乳がんの術後
ホルモン療法をしている
そのホルモン療法とは
乳がんの餌になる女性ホルモンを徹底的に止めるアロマターゼ阻害薬を飲んでいる
その薬で骨粗鬆症のリスクが高まるということで
半年に一度骨密度検査をやっている
大学病院の乳腺外科の担当の女医は
乳がん以外の諸々にはあまり興味がないようだ
2015年の子宮全摘術後に歩行困難になったあとにやった骨密度検査がすでに良くはなかった
それを伝えても、大学病院あるあるでマニュアル通りの時期の一年に一度の検査をしようとしている
アロマターゼ阻害薬を飲み始めた時の値がわからないとその後の比較が出来ないと思うが
大学病院のマニュアルはそうではないらしく
何度か伝えても
やはりそこは変わらない
なので、了承を得て大学病院の近くの整形外科で骨密度の検査をしたところ
やはり良くない結果が出た
乳腺外科の外来時にその検査結果を持って行ったら
笑わないアイドルみたいな女医は
『本当だ......すみません·····勉強になりました』
だかなんだか言っていた
関わっている医師達の事はもちろん信頼しているが
自分の身体を守るのは自分だということも
今までの経験から学んできた
なので、骨粗鬆症に関してはそのまま個人の整形外科で定期的に骨密度の検査をし
骨粗鬆症のお薬を貰っている
今日がその検査の日だ
大学病院に近いこの整形外科はいつも患者でいっぱいだ
予約をしておけば待つこともないので
助かっている
ここの医師はあまり笑わない
愛想が良くないと言った方がいい
しかし、自分は以前からすごく信頼している医師で
何かあった時の整形外科はここと決めている
持論だが
喫茶店のマスターと医師は愛想が悪いくらいがちょうどいい
愛想が良くないこの医師が笑ったのは
自分の乳がんの手術をしてくれた教授の話しをした時の一度きりだ
本当にいつも沈着冷静で
だからと言って傲慢な感じでもない
誰よりも早く来て雪ハネをしたり
休憩時間を取らずに診察をしていた時期もあったようだ
さて、骨密度の検査は
痛くも痒くもない
横になってただじっとしていればいい
しかも時間にして数分だ
結果もすぐに出る
診察室に呼ばれ少し待つと
いつもの沈着冷静の医師が来た
検査の結果を見て
うん
と少し頷きこう言った
『上がっているのと下がっているのと....』
ん??
と、一緒に検査の結果を見る
腰椎の値は1%下がっているけれど
大腿骨は1%上がっている
アロマターゼ阻害薬で悪くなって行く一方だと思っていたが
足の骨密度は上がっている
微妙だけれど嬉しい
沈着冷静な医師は
『1%上がるって事はなかなか大変なことなんだよね』
とポツリと言う
嬉しい!!!
前回はあんなに努力をしていて
上がっていると自信があったのに下がっていてえらくがっかりした
だから今回はあまり気負いせずに
のんびりやろうと思っていた
それでも歩くことや食べるものや太陽にあたることを気をつけていた
その結果
大腿骨の骨密度が1%上がった
やった、とても嬉しい
日々の地道な努力は裏切らなかった
沈着冷静な医師も
『この1%上がるって結構大変で
なかなか上がる事はないんだけれど──』
と、また言ってくれている
嬉しくて喜んでいると
沈着冷静な医師が一瞬笑った
普段滅多に笑わない医師が一緒に喜んでくれたのだ
普段笑わない医師の
この笑顔をみれた事が何よりも嬉しい
何事も小さな努力の積み重ねで
それは喜びと笑顔に繋がる
そんなことを改めて感じる整形外科の診察だった