『意味わかんね。』
と、ニノの刺のある言い方に
俺は、悲しくなる。
「…………そんなに……………俺のこと……
嫌い………に……なったんだ。」
あんなにいつも、そばにいてくれたのに………
『………ニ…ノ………』
俺の小さな声は、今じゃニノには届かないんだ。
『…………こんな…………
ホテルなんかに呼び出して
さもやってましたみたいに………
俺たちに見せつけるため?』
と、ニノが怒った声で言う。
『え?
見せつけるって?』
俺は、俯いていた顔を起こしてニノを見た。
『…………首。
歯形ついてる。』
と、ニノは俺の首筋を見ていた。
『あっ。』
そうだった。
さっき潤くんにやられたんだった。
『こ、これは………違うんだ。』
咄嗟に手で隠してみたけれど、今さら遅い。
なんでもないのに
未遂だったのに
言葉にできない俺。
そこに潤くんが入ってくれて
『ごめん。ごめん。
誤解させることをした。
確かに智の首の歯形は俺がつけた。
ちょっとしたいたずら心でね。
でも、それだけ。
だいたい俺たち付き合ってもないから。』
と、あっさりばらしてしまった。
『はああ~?
今さら、なに言ってるの?
そんなもの付けといて……』(ニノ)
と、ニノが潤くんに腹を立てていた。
ちゃんと説明しなきゃ。
このまま仲たがいしてたらダメだ。
『……ご…………ごめん。
俺がちゃんと言う。
……聞いて。
お願い。
俺が潤くんに頼んだんだから………』
『頼んだ?
何を?』(雅紀)
『恋人役。』
と、俺が答える。
『恋人役?』(ニノ)
『うん。
そう。
俺、父さんの決めた相手と
来年には結婚させられるでしょ。
突然の父さんの話に
俺………
思わず、俺には恋人がいるって言っちゃって……
相手は誰だって問い詰められたから
咄嗟に、潤くんの名前だしちゃったの……
………事の起こりは………俺なの。
ごめんなさい。』
と、彼らに深々と頭を下げた。
『なに?
じゃあ、智は潤くんと付き合ってるわけじゃないの?』(斗真)
俺は、黙って頷いた。
『俺としては、智が好きだったから
恋人役でも嬉しかったよ。
俺の名前だしてくれた時点で
脈があるのかなって思うじゃん。』
と、潤くんが笑う。
『………でも、違った。
智は、俺を友達以上には思えないらしい。
智のお父さんの目を誤魔化すために
まず、味方から………ってことで
恋人役をかってでたんだ。
でも、お前らがそれぞれ智に告白してたことは知らなくて。
なんだか微妙な空気が漂いだしただろ。
これじゃいけないなって事で
お前らをここに呼んだんだよ。
悪かったな。
嘘ついて。
実は、俺も告ってフラれた口なんだよ。』
そう言うと、缶ビールをグイッと呑み終えて缶を潰した。