豊かな国で、貧しい心が育つ理由 | 受験コーチ池田潤が教える参考書学習法

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‐志望校に合格する勉強法と思考法‐

私たちは豊かで、自分が何もしなくても勝手に新しいものがどんどん生み出される時代に生まれました。


食っていくためならバイトしているだけでも大丈夫だったりするし、


家族の元にいれば何もしなくても生きていけます。


それは一つの豊かさの形ではあると思うのですが、


しかしよく言われるように、その結果として私たちに精神的な倦怠感をもたらすことにもなりました。


必死に頑張らなくても生きていけるなら、その必要性がないのなら、人は楽に流れます。


どんどん楽に流れ、何かをすることが億劫になってくる。


何かを始めよう、目標を持とう、やろう、と思っても体が重い。


重い腰が上がらない。


何もかもが重たく感じられる。


そうやって行動力が下がることでさらに刺激がなくなります。


刺激がなくなると、感じる力、感性も鈍ってくる。


すると、何かを欲したり、感動したり、動きたいという衝動も減ってくる。


その結果、精神的な倦怠感、退屈、といった状態が生まれます。


その状態になると次に何が起こるかというと、より「楽なもの」を求めるようになります。


今すぐに自分の感情を満たしてくれ、退屈しのぎをさせてくれ、この現実を忘れられるものを求めます。


どんどん、刺激を待てなくなるのです。


プロセスを楽しむ力が失われ、今すぐに感情を動かしてくれるものを求めるようになる。


だから、「面倒くさい」と感じることが増えます。


この状態になると、人生のクオリティは著しく下がり、幸福感も減ります。


よくよく考察してみると、時代が進めば進むほど、利便性が増し、自分で何かをする必要がなくなってきています。


「待つ」必要もなく、今すぐ、簡単に、が誰でも手に入る。


つまり、生きることが楽になっているわけです。


しかし、楽なことが幸せなことではないのです。


楽を求めた先に待っているものが幸せな状態ではない。


私はそういう風に思っています。


多くの人が楽なこと、何もしなくていいことが幸福なのだという風に考えていますが、


楽を追求していけば前述したような状態に陥ってしまうのです。


日本は世界トップクラスに豊かな国でありながら、世界トップクラスに不幸感の強い国である理由、その本質は、


そこにあるのではないか、と勝手に考えています。


楽だから不幸。


何かをする必要があること。何かをしたいと思えること。欲するものがあること。


それが人をエネルギッシュにするわけで、何もする必要がなければ私たちは生きている実感を感じることができません。


今や「生活する」レベルでは何かをする必要はないわけで、


だからこそ求められているのは、より高次な欲求を持つこと。


自らするべきことを見出し、自ら動き出す力。


その姿勢。その生き方です。


周りに流されるだけで生きていたら、「楽」ばかりを求める生き方になるでしょう。


今の日本の多くの人はその状態。


だから、エネルギーがないのです。


与えられるのではなく、自ら作り出す姿勢。


待っていても何も起こらないし、何もする必要のない時代だからこそ、


自らの人生を輝かせるためには、自ら動き出すことが必要なのだと思います。