早いもので、あれからもう1ヶ月。年末年始は慌ただしく過ぎ、そのあとも原稿締切に追われてほったらかしたままだったが、今更ながら遠い記憶を辿りつつ、「2015年を締めるに相応しかったライブ3本」について記しておこう。
2015年12月27日(日)から29日(火)。僕は関西に出かけていた。
もともとの目的は「京都・磔磔で麗蘭恒例の年末ライブを観る」こと。ほかの場所でほかの時期に観るのと違って“磔磔で年末に”観る麗蘭のライブは特別なものだと前々から話に聞いていた。いつか自分もそれを体感したい、体感しなきゃいけないんじゃないかと、ずっとそう思っていた。加えてその麗蘭のライブの前日、同じ磔磔で木村充揮のソロライブもあると知った。だったら行きましょう。そう決心してチケットをネットでとり、新幹線と宿の予約も入れたのだった。
ザ・たこさんのフリーライブが27日の昼間に大阪は道頓堀川沿いで行なわれることを知ったのは、そのあとだ。
新幹線の切符は京都までしか買ってなかったのだが、時間を調べてみると、とってあった切符の時間でそのまま大阪まで行き、そこから急ぎ足で道頓堀に向かえばザ・たこさんのフリーライブの開演時間にどうやらギリギリ間に合うようだったし、それが終わってすぐに京都に戻れば磔磔の木村さんのライブにも間に合いそうだった。やった! ついてる! オレのためにスケジュールを組んでくれたかのようだ。そんな気持ちで年末、僕は関西に向かい、2泊3日でザ・たこさんと木村充揮と麗蘭という大好きな3組のライブを観てきたのだった。
2015年12月27日(日)
道頓堀川沿いで、ザ・たこさんのフリーライブ『年末恒例!入場無料投げ銭ワンマン~ザ・タコサンアワー』。
2014年の年末ワンマンは観に行けなかったので、僕は2年ぶりに観ることとなった「入場無料投げ銭ワンマン~ザ・タコサンアワー」。例年はマツケンさんのお店、十三のクラブウォーターで開催されていたものだが、今年は初の試みとして、なんと道頓堀川沿いに場所を移しての野外公演。「今年は野外でやるんですよ」と渋谷クアトロの打ち上げの席でメンバーから聞いたときには、真冬に野外でワンマンとはまた無謀なことをと思ったものだが……果たしてその場所(相生橋と太左衛門橋の間あたりにある「近江屋ロージュ」さん前)に到着すると、特設ステージ前にはけっこうな数のひとたちが集まっていて、さらに川を挟んだ向こう岸にも大勢のひとが待っていたのだった。
14時半を少し過ぎたあたりでメンバー3人が位置について準備。最近のOPインスト「ネギ畑」でライブはスタートし、MCキチュウの煽りで一気に着火した。
セトリは以下の通り。
ネギ畑~ラブアタック~ロクシマ~首回転~テーマ~ナイスミドル~バラ色~ヤンタン~中之島~モ・ベタ~グッとくる~ヤンタン~お豆ポン~初期のRC~上沼~ヤンタン~コッチマーレー~ZZトップ~愛の讃歌~ヤンタン~ケンタッキー~G馬場~女風呂(マントショー)~監獄ロック。延長戦:ヤンタン~カッコイイから大丈夫~人生~テーマ。以上、生聞120分!
まずはとにかくロケーションがいい。道のゴール地点ではなく川沿いの通りの途中の一段高いところにステージが組まれているわけで、つまり普通にいろんな人たちが通っているところ。かっこよく言えばストリートって言うんですか。そういうところで何やらライブが行われているという、そのハプニング性みたいなものがザ・たこさんに合っているのだ。
たこ好きならご存じの通り、彼らはきちんと組まれた場所よりもむしろこういう場所でこそ力を発揮するバンドだし、とりわけヴォーカルの安藤さんはそういうほうが燃えるタイプ。それもあって、今回はいつものクラブウォーターではなく、このような場所でやることにしたのだろう。どんなひとが集まってくるのかわからないし、どんな天気になるのかもわからない。通りがかりの誰かが乱入することだってあるかもしれないし、苦情がくることだってあるかもしれない。何が起こるかわからないという、その面白さだ。
実際そういうなかでライブをすることを、メンバー4人は……とりわけ安藤さんは、とても楽しんでいるようだった。また、もっと寒くて震えながら観ることになるかもと覚悟していったのだが(ちゃんとカイロも用意していたんだが)、真ん中あたりの真ん前でずっとカラダ揺らしてノッて観てたからか、ライブ自体の熱気からか、思ってたほどには寒さも感じなかった(まあ、さすがに日が暮れてきたあたりからはだいぶ冷え込んできてたけど)。
セトリ的には、代表曲的なたこファンクあり、歌ものあり、さらには新曲もあり。つまり単なるベスト選曲ライブではなく、しっかりと「いま」のあり方を見せていたところが素晴らしかった。
首回転こと「Roll Your Neck」を開幕早々(テーマよりも前)にもってくる意外性。名曲「バラ色の世界」から「中之島公園、16時。」「モ・ベターライフ」「グッとくる」と歌ものを続けた前半戦の、これまたある意味意外性。そのように聴かせどころを序盤に作っておきながら、珍曲「お豆ポンポンポン」で脱力させて笑わせる持っていき方。憎いね、どーも。
因みに「お豆…ポンポンポーン」と安藤さんがおかしな声でおかしな動きをしていたまさにそのとき、川には「ぽんぽん船」と大きく描かれた船がスーっと現れるという奇跡的なそれもあったりで、さすが安藤さん、“もってる”なぁと。
その後、山口さんの歌う「“初期のRCサクセション”を聴きながら」でライブにアクセントつけたり、さらっと「KAMINUMA」もあったりしたが、そのあとの「コッチ・マーレー」から「見た目はZZトップ」に続いたところが僕的には最高にしびれた。この2曲のギターとリズムのかっこよさは本当にちょっとどうかしてるくらい。ザ・たこさんのロック的な意味での魅力がその2曲に凝縮されてた感じでね。この日のこれがハイライトじゃないかと、僕にはそう思えたものでした。
そして、「愛の讃歌」を安藤さんが熱く歌いあげたあとには、ゲストサックスでK-106の啓太郎が特別参加。「ケンタッキーの東」からG馬場こと「BLUE MOUNTAIN BLUES」へと展開させ、「突撃! となりの女風呂 (On A Blow)」でマントショー。安藤さんがステージから通りへとはけていくその度に脇で見てたおばあちゃんが何やら絡んだりしていて、そういうの、まさにこうした野外ライブのオモロイところ。ああいう場面があるだけでも、僕はなんともあたたかな気持ちになるのだ。
本編はそのマントショーで終わらず、ここで唐突に放たれたのがなんと「監獄ロック」(日本語Ver)。元はもちろんプレスリーだが、言うまでもなくザ・たこさん的にはブルースブラザーズのマナーにのっとったもので、いやぁ、これが最高だった。初めて聴いたが、これはこれからも長尺ライブの際にはやってほしいものだ。
その「監獄ロック」にも驚かされたが、アンコールではなんとオリジナル新曲も初披露。その題、「カッコイイから大丈夫」。一度聴いただけで耳に残ってつい歌ってしまう、そんなキャッチーさもいい感じの曲だ。
そしてアンコールは、これをやらずに(聴かずに)終われない「我が人生、最良の日」。からのテーマで締め。大団円で約2時間のフリーライブが終了した。
ザ・たこさんのメンバー4人も最高だったが、観客のノリもいつにも増して最高だった。また、MCキチュウは開幕時とマントショーでステージにあがった意外ずっと、ステージ前の細い道でちゃんと通行人がスムーズに通れるよう誘導したりしてもいた。つまり出演者のひとりでありながら、スタッフとしてもライブを支えていたわけだ。
その手作り感。楽屋としても機能させながらバンドに協力した近江屋ロージュさん含め、ひととひととの結びつきでできあがってる感。それこそ、これぞ大阪ファンクと言えるもので、僕はそこに立ちあえた幸せをまた強く実感したのだった。
人生ワンダフォー。おお、ビューティフォー。そして僕は京都へと。