自分の実力を直視する。
これは簡単なようで案外難しいものです。
なぜなら、受験生には「怖れ」や「不安」というものがあるから。
自分にではできないと思いたくない心があるので、自分はできるんだ、大丈夫なんだと信じたくなるわけです。
そう信じることは大事なこと。しかしそれは現実を直視した上で、という話。
現実を受け入れずしても「信じる」ではなく、現実を受け入れた上での信じる。
そうでなければ、技術的な対応をすることができません。
できると信じたくなるから、良い部分しか見ようとしなかったり、自分の実力を過大評価したがる。
問題が解けなかったとしても、今回はたまたまだ、と思いたがる。
もちろん、逆の人もいます。
自己評価が低い人にありがちですが、できているのに「できない」と思っていたり。
結局、自分の実力を直視することが大事だということです。
できていないのにできていると思ってもいけないし、できているのにできていないと思ってもいけません。
冷静に把握しようということ。
できているのかできていないのかを、客観的に把握していく。把握し続ける。
模試の結果を細かく検討してみたり、普段の問題演習の結果から判断していく。
私は「演習」を大事にするように指導していますが、なぜそうするかというと、演習をすることなしに自分の実力を把握することは難しいからです。
実力とは、試験で何点取ることができるのか、という結果主義で考えるべきもの。
結果を出せるかどうかが実力です。
普段の勉強量などは一切関係ないし、何を覚えているかどうかなども本質的には関係ない。
それで点が取れるのか、という部分が問われるわけですね。
実際、たくさん勉強しているのにそれが点数に反映されない人も多々います。
それは残念ですが、「実力がない」ということになります。
そして、その実力を把握するためには、実際に問題を問いてみないといけない。
これ、簡単なようですが実際にはできていない人が本当に多い。
なぜかと言えば、最初に言いましたが、みんな怖いからです。自分の実力を知ることが。
できていると思いたい。幻想の中で生きていたい。
これは勉強だけの話ではありません。
多くの人は幻想の中で生きたい。自分は良い方だ、と思いたい。
だから、自分の価値観の中で自分より「上」だと無意識の感じる人のことを嫌うし、攻撃する。
もしかすると、幻想の中で生きていたいのが人間なのかもしれません。一部の人だけかもしれませんが。
話を戻して、受験においては幻想の中で生きることは許されません。
幻想の中で生きていれば、待っているのは望まない結果です。
大事なのは、明確に、自分の実力を客観的に把握し続けること。
そして、適切な対応をし続けることです。
それができるかどうか。
それができる人は、適切な対応をすることができます。
適切な対応を取り続けることができるから、成績も上がっていくのです。
で、そういう「考え方」が身に付いているということは、人生が上手くいく可能性も高いですね。
受験におけるあり方というのは、その人の人間のあり方を映し出す鏡みたいなものです。
受験勉強への取り組み方を見ていると、その人がどういう人なのかということが分かったりもします。
これは、良い悪いではなくて。
昔から「受験を受験で終らせない」ということを言っています。
だって、学歴なんて今はそれだけでは意味のないものですから。
そこからが大事だし、これからさらに「人間」が問われていくようになる。そっちの方が大事になる。
ずーとそれは言い続けてきたこと。
そういうことでいうと、私が楽しみにしているのは、例えばプログラム生が大学生になってから。
現に、過去のプログラム生はすでに大学に入り活躍している人が多いです。
海外ボランティアやりまくってたり、1年生ながら団体の代表だったり、ビジネス始めてたり。出版に関わっていたり。
それぞれがそれぞれの分野で活躍してくれている。
ホント、大事なのはもうそこなんだ、という時代になっている。
受験勉強ノウハウを教える「だけ」の人とか、もういらないですからね。そういう人に興味を抱く時点でまずい、ということに気づかないといけない。
だって受験制度は大きく変わっていく。
今変わってないから、って言うかもしれませんが、変えようという動きがある時点で時代が求めるものが変わっているということで。
今の現行制度の教育のあり方で来た人間はもはやいらない、と産業界が「今」言っているわけで。
対応は何年も遅れるわけです。
だから一番まずいのは今の制度の中で育ってる人。これが一番まずい。
移行期にいるということは、時代が求めているものとズレたあり方の教育を受けながらも、その時代の中で生きて行かなきゃいけないということだから。
「センター対策はですねえ…」とか「だけ」言っている人もいらない。センター試験はなくなる方向で話が進んでいるし。
それは、社会が求めている人間が変わっているからです。
もうロボットのような学歴を誇りにしているだけ人はいらない。
形式の時代は終わった。大事なのは実質。
そういう時代です。
大事なのは、受験勉強を通じて自分を磨けるか。大学時代を通じて自分を磨けるか。
そこ。
これが、「きれいごとではなくなっている」ということにいち早く気づいた人が、受験を終えてからも上手くいくんじゃないかと思います。
昔からきれいごとではなかったのですが、昔いくら言っても理解されないことが多かったですからね。
今時代が追いついてきて、冷静に考えればそうなっているということが分かる時代になったな、と思います。
それでは、今日はこのへんで。