酔っぱらいに絡まれて駅員に事務室に通され
名前や生年月日を聞かれた。
住所や電話番号を聞かれた時に
「こっちはもういいですから。」と言って断って帰ろうとした。
後で酔っぱらいに、謝罪をさせるとか
都の迷惑条例に違反してるから訴える事ができるとか言うけど
面倒に巻き込まれたくないし
早く解放されたくて、全て断って駅を出た。
『助けてくれたのに、こんな事になってごめんね。』
と、俺たちが謝ると
『大野さん達が悪い訳じゃないですから。』
と、爽やかな笑顔を返してくれた。
『どうする?』
ニノに目を向けると
『俺、疲れた。
事務所に戻る。』
と、歩き出した。
『俺達の会社が近くにあるから
ひとまず行こうか』
助けてくれた恩人を無視もできず
一緒に行くことにした。
『ここが俺達の仕事場だよ。入って。』
そこは小さなオフィスで
デスクが3つと、来客室にはソファーがある。
『遼くんだっけ?』
俺は櫻井くんの下の名前で呼んだ。
先程、駅で名前と年齢を聞いて
10近く離れてるの知ってちょっとお兄さん風をふかしてしまった。
『君は大学生?』
『はい。』
『ご両親が心配してるね。
連絡できない。』
『俺たちは自分たちの会社だし、どうにでもできるけど…………』
と、ニノが言う。
『あっ……、そうですね。
母に連絡して迎えに来てもらうんで、大丈夫です。』
と言って
お母さんが迎えに来るまでの間
3人で色々話をした。
駅で絡まれているのを見て
俺たちを最初は女の子だと思ったとか
自分の兄貴と俺たちの年が違わないことに驚いたとか
自分はラグビーをやってるとか教えてくれた。
だからガタイがいいんだ、と納得。
正直もう、会うことはないだろうと
その時は思っていた。
なのに、あれから何度か道で
『智さん、智さん』
と、声をかけられて振り向くと遼くんが立っていた。
俺の話を聞いていた松本潤が
『その、遼って奴に惚れられたんじゃね。』
と、俺を茶化す。
『まさか。冗談はよせよ。』
『でも、気を付けろよ。』
と、忠告された。