映画三昧 #2089 ⭐️⭐️☆ カメラを止めるな!(18) | juntana325 趣味三昧

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映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品で、前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざまな挑戦に満ちた野心作。「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」などに参加してきた上田慎一郎。とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。2017年11月に「シネマプロジェクト」第7弾作品の「きみはなにも悪くないよ」とともに劇場で上映されて好評を博し、18年6月に単独で劇場公開。当初は都内2館の上映だったが口コミで評判が広まり、同年8月からアスミック・エースが共同配給につき全国で拡大公開。




ユーロスペースで観ようと思っているうちに、人気が出て席が取れず、あれよあれよという間に、全国ロードショーになった。出世魚のような映画だ。ただのB級作ではないが、B級作だから出来るアイデア作品でもある。




どこかの映研が作りそうな素人っぽさを、残しているところが、映画好きの心をくすぐる。後半は、それに加えて、最近増えてきた、ンカット、ワンシーンの撮影現場のドタバタが暴露され、ユーモアと臨場感が、たまらない。「ワンカット」のマンネリ化しつつあるスタイルに、ひとヒネリを加えた。




生中継の30分ワンカットのホラーは、観ていて、かなり違和感がある。いきなりカメラ目線だったり、長い沈黙があったり、同じセリフを繰り返したり、鑑賞許容範囲ギリギリ。笑えるというより、「?」。舞台のアクシデントを描いた74分ワンカットの「アイスと雨音(17)」と、テイストは似ていて、雑然とした下北沢で、計算された緻密さを感じさせた。この作品は、緻密さがないように思わせるのも、ギミックになっているから、実はかなり緻密な訳だ。(ややこしい)




後半に入ると、そのネタバレ。推理小説に例えれば、サスペンスだ。結果が先に来て、後からプロセスを語る。違和感を覚えたシーンは、現場では放送事故寸前。こういうアクシデント時は、皆の本性がむき出しで、火事場の馬鹿力が働く。次から次へとたたみ込むようにハプニングが起こる撮影現場は、力技の連続だ。このヒヤヒヤ感は、発狂しそう




前半と後半を、逆にして、謎解きミステリー仕立てで、もう一本作ると楽しめそうな気もする。ホン・サンス風に、両方くっ付けて一本にするのも面白そうだ。映画は、アイデア一つで、まだまだ可能性に満ちている