思い出。
爺さんが魚の餌のエラコを捕まえに行く時、いつも一緒について行った。
爺さんは僕に「暇だったら遊んでろ。」と釣り竿を貸してくれた。
何も分からないまま、釣り糸を垂らしていると、見回りの漁協のおじさんが僕に話しかけてくる。
今思うと、子供が一人で危険じゃないかどうか、気にしてくれていたんだろうな。
おじさんは釣りのコツや今釣れる物の事を話してくれたり、
その辺にくっついていた貝をつぶしてエサを作ってくれた。
深く切れ込んだ眉間のシワをすっかりのばして、優しい顔で子供だった僕を見てニコニコとしていた。
あれから何年も時は経ったけど、
今でもふわりと、あの時の暖かい日差しとおじさんのタバコの匂いを思い出す事がある。





