EnglishじゃなくてSinglish
シングリッシュ:シンガポール英語 私のシンガポール人のパートナーの彼は、いわゆる一般的な英語のアクセントです。だから、シンガポール人の話す独特なアクセントをもったシングリッシュについて知ったのは、彼と知り合ってからだいぶ後になってからだったと思います。 シンガポール人が話す英語は、「シングリッシュ」と言われます。それは、シンガポールの多様な文化が融合した結果生まれた独特の英語で、イギリス英語やアメリカ英語とは異なる特徴を持っています。 面白いのは、日本人の英語がサムライアクセントとかジャパングリッシュと言われるのとまた違って、ただの「なまりの違い」だけでなく、「文法や単語までもが変化」してシンガポールに溶け込んでいる点です。 そのため、一般的な英語を話すつもりでシンガポールに来ると、「は?」ってなると思います まずそれが英語なのか中国語なのかマレー語なのか、なんなのか理解に苦しむかもしれません。シンガポール人は英語で話しているのに、そこに翻訳する人が介入するという面白い現象が生まれます。 補足として、国際企業の社内や中心地の店やホテルでは、標準的な英語が話されています。また、若者と高齢者でもシングリッシュの濃さが違ったりします。そのため、シングリッシュを聞きたい場合はローカルエリアやカジュアルな場面に行くと聞けるかもしれません。では、シングリッシュの例をあげてみたいと思います。シングリッシュの例 ⓵RやTHなどの比較的難しい発音が抜け落ちる 一番身近なのがこれです。ホーカーセンターで聞かれる可能性が高いです。 何と聞かれているかわかりますか? 「ホッオッコ?」 これは、 「Hot or cold?」(つめたいのですか?暖かいのですか?)と聞いています。 「t」と「ld」などの音が抜け落ちるのが特徴です。次はこれ、レジで聞かれる可能性が高いです。 「ユーニーッバ?」 これは、 「you need a bag?」(袋いりますか?)と聞かれています。 「d」と「g」が抜け落ちます。 ②ことごとく省略する(もはや文章ではない) 「MRT ウェッアー?」 これは「MRT where ah?」と言っていて、 「Where is the MRT station?」(MRTはどこですか?)と聞かれています。 ※MRTはシンガポールの地下鉄のこと 「dowan」 これは、「I don't want it.」が省略されています。 ③canだけでなんとかする 「no chilli, can?」 これは、「Could you remove the chilli, please?」(チリなしにできますか?)の文の意図がcanに集約されています。 「Can lah.」 これは、「I can」のことです。 ④反復する 「Take take take.」(どうぞ持って行って) 「 Don't play play.」(気を付けて) ⑤意味のない音を足す 「lah」や「meh」などの意味のない音がつきます。これは、この音を最後につけることによって、語調を柔らかくし、親しみやすさを付け足す意図があるようです。日本語でいうと、「~だよ」と語尾に付け加える感覚です。 「Cannot find leh.」(見つからないよ。) 「Don't so bad lah.」(そんなに悪くないよ。) ⑥独特の感情表現の言葉 「Wah lau eh,」(ワー・ラオレ) 「何してるの!」っていう感情表現 「aiyoh」 これは独特の感情表現で、日本語では「しまった!」「なんで!」となる場面でよく聞かれます。発音は「アイヨ~」って感じで彼もよく言います。 ⑦福建由来の新しい言葉 行く「zao」 ラッキー「heng」 誘う「jio」 急ぐ「Ka kin」 ない「bo」 など ここにあげているものはほんの一例です。 私はこのシングリッシュの中に、「コミュニケーションがとれればいい」という合理的な精神を感じます。なので、私も特に気にせず自分なりの英語を話すし、たとえそれが文法的に間違っていてもほとんどの場合通じます。多民族国家のシンガポールではどんな人がどんな言葉をどんな風に使ってもそれを受け入れる器を持っている気がしています。 英会話の練習の場として文法は学べないかもしれないけど、英語を話す度胸はつくのではないでしょうか。「can?」などの聞き方は、日本人としても「できる?」みたいな感じで、主語を言わない私達との相性が良く、英語ネイティブよりは、意外と親しみやすいような気がしています。 中国語、マレー語、タミル語などが英語と融合し、単なるコミュニケーションツールにとどまらず、シンガポール人にとってのアイデンティティを形作る上で重要な役割を果たしているシングリッシュ。「Raddit」のシンガポールトピックのコメントの内容がわかるようになれば、シンガポール人の生の声が聞こえるようになってくるのも面白いですね。最後に、シングリッシュテストとして配布されている例文を紹介しておきます。正直、私には難しくて一切わかりませんでした もはや新しい言語なのではと思うくらいです。1. Walao EH, why you liddat?2. Don't so bad LAH, he already said sorry.3. Orh HOR, you forgot to do your homework.4. Wait AH, I got toilet first.5. Really MEH? Did he really say that?6. He's a pro LEH, don't play play.7. Huh, no more coffee? Then give me tea LOR.