『犯人は
飯田信だ。』
追い詰められたと思ったあいつは、
智に刃を向けたんだ。
「なんで………
なんで……智なんだよ。
なんで………なんで智なんだ。
………智は関係ないだろ。
智に何かあったら…………許さない………
……………くそー…………
くそー…………俺は………智を………
……………守れなかった。』
悔しくて、情けなくて、後悔してもしきれない。
でも、なんで飯田は智を知ってたんだろう。
なんで智に近づいたんだろう。
考えたところで答えなどなく
「あー…………頼むから…………無事でいてくれ。
智をこれ以上、苦しめないでくれ。
頼む。」
ソファーに座り、
俺は両手を合わせて祈るしかない。
どれくらいの時間が経っているんだろうか?
静かな廊下に、騒がしい人の気配が近づいてきた。
突然、バタバタと医師と看護師が走って来て
智のいる処置室に入っていった。
「え?
なに?
なにがあったの?」
俺は、立ち上がってドアの方に歩み寄った。
ガチャガチャという金属音
不快なピーっと鳴り続ける高い音
医師達の声
それらが、微かに聞こえてきて
俺は、後退った。
聞いてはいけないものを聞いた罪悪感。
足がワナワナと震え立っていられない。
ピー
という音が、耳鳴りのように耳から離れない。
「…………………嘘だろ。
…………うそだ。
うそだ……………。
うそだ。うそだ。うそだ。うそだ。」
と、俺の心に言い聞かせる。
「何かの間違いだ。」って
医師の一人が廊下に出てきて、警官と話をして中に入っていこうとした。
『ま、待ってください。
大丈夫なんですよね。
教えてください。』
すると、医師が振り向いて
『男性は、頭を強く打っていまして
出血量も多く、運ばれてきたときには
すでに意識はなく
最善を尽くしましたが、
11時24分にお亡くなりになられました。
ご愁傷さまです。』
と、頭を下げた。
『…………………はああ?
なくなる?』
意味が分からない。
理解できない。
なんのこと?
智は?
智はどこ?
俺の体から力が抜けた。
『これから死亡事故に変わり、
捜査が始まります。』
と、警官が口を開いた。