翔くんと手を繋ぎながら
逆行していくおいら。
いつかどこかで…………
同じようなことがあったような…………
『……ねえ、翔くん。
どこいくの?』
「花火見ないの?」
おいらは、翔くんの腕を引っ張って止めた。
『うん。
残念だけどカラオケじゃね。
ニノが体調悪いんじゃ
しかたがないよね。』
って、翔くんの言葉に
『…………そっか。
そう…………だ……よね。』
と、力なく返事をした。
カラオケ館と、書いてあるビルの個室に入って
ニノがソファーにドーンと寝転んで
『助かった。
まだクラクラする。』
と言って目を閉じた。
『折角の花火大会なのに
お前のせいでまたここかよ。』(雅紀)
『ごめーん。
あんなに人って湧いてくるかと思うと
気持ち悪い。』(ニノ)
『もう、お前とは来ねえ。』(雅紀)
『うん。
来年は辞退します。
ごめんね健ちゃん。』(ニノ)
『うん。
しょうがないよ。
花火は来年は来ればいいもん。
それより、
おいら、カラオケ館に来たの初めて。』
『おーちゃん。
なに歌う?
歌上手かったから
SMAP歌う?』
と、相葉ちゃんが機械をいじり始めた。
『…………おーちゃん?』
「おーちゃんって今よんだ?
おーちゃんって誰?」
周りを見ても誰も反応してなくて
相葉ちゃんを見るとおいらのことニコニコしながら見てる。
『え?
おいらのこと?』
『そうだよ。
なに歌う?』
『え?
おいら唄ったことないから………
それにあまり歌を知らないんだけど………』
『じゃあ。俺の入れていい。』
と、番号を打ち込んでいく。
『おいら………
ちょっと、トイレ行ってくる。』
と、立ち上がると
『あっ。じゃあ俺もいく。』
って、翔くんも着いてきた。
『………つまんない?』
翔くんが、おいらの浮かない顔を見て聞いてきた。
『…………つまんない…
とかじゃなくて……』
『花火が見たかった?』
『うん。
おいら花火見たかったなって………』
「あれ?
前にもこんな会話をした気がする?」
『じゃあ。抜け出しちゃう?』
『え?
いいの?』
翔くんはニコニコしながら
『いいよ。
もともとは、花火見に行くのが
目的だったんだから………
潤にメールしてく。』
と言って
携帯を取り出した。
『健太。
部屋に忘れ物ない?』
『うん。
ないよ。』
『じゃあ………行こう。』
翔くんがおいらの手を取って
外に飛び出した。
ドーン…………バラバラバラ………
ヒュー…………ドーン……………バラバラバラ………
おいら達が外に出ると
花火のうち上がる音がお腹に響いてきた。
見上げるとビルとビルの間の狭い空間に
花火の端っこが見えて
『翔くん、翔くん。
花火。花火。』
と、興奮して翔くんを呼んだ。
『健太。
ちゃんと前向いて歩いてよ。
よく見える場所まで案内するから。』
って、翔くんが言うのに
おいらは、ちょっとしか見えない花火に
『わあ…………
今のすごかったね。』
とか、
『今の宇宙船みたいだったね。』
とか、
『すごい。
今のキラキラって光ながら消えたよ。』
とか、興奮しながら喋ってた。
でも、どこかで
デジャブーを感じていた。
「前にも……………
こうして翔くんに引っ張られながら………
夜空に咲く花火を見た気がする………
それは………なに?」