2015年巨大子宮筋腫のために
子宮全摘術を行ったその後の記録です
2017年3月10日に書いたものです
この一週間で、不思議とおばあちゃんづいている日があった
ひとり目の愛すべきおばあちゃんは、循環器科の待合室で出逢った
よく晴れた日だった
いつもより空いている感じの待合室で、本を読んで自分の順番が来るのを待っていた
ふと気が付くと、自分の横辺りで立っているおばあちゃんがいた
周りの席は空いていたが、自分は自分が座っていた場所を少し右にズレて、その立っているおばあちゃんに
「どうぞ座って下さい」
と、声をかけた。そのおばあちゃんは自分の右隣に座っているおじいちゃんを指して、
「それ、うちの旦那なの」
と、言ったので、自分はおばあちゃんがおじいちゃんの横に座れるように逆に移動した
おばあちゃん(立っている)→自分→おじいちゃん
だったのが、
自分→おばあちゃん→おじいちゃん
の並びで無事に座る事が出来た
そのおばあちゃんと少しお天気の話しをして、また本に目を戻した
隣のおばあちゃんは、ひとりでなにやら喋っている
「お天気が良くて気持ちいいわ」とか
「男の人がひとり、ふたり、さんにん、
女の人がひとり、ふたり、・・・」
とか、普通は心の中で思うようなたわいのない内容だった
そのおばあちゃんの独り言に、
時々相槌をうちながら本を読み進めていた
しばらくして、おじいちゃんが大きなくしゃみを二回ほど
「ハックション!!」
「ハックション!!!」
とすると、おばあちゃんは怒り出し、
「みんな静かにしているんだから、あっちにいってくしゃみしてよ」
と、言い出した
そんなに怒らなくても良いのにな・・・と思ったが、おじいちゃんは何も気にしてなさそうだった
また本を読み進めていった
おばあちゃんの独り言は相変わらずで、若干痴呆が入ってるなということがわかったが、可愛いらしいな・・・とも思った。
亡くなった祖母を なんとなく 思い出していた
すると、突然、おばあちゃんが
「ハックション!!」
「ハックション!!!」
と、くしゃみを二回した
さっきあんなにおじいちゃんに怒っていたのに、おばあちゃんはおじいちゃんと同じようにその場でくしゃみをした
可笑しくてつい笑ってしまった
そして、笑いながら
「くしゃみもうつるんですね」
と、いうと、おばあちゃんは
「ね~ちょっと、嫌だね~さっきじいちゃんにあっちいけって言ったのに私がくしゃみしてしまったよ・・・」
と、言うので、さらに可笑しくなった
それから本を読むのをやめて、そのおばあちゃんと話しをすることにした
「今日はいい天気だね」
「男の人がひとり、ふたり、・・・」
まるで今初めて話すかのように、同じ話を繰り返すが、時々違う話題にもなる
そして、また天気が良い話に戻る
エンドレスの会話だが、いつも痴呆の方にするように、ひとつひとつ初めて話す事のように返事を返す
このおばあちゃんがとても愛おしく感じていた
自分が先に診察が終わり、帰ろうとすると、おばあちゃんは玄関先まで見送ってくれた
「楽しかったわ、ありがとう。またあなたに逢いたいわぁ」
と、大きく手を振ってくれていた
そんなおばあちゃんを見て、嬉しかったが、こうも思った
次に逢うときは、きっと自分の事は忘れているだろうな・・・
満面の笑みを浮かべて手を振ってくれているおばあちゃんが可憐な少女に見えた
────────
ふたりめの愛すべきおばあちゃんは、駅の立ち食いそば屋で出逢った
循環器科が終わった約20分後、
札幌へ向かう為に旭川駅にいた
朝から愛鳥をお店に預かって貰いに行ったりもしたので、何も食していなかった
お腹がぺこぺこだったので、何か食したい
もう13時半だ
食券制の食堂に入ろうかと思ったが、杖をついているのでお盆がもてないので諦める
イレブンにしようかと思いながら、いつものように、みどりの窓口でJRの券を購入した
みどりの窓口の横に立ち食いそば屋があった
駅の立ち食いそばは大好物だ
おじさんばかり3人がそこで蕎麦をすすっていたのを見て、
一瞬やめようか迷ったが、お腹がぺこぺこだったのもあり、おじさんたちに混ざって立ち食い蕎麦を食すことに決めた
立ち食い蕎麦はさっと食べるモノなので、3人いたおじさんたちは、あっという間に食べ終わり、ひとりのおじさんだけになった
そんなのはお構いなしに立ち食いそばを美味しいなぁ~と思いながらすすっていると、ひとりのおばあちゃんが立ち止まり、蕎麦を頼んだ
おばあちゃんの蕎麦が出来たタイミングで 三人目のおじさんも食べ終わり、立ち食いそば屋のお客は、自分とそのおばあちゃんの二人になった
自分は奥の方へ移動して、おばあちゃんも
「奥が良いよね・・・」
と、良いながら、移動してきた
そして自分の顔をみると、
「高校生かい?」
と、聞いてきた
啜っていた蕎麦が口から吹き出そうになった
自分は年齢より幼く見えがちではあるが、高校生とは・・・思わず笑ってしまう
それがきっかけで、そのおばあちゃんのマシンガントークが始まった
琴似にいる孫のこと
旦那さんが数ヶ月前に亡くなったこと
旭川の○○耳鼻科はダメだということ
おばあちゃんの話しを聞きながらも蕎麦をすすっていたが、おばあちゃんは話すことに熱が入り、蕎麦の箸が止まったままだ
何となく寂しかったのかな・・・と感じたが、あれだけ話せばすっきりしただろう
循環器科で出逢ったエンドレスおばあちゃん
駅の立ち食いそば屋で出逢ったマシンガンおばあちゃん
2人の愛すべきおばあちゃんに幸あれと願わずにはいられない