2017年6月28日
札幌の総合病院から一通の封筒が届いた
なんだろう?
その封筒を開けるまで、血液検査をしていた事をすっかり忘れていた
「検査結果のお知らせ」
封筒の中から取り出した、A4サイズのプリントにそう書いてあるのをみて、
「ああ、そういえばホルモンの検査をしてもらったんだっけ」
と、やっと思い出す始末だったが、更にこんな事も思っていた
「きっと『異常なし』って書かれているだろうな───あの時は割と体調も良かったもんな───でも、結果が送られてくるのが意外にはやかったな・・・」
と、思いながらプリントを眺めていく
主治医のO先生の手書きのコメント部分で、ふと目が止まる
あれ??
治療???
検討します????
『正常です』のコメントが書かれているものとばかり思い込んでいた自分は一瞬サーッと全身の血の気が引いていくのがわかった
外は25度になる暖かい日だったのに、急に寒くなった
もう一度しっかり先生のコメントを読んでみる
ホルモンバランス検査に異常を認めました
閉経状態に入りつつある結果です
体調・症状によっては内服治療など検討します
見慣れたO先生の達筆過ぎる崩れた字を何度も何度も見直すが、何度見ても結果は同じだ
「がーん」とか、「がっかり」、あるいは「がっくし」という言葉がぴったりくる結果だった
2カ月前からのなかなか治らないしつこい眩暈も、ゴールデンウィーク明けに発症した帯状疱疹も、何だかわからないままただ免疫力が落ちていると周りに言われて終わっていた
更にここ一週間は理由がわからない水状の激しい下痢になったり、頭痛、眩暈の悪化とそれに伴う吐き気、体の異常な凝り、痛み、そして長年付き合っている不整脈が顕著に出ていた
理由がはっきりわからなくて、自分が我慢できる程度のものは、大抵しばらくすると改善されていくのだが、どうも今回はそういうわけにいかなそうだ、こりゃ参ったな・・・勉強もさっぱり進んでいかないし、不整脈だけはもう一度しっかり検査に行こうかな・・・
と、思っていた矢先の出来事だった
とりあえず、次の受診は9月の編み物検定が終わったあとにしてもらっていたのだが、治療する事でこのわけのわからない不調が少しでも改善されるなら今すぐにでも治療を始めたいところだ
しかし、O先生のいる病院は札幌
自分は旭川より更に奥地の地域にいる
ちょっと話しをしに行く距離ではない
まずは確認をしてみようと電話をかけるが、札幌の総合病院は大きな病院だ
想定内ではあったがすんなり用件は済まなかった
折り返し、担当者から電話を入れるということで、一旦電話を切る
さて、体の不調の原因が何となくホルモンバランスによるものかもしれないとわかったのだが、不整脈がとにかくひどい
やっぱり検査をしてもらおうと、いつもかかっている循環器にいこうとするが、今日は午後から休診だった
明日までまとうかとも思ったが、不整脈が続くのがしんどい自分はとにかく検査をしてもらおうと、スマホでかかれそうな病院を調べてみる
以前咳がひどくてかかったことのあるクリニックがヒットした
そのクリニックは長引く自分の咳の原因がつかめなかった。ある日そのクリニックの中で酷く咳き込み続け、肋骨に鋭い痛みがはしった。
その後、すぐにその異常な痛みを訴えるもなかなか理解してもらえず、一度家に戻り、整骨院へ行き異常を確認してもらい、もう一度クリニックに連絡をしてレントゲンを撮ってもらうことができ、やっと、
「これは・・・痛かったですね、折れています」
と、ようやく痛みを理解してもらえたという苦い思い出のあるクリニックだった
終わったことは割とどうでもよくなる方だが、流石にそんな病院にまたかかるのはどうかと頭を悩ませる
そうだ、今かかっているリハビリの病院にも循環器はなかっただろうか?と思い直し、電話をしてみると、検査も出来るし、さらにいつも自分がかかっている先生も出ているから来て下さいとの事だった
その時何となく嫌な予感はしていたが、不整脈は相変わらずだし、身体もしんどい、電話で検査も出来ると確認しているんだから良いだろうと、リハビリの病院へ向かった
案の定、その嫌な予感はあたった
病院に着き、すぐにとった三分間の手首足首だけの心電図は何も異常は出なかった
それは自分にもわかったので、今は治まっていることを告げて終わった
しかし、検査技師が何やらヒソヒソ話している
「なんでこの検査だけ??オーダーが間違えてるんじゃないの??」
リハビリ病院の担当の医師の性格を把握しているので、間違えていないことを確信していた
その後二時間待たされ、ようやく診察に呼ばれた自分に担当の医師はこう言った
「僕わからないから、循環器にいったらいいと思うよ」
ああ、やっぱりなと思ったが、喧嘩をするためにここで二時間も待っていたわけではない
「ここにかかる前に、電話で不整脈の検査が出来ると確認し、さらに、来て下さいと言われたので来たんです。今具合が悪いんです。検査して下さい」
と、いうと、また予想通りの答えが返ってくる
「検査は出来るけれど誰がみるの?僕は不整脈わからないよ」
期待通りの答えにさらに、こう言い返す
「先生が診れないことは今までのことでよくわかっています。なので、以前検査をしてもらった病院に行こうと思ったのですが、そこは今日はやってなく、でも、不整脈がいつもより酷く苦しいのでここに確認の電話を入れたんです。看護師が、大丈夫ですよ検査も出来るしすぐに来て下さい。といってくれたのでここに来たんです。あの確認の電話での対応はなんだったのですか?ここの病院で不整脈は診てもらえないのですか?」
ここまでいうと、医師は
「でも、さっきとった三分間の検査は何ともないよ」
と言いだす。わからないのに、何ともないって答える自体おかしい
「そうですね。その検査の三分間は自分でも不整脈の自覚はなかったです。でも、いつもと違うんです。診てもらえないですか」
ここまで言ってもまだこの医師はこう言った
「今日検査をしても、検査の結果は一週間かかるよ。うち、委託だからさ」
やる気のない医師の思いを有り有りと感じた自分は、半ば呆れてこう答える
「前に検査をしたところも一週間かかっていますよ・・・」
そこまで言って、医師はようやくこう言った
「今日ホルダーを付けていこうか・・・来週木曜日、午前中に循環器にかかれるようにしておくから」
いつもは意味もなくニコニコして夢見がちな事を言いがちなこの医師も、今日は始終険しい顔つきをしていた
札幌からの検査の結果も見せたが、一瞥しただけでカルテに書き込む事もコピーをとる事もせずに、投げるように返された
その後、24時間ホルダーをつけている最中に不整脈が酷く出た
何だかわからないが、とにかく体力を奪われた気分だった
その後、リハビリの先生に医師との診察室での事を話すと
「あの医師によくもそこまで言えましたね」
と、笑っている
長引く入院生活で、医師の言いなりになってはいけないことを学んだことと、患者はある程度の主張は大切だということをいうと
リハビリの先生は笑いながらこう言った
「本当にそうですね。でも・・・やっぱりあの医師にそうはっきり言えるってすごいですよ」
すごくはない、自分の身を守る事に必死なのだ
身体の不調は自分にしかわからない事も多いし、それで辛い思いをするのは自分なのだ
めちゃめちゃな文句を言っているわけではない
ちゃんと確認をしながらこっちは動いているのだ
自分の病院嫌いにさらに拍車がかかった今日の出来事だった
医者も人間だ
面倒くさい事には関わりたくないのもわかる
だが、なぜ医者になったのだろうか
医者になろうと思ったときのこと
医者になったばかりの事を思い出してもらいたい
医者と患者は対等な立場なはず───
長い入院生活で、自分が耳にして以来ずっと引っかかっている言葉の一つである
マイペースで夏のプルオーバーを編んでいる
編み物検定の勉強はここ数日ほとんど出来ていないが、今日は病院で二時間待たされたおかげで作品を編み進む事ができている
そういえば、札幌の病院からの折り返しの電話は、一旦お待ち下さいと言って切った3時間後だった
しかも、それはちょうど先ほどの医師とのバトルの真っ最中であったため、出れずに終わった
明日またかけ直すことにしよう