映画三昧 #2036 ⭐︎ ⭐︎➕ アイスと雨音(17) | juntana325 趣味三昧

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「私たちのハァハァ」「アズミ・ハルコは行方不明」などを手がけてきた松居大悟監督が、現実と虚構、映画と演劇の狭間でもがきながら生きる若者たちの姿を、74分ワンカットで描いた意欲作。ある小さな町で舞台が上演されることになり、オーディションで選ばれた6人の少年少女が初舞台に向けて稽古に励んでいた。しかし突然、舞台の中止が告げられてしまう。キャストは、「笑う招き猫」「ソロモンの偽証」などに出演した森田想、映画「るろうに剣心」で知られる田中偉登ら、すでに映画や舞台で活躍している者から演技未経験者まで、演技経験不問のオーディションで選出された。音楽をアコースティックギターのUKとMCのアフロから成る2人組ヒップホップバンド「MOROHA」が担当。




一つの作品をワンカットで描く。この手の「ワンカット」作品は、毎年のように封切られ、結構好きでよく観る。ヒッチコックの「ロープ」が標本木のようなもので、最近では、「バードマン」が素晴らしい。




この作品は、虚実の線引きが難しい。これだけセリフが多いワンカットだから、ドキュメンタリータッチで、アドリブを入れないと成立しないだろう。演劇の方の筋が、よく分からないから、演劇の続きなのか、映画の登場人物の話なのか見分けにくい。初舞台という6人の若者に緊張感は感じられず、ただ大声を張り上げるような一本調子のテンションに、なおさら区別がつきにくいとも言える。




その中で、突然現れる「MOROHA」のアコースティックなヒップホップが、新機軸で程良いメリハリをつける。これが無かったら眠気を抑えられなかっただろう。ナレーションの代わりのような、主人公たちの心理状態を表現するような、歌詞は、なかなか効果的だ。ワンカットで撮るということは、違和感なく、大きな場面転換をするのは難しいと思う。そういう種類の作品で、音楽で、場面転換するアイデアは素晴らしく、見事な構成。若者たちの情熱が、もっと伝わってくれば、傑作になったと思う。受け手の自分も悪かったか?