルバムチャートからちょっと離れまして、SNEPの「Rock & Metal」チャートからのご紹介になります。このチャートも毎週発表されており、フランスを代表するロックバンド、Indochine(アンドシーヌ)が上位の常連ですが、4月10日付でその5位にU2の「Easter Lily EP」がチャートインしました。これは4月3日(イースターの2日前の聖金曜日)にリリースされた6曲入りのEP(ミニアルバム)です。

 U2はアイルランド・ダブリンで結成された世界的なロックバンドで、改めてご説明するまでもないでしょう。なお、IndochineのフロントマンのNicola Sirkis(ニコラ・シルキス)は1959年6月22日生まれ、U2のフロントマンのBono(ボノ)は1960年5月10日生まれとほぼ同世代で、チャリティーなどバンド外でやっていることも、社会や政治に関する発言も似ていて、ともに「アムネスティ・インターナショナル」「国境なき医師団(MSF)」の長年の支援者です。どちらのバンドもフランス、アイルランドでは「伝説」になっています。

 新しいEPのご説明の前に、フランスにおけるU2のチャートアクションを振り返ってみましょう。

 スタジオアルバムでは1983年の「War」で初めてSNEPチャート入りし最高4位。歴史的名盤との誉れ高い1987年の「The Joshua Tree」で初の最高1位になっています。その後、1991年の「Achtung Baby」、1994年の「Zooropa」、一部で「黒歴史」視される1997年の「Pop」、それを原点回帰で払拭した2000年のグラミー賞7部門受賞の傑作「All That You Can't Leave Behind」、2004年の「How to Dismantle an Atomic Bomb」、2009年の「No Line on the Horizon」、2014年の「Songs of Innocence」まで8作連続で最高1位でしたが、2017年の「Songs of Experience」は最高3位、2023年の「Songs of Surrender」は最高2位でした。

 シングルでトップ10に入ったのは1987年の「With or Without You」が最初で最高10位、1991年の「The Fly」が最高6位、1992年の「Who's Gonna Ride Your Wild Horses」が最高10位、1995年のバットマン映画の挿入歌「Hold Me,Thrill Me,Kiss Me,Kill Me」が最高10位、同年のユーゴ内戦に関わった「Miss Sarajevo」が最高8位、2009年の「Get On Your Boots」が最高6位で、以上の6曲だけです。

 日本では今なおU2の代表曲とみなされることが多い1987年の「I Still Haven't Found What I'm Looking For」は最高37位どまり。2000年の「Beautiful Day」は、MVをシャルル・ド=ゴール空港で撮影したものの最高17位で、それに続いて2年連続でグラミー賞最優秀レコード賞を受賞した「Walk on」は、なんと最高81位という有様でした。

 フランスでは1994年の「トゥーボン法(Loi Toubon)」以来、「ラジオ・エアプレイの40%以上をフランス語の楽曲にせよ」という政府の文化規制が健在なので、その影響は決して小さくないでしょう。ちなみに「抵抗」「独立」というイメージからU2はカナダのケベック州(フランス語圏)やスペインのカタルーニャ自治州で人気がありそうに思えるかもしれませんが、私が調べた限りでは、チャート順位の数字ではむしろ東欧や日本のほうが勝っている傾向がありました。

 さて、新作「Easter Lily EP」ですが、灰の水曜日(Ash Wednesday/Mercredi des Cendres)の2月18日にリリースされた6曲入りEP「Days of Ash」と、四旬節(Lent/Carême)の期間をはさんでペアをなす構成です(アイルランドもフランスもカトリックが優勢な国)。収録曲では友情、喪失、希望、死と再生といったテーマを追求しています。功成り名を遂げたU2の面々ももう60代後半になり、親しい人の帰天(死)に直面したりして、過去を振り返りながら、この混乱する世界にあって、残された人生の心の平安を願う年代になった、ということなのでしょうか?

 全曲32分31秒がYouTubeで公開されていますので、それをお聴きください。

 

U2 - Easter Lily EP (2026)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!

 

 

 

仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスのChanson Populaire
 
2026年4月14日号

 

2026年4月10日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Melodrama - Disiz, Theodora

 2 Pocahontas - PLK

 3 Elle voulait - RnBoi

 4 Spa - Maître Gims, Theodora

 5 Argent sale - La Rvfleuze

 6 Parlu - La Rvfleuze

 7 B.M.S.(By my side) - Rambo Goyard

 8 Promenade - La Rvfleuze, Koba Lad

 9 Sex Model - PLK & Theodora

 10 Love you - Nono La Grinta

 

【アルバムチャート】

 1 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 2 Arirang - BTS

 3 Grand Garçon - PLK

 4 My Eyes Only-Flashback - RnBoi

 5 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 6 Pyramide 2 - Werenoi

 7 Marcel - Wallace Cleaver

 8 Mega BBL - Theodora

 9 Debí Tirar Más Fotos - Bad Bunny

 10 Fête foraine - Christophe Maé

 

 今週もシングルチャートはDisizとTheodoraの「Melodrama」(メロドラマ)とPLKの「Pocahontas」の1-2フィニッシュでした。La Rvfleuzeのシングルが今週も5、6、8位に入っています。女将Theodoraも1、4、9位です。

 

Nono La Grinta

 シングル10位にNono La Grinta(ノノ・ラ・グリンタ)の「Love you」(愛してる)が前週の11位から再浮上。パリ19区出身、24歳のコンゴ系ラッパーで、2025年8月19日号でくわしくご紹介しています。2025年夏にはシングル「Paris」が爆発的に売れてチャート上位に食い込みましたが、それはUEFAチャンピオンズリーグでパリ・サンジェルマン(PSG)が初優勝を遂げた影響が大でした。今季もPSGは準々決勝に進出していて、すでにリヴァプールに2-0と先勝し4月14日に準決勝進出なるか決着がつきます。もしも5月30日の決勝戦で連覇を果たせば、「Paris」が再びトップ10入りしそうです。

 アルバムチャート首位は前週に引き続き24歳のセネガル系ドリルラッパーLa Rvfleuzeの「Numéro d'écrou」で、BTS「Arirang」の2位も変わらず。トップ10にMaître Gims先生、Bad Bunnyが復帰。来月5月17日が一周忌になるWerenoi(ウェルノワ)の「Pyramide 2」も6位で踏ん張っています。心臓発作によって31歳で急逝したのが惜しまれます。お墓は彼の地元、セーヌ=サン=ドニ(Seine-Saint-Denis/93)県モントルイユ(Montreuil)にあります。

 

Wallace Cleaver(ウォーレス・クリーバー)


Wallace Cleaver

 4月3日リリースの新作「Marcel(マルセル)」が今週アルバムチャート7位に初登場したWallace Cleaver(ウォーレス・クリーバー)は1998年3月、世界遺産の古城群で知られるロワール地方、ロワール=エ=シェール(Loir-et-Cher/41)県の県庁所在地ブロワ(Blois)で生まれ、同県サン=ローラン=ヌアン(Saint-Laurent-Nouan)で育った28歳のラッパーです。本名はレオ・ゴンド(Léo Gond)といい、パリのソルボンヌ大学で文学とオーディオ・ビジュアル(視聴覚の創作)を専攻して卒業しています。

 少年時代から同じロワール地方のオルレアン(Orléans)出身のラッパーNiro(ニロ)や、オルリー空港乱闘事件で令名をはせた?武闘派ラッパーBooba(ブーバ)のフォロワーで、フードをかぶってラッパーのマネをしていました。まず、形から入る?

 13歳で初めてラップのリリック(paroles)を書き、大学時代はソルボンヌの同級生とともにパリでヒップホップの創作プロジェクトに参加。2018年、ソロアーティストとして本格的な音楽活動を始めました。

 ステージネーム「Wallace Cleaver」は、1957~63年にアメリカCBSが放送したホームコメディシリーズ『Leave It to Beaver』(日本では『ビーバーちゃん』という邦題で1959年から日本テレビ系列で放送)で、トニー・ダウ(Tony Dow/子役俳優から後に監督、プロデューサーになりましたが2022年に死去)が、主人公セオドアくんの優しいお兄さんで、アメフトのチームで活躍する高校生を演じた役名だそうですが、ドラマの中では「ウォーリー(Wally)」と呼ばれました。

 さて、フランス人ラッパーのほうのウォーレス・クリーバーですが、2018年に「Arsène」でシングルデビュー。2019年のEP「98」でその名を知られるようになります。アルバムは2021年の「Cauchemar」(悪夢)、2023年の「baiser」(キスする)、2024年の「merci」(ありがとう)とすでに3作を出していて、「Marcel」は4作目になります。アルバムタイトルは、彼が2021年に同名のEPを出した小説『失われた時を求めて(À la recherche du temps perdu)』で世界の文学史に金字塔を打ち立てた作家マルセル・プルースト(Marcel Proust)、かと思いきや、敬愛してやまない祖父の名前だそうです。その収録曲から1月にリリースした先行シングルでもある「Pasçalavie」をお聴きください。

 曲のタイトルは歌詞にある「C'est pas ça,la vie」(そんなものじゃないんだ。人生は)を略した言葉で、「C'est pas ça,la vie.  C'est plus beau en vrai.  J'ai pas tout compris. Un jour, j'comprendrai.  C'est pas ça,la vie.  C'est plus compliqué.  J'ai pas tout compris.  Un jour, j'comprendrai.(拙訳:そんなものじゃないんだ。人生は/本当はもっと美しいものなんだ/僕は全て理解したわけじゃないが/いつかは理解できるだろう/そんなものじゃないんだ。人生は/もっと複雑なものなんだ/僕は全て理解したわけじゃないが/いつかは理解できるだろう)」とリフレインしています。

 日本人は「中二病」などと言って嘲笑しそうですが、クリティカル・シンキング(批判的思考/フランス語ではpensée critique)のスキルの判断材料として、バカロレア(Baccalauréat/大学入学資格試験)では必ず論文試験が出題されるほど、哲学という学問が深く浸透しているフランスらしい一節ではないかと、私は思います。

 哲学つながりで、実存主義の第一人者だったジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)らが1973年に創刊した新聞「リベラシオン(Libération)」紙が、「pas d'ego trip, de guns, ni de gang,juste une histoire sensible et personnelle sur fond electro-piano. Brillant」(拙訳:エゴの応酬も、銃も、ギャングもない。電子ピアノが基調の繊細で個人的な物語。すばらしい)と評しているように、彼の作風は、郊外(Banlieue)の「乱世」に根ざしたラップとは一線を画しています。21世紀のラップフランセは多様化が進んでいるとはいえ、やはり、ソルボンヌを出たような人がヒップホップをやったら、こうなるのでしょうか?

 

Wallace Cleaver - Pasçalavie

 

では、また来週

À la semaine prochaine!