『和の事なんだ』
と、助手席に座る潤が言う。
そう言ったきり、黙って前を見ている。
『和の事………どうするの?』
『………………翔さんは……………
智を………どうして諦めなかったの?』
『……諦める…………か。
変な話だけど……………
俺は、突然俺の前から消えた智に
いつか必ず会えるって信じてたと思うよ。
智が死んでたとしても違う形でまた会えるって………
信じてた。』
俺は、事務所近くのパーキングに車を停めた。
そう………俺は信じてた。
智に会えるって………
『…………どう言うこと?』
と、変な顔をして俺を見る。
『…………俺は、……智が好きだった…………。
中学生の時に、ほんの二言三言しか
しゃべったことなかったけど
いつも友達の影から智を見てた?
可愛かったんだよ。
今も変わらず可愛いけど…………』
『っふふ………わかってるよ。』
『そう?
高校生になったら俺のお思いを伝えよう
って、思ってた。
でも、あんなことがあって俺の思いは宙ぶらりん。
何度も何度も手紙を書いたけど
返ってきて……………
智が死んだんだって認識したときに
俺も死のうって自殺を試みたよ。
でも、見つかった。』
『えー!!』
潤の驚いた顔が笑えた。
『はははっ………智には内緒な。』
『う、うん』
『色んな人と付き合ったけど
続かなかった。
その内、どんな形でも智には絶対会えるって
思うようになっていて
智をずーっと探してた。』
『…………すげーなっ………
その根性。』
『………考えると異常者じゃんなあ、俺。』
『でも、だから今があるんだよね。』
『そうだな。』
『……この間っから気になってたんだけど
………………その指輪………』
『………ああ。』
俺は左手薬指の指輪を見て
『同性の結婚は、世の中じゃ認められてないけど
形にしたくて…………』
『うん。』
『潤は認めてくれるか?』
『うん。
…………おめでとう。』
『ふふっ………サンキュー』
『出会うまで時間はかかったけど………
俺は諦めなくってよかったと思ってるよ。』