ガンが見つかって
それを理由に泣いたのは数える程で
悲しくないわけはないが
うまく泣けないでいた
ガンが見つかって
周りの優しさに
泣いた
大切な友人達
大切な方達からの
何気ない一言や
心からの励ましの言葉に
涙がとめどなく溢れだす
嬉し涙は
いくら流しても良いと思っている
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静かすぎる夜
普段からの癖で
今、テレビもラジオもつけずにいる
ただ自分の心臓の音と
時計の秒針の音だけが聞こえている
耳を澄ますと
風の音が聞こえてくる
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繰り返し聴いているyesterdayは
ほぼそらで歌えるようになっている
数日前に耳にした
Cancerという歌の旋律が
心に深く流れ込んできた
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そういえば········
胸にあるふたつのガンの
ニックネームをつけたんだっけ
Little twin stars
いつからそこにいるのかわからないけれど
どんな状態でも自分の大切な細胞達だ
もうすぐお別れの日がやってくる
あなたに逢えて良かったと
いえる日が来るのだろうか
今言えるのは
今まで一緒にいてくれて
ありがとうということだけだ
そしてちょっと前から
昔から繰り返し見ている夢のひとつが
ぼんやりと頭に浮かんでいる
夢を繰り返し見る意味は
ずっとわからないでいる
そして今それを思い出すのは
どうしてなのだろう
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入院前日夜
あれやこれやと
ぼーっと考えごとをしている