「沈黙」シリーズで知られるスティーブン・セガールが、復しゅうに燃える麻薬捜査官を熱演するアクション。銃と麻薬密輸を捜査する国際麻薬捜査部隊“IDTF”に配属されたボビーはある日、抗争に巻き込まれ、同僚を失ったことを契機に、たった1人で巨大な悪に立ち向かっていく。俳優やスタントマンとしても活躍するラウロ・チャートランド監督がメガホンをとり、セガール自らが脚本を手がける。
スティーブン・セガールも随分年をとった。それに伴って、息子役もデカくなった。父親の仇を討つようなシチュエーションの方が、自然な気もしてくる。
ところが、始まってみると、いつも以上に威勢がいい。潜入捜査みたいな姑息な真似はしない。復讐の鬼となって、ノープランで進んでいく。それは、無理に気張っているようにも見えてくるほどだ。しかし、息子の復讐と、余りにも口にするので、途中から、それも怪しく感じられるようになる。果たして、それが本当の目的なのか?もしかしたら、また得意の特別捜査官かもしれない。
クライマックスの銃撃戦。いつものように、一方的に悪党どもを、なぎ倒していく。やっぱりただ者じゃない。最後に、水戸黄門の印籠のように身分が明かされるのだろうか。
ところが、ラストは酷いものだった。結局何の含みもない、正体は復讐に燃える父親だった。復讐を遂げた後は、「俺の目的はお前を殺す事じゃない」と言って、悪党をみすみす逃してやる。共感するような悪党でもないのに、全く解せないエンディング。喉に小骨が引っ掛かったような後味を残す。