『だって………
裁判………とか…………なったら………
俺達の事………バレちゃうよ。』
と、智がボソボソと呟く。
そうか。
そうなんだ。
俺達の事が、公になることを智は恐れているんだ。
裁判なんかになったら
あれやこれやと痛くもない腹を探られて
俺達の事はおもしろおかしく書き立てられるだろう。
飯田が俺達の事を調べることが出来たなら
俺達の関係がバレるのも時間の問題だろうな。
智は、続けて
『………俺は自由業みたいなもんだし、
話題になったとしても、さほど仕事に影響はないと思うんだ。
でも、翔君の仕事はそうはいかないじゃない。』
智は俺の心配をしてたんだ。
『………智。
俺…………………学校辞めるつもりだったんだよ。』
そう言って智の左手を掴んだ。
『え?
なんで?』
と、驚いて俺の顔を見る智。
『校長にもちゃんと話したんだ。』
『なんで?』
『「襲われたのは俺の恋人で、その人は男性です。」って言って
「学校に迷惑がかかると思うので、辞めさせてください」って言ってきた。』
『うそ。』
智の顔が歪んでいく。
『翔兄が辞める必要ないじゃん。
辞めるのは飯田でしょ。
翔兄はなんも悪くないじゃん。
なんで?』
と、和が声をあげた。
『智さんの被害届けを取り下げれば…………
嫌だけど…………
許せないけど…………
そうすれば
飯田の罪は、買春と強姦になるから
翔兄の事が表に出ることないじゃん。』
『いいのそれで?』