『で、その後どうした?』
と、次の日。
部屋に入ってくるなり田子先生は俺に聞いてきた。
『なにが?』
と、興味無さげに答えた俺に
『いやさっ。
俺、気になってたんだぜ。
これでも………
櫻井くんなんか怒ってたみたいだから
その後どうしたかなって……』
先生も気にしてくれてたんだ。
俺は、椅子に座って
今日の課題の参考書を開きながら
『もう、別れたから。』
と、あっさりと答えた。
『え?』
先生の驚きの声。
まさかそんな答えが返ってくるなんて
思ってもいなかったみたいに
『なんで?
どういうこと?』
と、聞いてくる。
『なんで?って……………
先生のせいじゃん。』
『…………』
『うそ、うそ。
……………ごめん。
違う。
俺のせいだから…………』
と、笑って見せた。
先生の顔は真剣で
『なんで?』
と、聞いてくる。
『………俺……………
俺が…………
……………』
何て言えばいいんだよ。
俺が、恋愛体質じゃないから?
俺が、普通じゃないから?
俺が…………
「好き」って言われるのが…………怖いから?
『………………もう……………いいよ。
もう………………
もう、終わったの。
もう、忘れた。
それより
俺ね。
パン屋さんになるって決めたんだ。
だから、これから勉強頑張る。
俺は、未来に目を向けることにしたんだ。』
と、言った。
『それで………………いいの?』
『うん。
もう、この話は終わりね。
先生。
俺の計画聞いてくれる?』
と、俺はパン屋になるための
計画を先生に話した。
それを聞いて
「それもいいかもね。」って先生は笑ってくれた。
それから俺は、必死に勉強をして
でも、時おり携帯を出しては
翔くんのアドレスを開いてみたりして
未練がましいよね。
季節が変わって春になった頃
俺は、未練を立ち切るために
翔くんのアドレスを削除した。