2018年10月29日(月)

 

来年1月4日公開のドキュメンタリー『ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~』を試写で観る。

 

上り坂よりも下り坂をじっくり描いた作品。光と影で言うなら、光が3、影が7くらいの割合か。よって好き度の強かった人ほどツラい気持ちになるんじゃないか。ホイットニー・ヒューストン財団公認ということで、確かに音楽的な背景もしっかり語られているのは良いのだが。ホイットニーを知らない世代がこれを観て彼女にいい印象を持つかというと、さてどうかなぁ。『AMY エイミー』とよく似た構造だが、あの映画には故人に対しての愛があった。『ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~』はそれが希薄のように僕には思えた。

 

2018年10月28日(日)

 

渋谷duoで、なかむらしょーこちゃんのバンド、SMOKY & THE SUGAR GLIDERの1周年企画ライブ。出演はGOOD BYE APRIL、all about paradise、マキアダチ、Salley、SMOKY & THE SUGAR GLIDER。

 

エイプリル以外の4組は観るの初めて。井上陽水とのツアーを経てますます腕をあげた感じのしょーこちゃんの暴れん坊な弾きっぷり、かっこよかったわ。エイプリルは新作収録曲「君は僕のマゼンタ」がライブ映えしてとてもよかった。

 

2018年10月27日(土)

 

新宿紅布で、山﨑彩音 アルバム『METROPOLIS』リリースパーティー Salon de by Yayavsky。出演はbetcover!!と山﨑彩音。

 

まずは「セブンティーン」という曲のMVにけっこうな衝撃を喰らって以来、早くライブを観なきゃと思っていたbetcover!!。多摩地区出身の19歳、ヤナセジロウのソロプロジェクト。

 

底なしの才能。音も声も歌詞もいいし、ふてぶてしさと暗さと純粋さとがゴチャ混ぜになった態度や、内側で爆発したがってる感情ゆえに思わず奇声が出ちゃう動物みたいなところにも惹きつけられた。バンドメンバーたちもしっかり彼と同じ方向を向いている。鳴り音がロックであってもメロディの奥にそこはかとなくソウルが流れてるっぽいところもツボ。曲によってフィッシュマンズ、坂本慎太郎、ジャックスなどからの影響が見え隠れしてたが、それもありつつ、でも自分のなかの宇宙が大きく広がっていて、世の中のあれこれに抗ったり諦めたりしながらも音楽が鳴ってるそのときだけは気持ちよく泳いでいるという、そんな感じ。すんげぇよかったので、終わってすぐにCD『サンダーボルトチェーンソー』購入。

 

↓「セブンティーン」MV。
https://www.youtube.com/watch?v=cTX_jyQiqHU
(曲も歌詞も映像も全てが素晴らしいでしょ、これ。この夏、何回繰り返し聴いたことか)

 

続いてこの夏に出た初フルアルバム『METROPOLIS』で一気に飛躍を見せた山﨑彩音。betcover!!=ヤナセジロウと同じく19歳。15歳から弾き語りのライブを始めて17歳でフジロックにも出たが、去年の暮れに同世代のミュージシャンたちとバンドでのライブを実験的に開始。で、『METROPOLIS』制作を経て、今回は新バンドでのほぼお披露目ライブ。

 

10くらい年上だというミュージシャンたち(本棚のモヨコのベース、ギター、ザ・ラヂオカセッツのドラマーら)からなるバンドを率いてセンターでギター弾きながら歌う彼女に力みはなく、弾き語りでやってた頃同様、やはり堂々とした佇まい。声の出し方も自然で、決してエモーショナルに行き過ぎない(バンド編成だからといって特別大きな声を出そうとしているふうでもなかったが、それであれだけ声をしっかり立たせられるのはたいしたもの)。一言で言えばクール! なのだ。が、以前から彼女はバンドで歌いたいという思いもあり、それをこうして最良の形で実現できている、好きな音を鳴らせているという嬉しさは、やはり伝わってくるもの。僕の大好きな「ロング・グッドバイ」の途中、思わずといった感じで自然にこぼれた笑みがとても幸せそうに見えて、なんだかグッときた。

 

ひとつのバンドとしてもいい感じだ。中盤からギタリストがもうひとり加わってグランジ的な音の鳴りを強める方向に行ったけど、僕的には前半の「世界の外のどこへでも」のようにポップさをちゃんと際立たせた演奏のあり方のほうがよりよかった。そういう意味で、バンドのなかでただひとりだけ明るい笑顔で演奏していた西山小雨さんのハモンドオルガンの音とコーラスが最高にいい機能を果たしてたし、ムードとしても明るくなって、このバンドに彼女がいるのはすごくいいことだなと思った。

 

『METROPOLIS』は今年最も繰り返し聴いたアルバムのひとつなんだが、昨夜のバンドアレンジ表現によって“もうひとつのMETROPOLIS”がそこに立ち現れたよう。大きく生まれ変わった旧曲も含め、これからライブを重ねる度に山﨑彩音の楽曲たちはさらにまた違う表情を見せるようになるのだろう。来年1月26日のライブが早くも楽しみでしょうがない。

 

↓「ナイトロジー」MV。
https://www.youtube.com/watch?v=OqA36gZdUHA

 

↓「世界の外のどこへでも」MV。
https://www.youtube.com/watch?v=V5SvWuEmidg

 

2018年10月23日(火)

 

L.A.生まれハワイ育ちのシンガー・ソングライター、ロン・アーティス・ザ・セカンドにインタビューして、そのあとビルボードライブ東京の公演へ(1stショー)。

 

想像を上回る素晴らしさ。ラウル・ミドン(←影響受けてるって言ってた)かキザイア・ジョーンズかってなパーカッシブなギターのテクも凄いが、なんたって歌声が優しくてあったかくてソウルフル。まさに魂で歌ってるって感じで、めちゃめちゃグッときた。途中、ウクレレで弾き語りしたりもしたけど、ウクレレであんなにソウルフルに歌えるひとなんてそうそういないんじゃないか。

 

ライブで歌う曲はちゃんと決めてなくて、その場の雰囲気に合わせて歌うとインタビューで言ってたけど、ほんとにそんな感じで、最後の曲はしばらく「何歌おうかな」と考えて、結局熱心なファンのリクエストに応えてた。

 

人柄すっごくよかったし、ライブは最高だったし、僕、すっかりファンになっちゃいました。今度はぜひバンドでも公演してほしいもんです。

 

*アエラスタイルマガジンに書いた紹介記事はこちら。
https://asm.asahi.com/article/11857464

 

2018年10月21日(日)

 

テアトル新宿で、『止められるか、俺たちを』。

 

なんといっても門脇麦が素晴らしい。若い女優さんのなかで一番好きなのです。毎熊克哉と藤原季節の『ケンとカズ』コンビもよかった(それにしても毎熊克哉は超大ブレイク中だな。ものすごい数の作品に出てる。いい顔してる、いい役者だもんねぇ。大好きです)。あと、曽我部恵一の音楽もはまってた。パンフレットも大充実で読み応えあり。

 

何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた吉積めぐみ(門脇麦)の半生~苦悩と結末に『二十歳の原点』の高野悦子が重なったりも。

 

2018年10月20日(土)

 

新宿バルト9で、『アンダー・ザ・シルバー・レイク』。

 

「これって夢オチ?」の繰り返しで続いていく2時間20分(長え)。ポップカルチャー好きならニヤリとさせられる場面はいろいろあれど、物語がドライブしてかない感じがつらい。ソングライターのあのピースとか前のめるとこもあるにはあるんだが…。1時間半くらいでおさめてくれたらだいぶ評価は変わったかと。でも嫌いじゃない。

 

2018年10月18日(木)

 

六本木EXシアターで麗蘭。

 

驚くくらいにカヴァー多め。もちろん全てチャボの日本語詞。そうまでしないとその曲の魂をつかめた気がしないのだろう、チャボという人は。旅立った偉大な音楽家たちと今もタフに活動し続ける偉大な音楽家たちへの敬意に満ちた2時間半。

 

2018年10月17日(水)

 

浅草公会堂で、ワタナベイビー生誕50周年記念ライブ。

 

ホフディランのライブを軸に、豪華ゲストを迎えての2時間数十分。千原ジュニアが司会進行を務め、ナイツの漫才、みうらじゅんといとうせいこうのスライドショー、竹中直人は歌ったり“笑いながら怒る人”やったりで、最後にホフとチャボのセッション。生ナイツはテレビで観るよりオモロイなぁ、とか、ただただ普通に司会だけさせるジュニアの使い方、贅沢だなぁ、とか、いろいろ楽しかった。でも、清志郎と共作した「坂道」をチャボのギターで歌って「幸せです!」と心底幸せそうな笑顔で言う今夜の主役(←ベイビー)にやっぱ一番グッときたな。よかったねえベイビー。こっちまで幸せな気分さ。

 

あと、ベイビーのお父さん、結局会場には来なかったらしく、ユウヒがベイビーに理由を尋ねると、(ベイビーが音楽を職業にしていることを)「まだ認めてないから」……ってえのが今日一笑ったところでしたw

 

帰りにベイビーの新作、購入。聴くの楽しみ。

 

2018年10月15日(月)

 

新宿ピカデリーで、『イコライザー2』。

 

暴風雨の海辺の町など荒れた風景描写と残虐な暴力のトーンの重なりが美しく思えるほどで、これは劇場で観てこそ。しびれたね、今回も。あと『ムーンライト』でシャロンを演じたアシュトン・サンダースが、この作品でもやはりよかった。

 

因みに新宿ピカデリーの最終は自分含めてひとりで観に来てる中年男性ばっか。まあ、そういう映画よね。

 

2018年10月12日(金)

 

さいたまスーパーアリーナで、サム・スミス。

 

素晴らしかった。期待を遥かに上回った。思いのこもった歌というのは、こんなにも聴く者の心を震わせるのか、と。

 

ステージの使い方(そのままの広いステージを使わず、アリーナにせり出した通常のライブにおける狭いサブステージ部分をメインステージとする)を含め、たまアリという大きな会場がライブハウス……というより教会になったようなあり方。ギタリストや女性コーラスのひとりが後半のある場面で前に出てくる以外は常にサムだけが前にいる状態で、ダンサー乱舞みたいな派手な演出は一切なく、いたって簡素。ゴスペルコーラスが非常に効果的ではあったが、基本的にはサムの清らかな歌声それだけがそこにあるといった印象を与えながら進んでいったライブだった。にも関わらず、それはやっぱりエンターテイメントと言っていいもので。そして、どうしたらサムの歌を際立たせられるか、どうしたら最良の歌の響かせ方ができるかが考え尽くされたものだった。

 

日本で歌で勝負してるアーティストは大いに参考になったんじゃないかな。ビッグなショーというと、演出含めいろいろ詰め込んだり、楽曲のタイプの幅を広くして緩急つけないと2時間ももたないって考えがちだけど、そんなことはないんだっていうね。サム・スミスの楽曲パターンなんてそんなに広いわけじゃないけど、それでも2時間、ただ歌を聴くだけであんなにも豊かな気持ちになれるわけで。

 

1曲目が僕的には一番と言っていいくらい好きな曲だったんでウワーってなったんだけど、そこから本当に退屈する時間なんて一瞬たりともなく、アンコールまで惹きつけられっぱなし。特に彼の哀しい歌以上に優しい歌にグッときたところもあって、それは自分でも少し意外な感触だった。いやぁ、本当にいい歌手。僕は2ndアルバムが相当好きなんだけど、CDで聴く何十倍も生歌(とアレンジ)がよくて、好き度がダーンと増しちゃったな。観に行けてよかった。