「一緒に歩きたかったな。」
「足跡を付けるの二人の…………いつも一緒って」
「フフフ」
智の顔が、笑った声が………
次から次から思いだされる。
俺はその場に立ち尽くして動けない。
涙が止まらない………
雪が静かに俺に積もっていく。
『うっうっ………うっ』
声を殺しても
時おり漏れてしまう嗚咽は雪が包み込んで地面に落ちる。
智………
智は…………
智はもう………俺が要らないんだ。
そう思ったら力が抜けて
俺はその場にしゃがみこんだ。
体を小さくして膝に顔を埋めて……
朝早い、寒い雪の中
海に向かっての道には誰もいない………
誰の足跡だってない。
真っ白の世界に俺一人…………
ますます寂しさが込み上げた。
やっとの思いで立ち上がり一歩踏み出そうとしたとき
突然、後ろから抱き締められた。
『……来ないかと思った………』
智の優しい声に
『……は、……は…なせ……』
俺は腕を払い除けた。
『………来なきゃよかった。』
と俺は手の甲で涙を拭い智を睨んだ。
『………ニノが来ないかも……と思って迎えに来た。』
『そんなに直接別れが言いたかったのかよ。
…………勝手に行ってくれた方がまだましだ。』
『ニノ?…………なに言ってるの?
別れ話って………おれ、ニノとは別れないよ。』
『ばか。』
俺は智を避けて横切って帰ろうとした。
すると智が俺の腕を掴んで
『俺家に行こう』
と引っ張った。
『やだ。』
俺は智の手を振り払った。
『いいから……
…こんなとこで話してたら体が冷えるでしょ。
お願いだから………俺の話を聞いて。』
と智が俺の手を引っ張って行く。
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