『翔くん。
待たせてごめんね。』
おいらのマンションまで
迎えに来てくれた優しい翔くん。
『大丈夫だよ。』
って、おいらに笑いかける。
今日は、夏の終わりの花火大会の日。
おいら、とても楽しみにしてたんだ。
先生と話したあの日から
変な夢も見なくなったし
変な声も聞こえなくなった。
やっぱり……
おいらが智さんに共鳴しちゃってたんだ。
翔くんと電車に揺られて現地まで………
『……態々
ここまで迎えに来なくてもよかったのに
大変だったでしょ。
おいら、ちゃんと現地まで行けるよ。』
って、言うのに
『うん。
そうかもしれないけど。
俺がそうしたいから……』
と、つり革に捕まりながら
おいらを支えてくれた。
「………そうか…………
翔くんにとっても
この日はトラウマなんだね。」
だから、おいらはそれ以上言わなかった。
『現地の駅に、皆が待ってるから。』
『うん。』
おいらは、始めてみる花火にうきうきしていた。
『やっぱり凄い人混みだ。』
と、翔くんが言って
『はぐれるといけないからね。』
って、おいらの手を握った。
おいらたちは揉みくしゃになりながら
ホームを出て改札へと流される。
人が次から次へと押し寄せて
手を握っていても引き剥がされそう。
そんななかで
『翔くん。
こっちこっち。』
と、声がして
人の波を潜り抜けて声のする方へと近づいた。
『よー。
お待たせ。』(翔)
『こんばんわ。』(おいら)
『やあ。
健太。
大丈夫だったか?』(潤)
『うん。』(おいら)
『凄く混んでるだろ。
気分悪くない。』(潤)
『大丈夫。』(おいら)
『……ところで……二人は?』(翔)
『それがさ…………
例のごとく………』(潤)
と言うと、トイレをさした。
『あー…………
やっぱり………』(翔)
『多分。
あいつ、三半規管がぶっ壊れてるんじゃね。』(潤)
と潤くんが言ってるときに
トイレからニノと相葉ちゃんが出てきた。
『にの?
顔色悪いね。』
とおいらが言うと。
『俺、人混みに酔った~。
気持ち悪い。』
って、言ってしゃがみこんだ。
『兎に角、落ち着ける所に行こうぜ。
健太も、いいよな。』(潤)
と、潤くんが俺に同意を求めたから
『……う、…………うん。』
と、頷いた。
「あーあ………
おいら…………花火見に来たのに………
花火…………見ないのかなあ?
おいら……………花火…………みたかったな………」
おいらたちは、花火会場に向かう人の流れに逆らって歩き出した。
翔くんがおいらの手を引いていく
おいらは、そっと後ろを振り返り
未練がましく空を見上げた。