さて、前回まででディスカウントの基準となる要素、領域、タイプ(種類)レベル(様式)と説明してきましたが今日はそれらをまとめたディスカウントの図表、その名も「ディスカウントマトリックス」のお話です。
このディスカウントマトリックスはエリック・シグモントとケン・メローの考案によるものでディスカウントの性質と強さ、つまりタイプとレベルを見分けるシステマチックな方法です。
まず左の縦軸の上から 存在、重要性、変化の可能性、個人の能力とディスカウントのレベルが入ります、そして上段の横軸はレベルの「存在」の左側から。刺激、問題、代替案と並びます。
不鮮明ですいませんがディスカウントマトリックスです。
このマトリックスでは[レベル]が4段階と[タイプ]が3タイプ、つまり4×3=12の因子でディスカウントをシステマチックに考えていきます。今は、領域については一旦はずして考えます。
まずはスタンダードにディスカウントマトリックスの使い方を説明します。
スタートは左上の [レベル]存在・[タイプ]刺激 の箱から右下の [レベル]個人の能力・[タイプ]代替案
に向って右、又は下に箱を移動していきます。
① [レベル]存在・[タイプ]刺激 のディスカウントかなかったかを考えま
す。
例 「何かこの車、変な音がしていない?」
(実際に誰が聞いてもキーキー変な音がしている)
「音?音なんかしてないよ!」
となると「刺激」のディスカウントをしている、となります。まずは音とい
う刺激の存在の共通認識をもたないと話がかみ合いません。
[レベル]存在・[タイプ]刺激のディスカウントはもっとも大きなディスカ
ウントです。
②次に右の箱に行ったとします、[レベル]存在・[タイプ]問題のディスカ
ウントです。
例 「何かこの車、変な音がしていない
「音?確かにキーキー聞えるね・・・でも車は走っていれば音くら
いするものだろ?」
となると「問題」のディスカウントをしている、となります。
音という刺激の存在は認識していますが、その音に問題が存在して
いるとは思っていません。
③次に下の箱に行ったとします[レベル]重要性・[タイプ]問題のディスカ
ウントです。
例 「何かこの車、変な音がしてるけど大丈夫?」
「確かにキーキーと変な音がしているよ、だけどこの車はすこぶる
快調だよ」
となると「問題の重要性」のディスカウントをしている、となります。
音という刺激の存在とキーキーと音がすることは変であり問題だと
は認識していますが、その音の問題の重要性を無視して走り続け
ています。
④次にさらに下の箱に進みます。 [レベル]変化の可能性・[タイプ]問
題のディスカウントです。
例 「何かこの車、変な音がしているけど止まってエンジンをみなくて大
丈夫」
「確かに君の言う通りだね、だけど止まってエンジンを見るより早く目的地に着いた方がいいだろ」
となると「問題解決の可能性」のディスカウントをしている、となりま
す。音という刺激の存在とキーキーと音がすることは変であり問題
だとは認識し、かつ止まってエンジン私見る重要性までを認識して
います。しかしそれをすることによって、もしかしたら問題が解決す
るという可能性を無視して先を急ぎ走り続けています。さてこの御一
行はこれからどうなってしまうのでしょう…
⑤次は右に行ってみましょう。 [レベル]変化の可能性・[タイプ]代替案
のディスカウントです。
例 音が突然しなくなったと思ったらついにエンジンが止まってしまいま
した。
「やっぱりどこかおかしかったんだね、応急処置で走れないか知り
合いの整備士さんに電話してみることができるけど、どうする?」
「確かに今この車は何らかの処置が必要なようだ、君には悪いけどこの車はちょっと特別で普通の整備士ではきっと修理は無理なんだぜぃ~」
となると「代替案の実行の可能性」のディスカウントをしている、とな
ります。問題解決の可能性として修理が必要なことは認識していま
すが、それに対して出された「整備士に電話して聞く」というせっか
くの代替案を「この車は特別で普通の整備士では修理は無理なん
だぜぃ~」とディスカウントしています。
⑥ 次に下に行って最後です。 [レベル]個人の能力・[タイプ]代替案の
ディスカウントです。
例 エンジンが止まってしまいました車の周りでたたずむ一行、辺りはだんだん暗くなっていきます。
「そうなんだ、ならばこの車を見れる、整備士さんに連絡をとって
みてよ!」
「君の言う通りだね。しかし僕はその人の携帯電話番号、いや会社の電話番号すら知らないんだ、いったいこの僕に、この車をどうしろって言うんだい!」
となると「代替案に基づいて行動する個人の能力」をディスカウント
をしている、となります。
「ならばその特別な整備士に電話して聞く」という代替案が出されま
したが電話番号を知らないという理由だけで代替案に基づいて行
動する個人(自分)の能力をディスカウントしています。
その整備士に連絡を取る方法はいくらでもあるはずです。
ここでは、このシリーズの~その1~で書いた、4つの受動的行動
の、「いらいら」と「無能」あたりにいます。しばらくするとキレて暴力
(車を蹴飛ばすなど)につながりかねませんね。
さて、ディスカウントマトリックスを段階でたどってきましたがいかがでしたか?まずは初めの右上の箱、「刺激(の存在)」をとらえられるかが大きなカギとなりそうです。
大切なことは「成人」の自我状態をフル活用してディスカウントの気づいた時点でディスカウントをやめることです。又、何かおかしい、問題だぞ、と思ったら今はマトリックスのどこの箱にいるかを考えてみましょう。
さて、次回は、皆さんも気になっていたと思うマトリックスの左上につ
いているT1~T6と箱を結ぶ矢印のお話しです。
