朧気な記憶が甦る。
いや。
そんな経験した覚えがないから
想像かもしれない………
おいらは空を見上げてる……
そこには何億とも思える羽根がおいらに向かって降ってくる。
その羽根はおいらの背で翼になった………
真っ白い翼に…………
その翼を見て…………思い出した。
「あっ…………おいらは鳥に…………
なりたかったんだ…………」
………翼を羽ばたかせたら
ちょっと宙に浮いたのがわかって
空を飛べるって確信した……
空を………………飛べる……………
一歩前に出ようとした時
『……………健………太………?』
と、おいらは激しく揺さぶられて
我に戻った。
『………健太?
どうしたんだよ。
急に変なこと言い出して…………
かと思ったら、ボーとしだすから
驚いたじゃん。』
と、翔くんの慌ててる顔が見えた。
『あっ。
ごめんごめん。
なんか考えてたら………』
「あれ?
何を?
考えていたんだろう……………」
さっきまで考えていただろうものが
煙のように消えてしまい
どんなに頭の中を探っても出てこない………
「なんで?」
おいらが、突然また黙り混むから
『こえーよ。(怖いよ)
………お前……
眠くて夢見てたんじゃねーの?
もう、とっくに日付が変わったから
帰ろうぜ。』
と、言って
翔くんは、エンジンをかけた。
その日、おいらは夢を見た。
凄く哀しい、寂しい夢。
でも、暖かさが残る夢。
おいらは暗い部屋に閉じ込められている。
なんの音も光もない。
手を伸ばしても
おいらの手に触れるものは何もない。
………虚無…………
おいらは怖くて踞る。
助けて…………って言ってるのに
自分の耳に入ってこない。
おいらはどこに要るんだろう……………
どうなるんだろう…………
ドクン
ドクン
微かに聞こえてくる音
その音に意識を集中させる。
ドックン。
ドックン。
ドックン。
微かに聞こえていた音
それは徐々に大きくなっていった。
「心臓の鼓動?」
おいらの?
自分の胸に手を当てる。
規則正しい心臓の鼓動が
怖いと思っていたおいらを安心させていく…………
『……さ………し……………………
………かわ……………い………さと…………』
柔らかな、優しい声が聞こえてきて
慈しむように語りかけるように………
「……あ……この声は…………
……かーちゃんの…………声だ。」
と、思った。
その声は、段々とハッキリしていく。
『…智………………可愛い…智………
もう一度…………………
…お母さんがあなたを生んであげる。』
「……………」
『………もう一度
あなたを生んであげる
だから…………戻って…………おいで…………』
暗闇の中………
広い部屋の中で………
かーちゃんの声と、鼓動に包まれて
目を閉じた。
俺は、かーちゃんの顔を思い浮かべた……