2018年10月27日(土)

 

新宿紅布で、山﨑彩音 アルバム『METROPOLIS』リリースパーティー Salon de by Yayavsky。出演はbetcover!!と山﨑彩音。

 

まずは「セブンティーン」という曲のMVにけっこうな衝撃を喰らって以来、早くライブを観なきゃと思っていたbetcover!!。多摩地区出身の19歳、ヤナセジロウのソロプロジェクト。

 

底なしの才能。音も声も歌詞もいいし、ふてぶてしさと暗さと純粋さとがゴチャ混ぜになった態度や、内側で爆発したがってる感情ゆえに思わず奇声が出ちゃう動物みたいなところにも惹きつけられた。バンドメンバーたちもしっかり彼と同じ方向を向いている。鳴り音がロックであってもメロディの奥にそこはかとなくソウルが流れてるっぽいところもツボ。曲によってフィッシュマンズ、坂本慎太郎、ジャックスなどからの影響が見え隠れしてたが、それもありつつ、でも自分のなかの宇宙が大きく広がっていて、世の中のあれこれに抗ったり諦めたりしながらも音楽が鳴ってるそのときだけは気持ちよく泳いでいるという、そんな感じ。すんげぇよかったので、終わってすぐにCD『サンダーボルトチェーンソー』購入。

 

↓「セブンティーン」MV。
https://www.youtube.com/watch?v=cTX_jyQiqHU
(曲も歌詞も映像も全てが素晴らしいでしょ、これ。この夏、何回繰り返し聴いたことか)

 

続いてこの夏に出た初フルアルバム『METROPOLIS』で一気に飛躍を見せた山﨑彩音。betcover!!=ヤナセジロウと同じく19歳。15歳から弾き語りのライブを始めて17歳でフジロックにも出たが、去年の暮れに同世代のミュージシャンたちとバンドでのライブを実験的に開始。で、『METROPOLIS』制作を経て、今回は新バンドでのほぼお披露目ライブ。

 

10くらい年上だというミュージシャンたち(本棚のモヨコのベース、ギター、ザ・ラヂオカセッツのドラマーら)からなるバンドを率いてセンターでギター弾きながら歌う彼女に力みはなく、弾き語りでやってた頃同様、やはり堂々とした佇まい。声の出し方も自然で、決してエモーショナルに行き過ぎない(バンド編成だからといって特別大きな声を出そうとしているふうでもなかったが、それであれだけ声をしっかり立たせられるのはたいしたもの)。一言で言えばクール! なのだ。が、以前から彼女はバンドで歌いたいという思いもあり、それをこうして最良の形で実現できている、好きな音を鳴らせているという嬉しさは、やはり伝わってくるもの。僕の大好きな「ロング・グッドバイ」の途中、思わずといった感じで自然にこぼれた笑みがとても幸せそうに見えて、なんだかグッときた。

 

ひとつのバンドとしてもいい感じだ。中盤からギタリストがもうひとり加わってグランジ的な音の鳴りを強める方向に行ったけど、僕的には前半の「世界の外のどこへでも」のようにポップさをちゃんと際立たせた演奏のあり方のほうがよりよかった。そういう意味で、バンドのなかでただひとりだけ明るい笑顔で演奏していた西山小雨さんのハモンドオルガンの音とコーラスが最高にいい機能を果たしてたし、ムードとしても明るくなって、このバンドに彼女がいるのはすごくいいことだなと思った。

 

『METROPOLIS』は今年最も繰り返し聴いたアルバムのひとつなんだが、昨夜のバンドアレンジ表現によって“もうひとつのMETROPOLIS”がそこに立ち現れたよう。大きく生まれ変わった旧曲も含め、これからライブを重ねる度に山﨑彩音の楽曲たちはさらにまた違う表情を見せるようになるのだろう。来年1月26日のライブが早くも楽しみでしょうがない。

 

↓「ナイトロジー」MV。
https://www.youtube.com/watch?v=OqA36gZdUHA

 

↓「世界の外のどこへでも」MV。
https://www.youtube.com/watch?v=V5SvWuEmidg