月の綺麗な夜だった。
その日は、家庭教師の先生が体調を崩して
突然お休みになった日。
暇をもて余した俺が月に誘われお散歩に……
考えてみたら
あの時の俺は…………
悪魔にでも誘導されてたのかもしれないって思う。
どこ行く宛もある訳じゃなく
ただ、フラフラと歩いてた。
「これだけ明るいと
街灯がなくても歩けるんだ。
へ~………」
ってな感じでフラフラと…………
蛙の声が煩い。
ゲコゲコと大合唱だ。
「どんだけ蛙がいるんだよ。」って
ひとりで突っ込んでみたりして………
なのに突然ピタッと止む。
静まり返った田んぼ道。
蛙は何かを感じたのか?
俺はちょっと怖くなった。
俺の砂利を踏む音しかしない夜道。
ふわ~と、誰かが囁くように俺の髪が揺れて
風と共に、微かに聞き覚えのある笑い声が耳を擽る。
もし、あのまま蛙が鳴き続けてたら
到底、気付かなかっただろう。
もしあの時、風に乗って聞こえて来なければ
気付きもしなかっただろう。
本当に何かに誘導されてたんだ。
俺は声のする方に
誘われるように入っていく
もうその頃には恐さはなく
声の主に会いたい
なんでこんなところにいるのか
俺が月に誘われたように
彼も誘われて出て来たんじゃないか
やっぱり俺達は運命的なんだって
嬉しくて…………
でも、月明かりと水銀灯によって照らし出されたのは
俺の心臓を素手で直に握り潰されたような痛み。
足が動かない。
声すらでない。
そこで、みつけたのは…………
楽しそうに笑いあっている
智と櫻井だった。
俺の足がガタガタと震える。
………………裏切………られたんだ。