2017年9月9日(土)

 

新宿ピカデリーで、『三度目の殺人』。

 

うわ~、是枝監督、凄いとこまで踏み込んだなぁ、という印象。役所広司の演技が凄いのは言うまでもないけど、闇を持ったような広瀬すずも相当なものでした。

 

役所さん演じる三隅という殺人犯のキャラクターが魅力的なほどにヤバくて、この映画だけで終わらせるのが勿体ないと思ったくらい。あと斎藤由貴ね、誰もが思っただろうけど、リアルと重なって嘘が妙に生々しくて…。

 

 

 

2017年9月1日(金)

 

新宿ピカデリーで、『新感染 ファイナル・エクスプレス』。

 

本国で封切られる頃にトレーラーを観て、日本公開を心待ちにしていた『新感染 ファイナル・エクスプレス』(←この邦題に怒ってる人もいるようだけど僕はナイスだと思う)。息つく暇もないとはこのこと。臨場感ありまくりで、期待を上回る面白さだった。

 

ゾンビはゾンビだけど、ホラー仕立てではないし、スプラッター要素も薄く、何よりグランドホテル方式の人間ドラマとして非常にしっかりした作りであるからして、「ゾンビ映画は苦手」という人にもオススメしたい。

 

自分的にはなんといってもマ・ドンソク(WOWOWでドラマ『バッドガイズ』を観てファンになりましてん)のかっこよさにしびれまくり。怪力と俠気という彼の持ち味が出まくってた。兄貴と呼ばせていただきたい。

 

2017年8月27日(日)

 

新宿バルト9で、『ベイビー・ドライバー』。

 

あらゆる要素が最高。視覚と聴覚の両方をうひゃうひゃ喜ばせてくれ、その統合され具合の巧みさとセンスのよさに感嘆するしかない作品。デボラという名前はTレックスのその曲を使いたいがために付けられたんじゃないかとしか思えない。というような監督の楽曲愛たるものがあちこちから伝わってくる。

 

爆音で体感したいので、2度目は立川に観に行こう。

画像に含まれている可能性があるもの:3人

 

2017年8月26日(土)

 

新宿ピカデリーで、『ワンダーウーマン』。

 

どうにも陰鬱で面白味のない『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の中で、唯一まぶしい光のような存在だったのがワンダーウーマン。その登場シーンだけが「おおっ!」とこちらの気持ちを昂らせてくれたものだった。なので、制作が発表された時からとっても期待してたんですよ、『ワンダーウーマン』。

 

なのに、なんだよぉ。完全に期待外れだよ。いや、ワンダーウーマンを演じるガル・ガドットさんは素晴らしいんですよ。気は優しくて力持ち、お美しくて純粋で太ももが躍動してて。だけど、展開がとにかくタルいし(マーベル作品のスピード感に慣れてるので、テンポが悪すぎ。なのに重要な登場人物たちが理解を深めていくところの描き方は雑で、「えっ、もう?」みたいな)、画面はいつものDC映画と同じようにずっと暗いままだし、妙にシリアスぶってるし(アイスクリームのアレみたいな笑いをもう少し散りばめてくれたらだいぶ違ったのに)。それに本筋に絡まない必要なさげなエピソードもあって、無駄に長い(島での成長期の話とかいらないよね。特にあとあと活きてくるわけでもないし)。適役もまったく魅力ないしな。ダイアナさんはダイアナさんで急に人類に失望したり愛した人のために奮い立ったりとモードの変わりようが唐突すぎるしさ。といったわけで、観ていてどうにもスカっとしないんですよ。

 

こんなだったら『ジャスティス・リーグ』もあんまり期待しないほうがいいかもね。悩んだばっかのヒーローが集結したって、楽しい感じになるはずないもの。あー、勿体ない。

 

 

 

2017年8月23日(水)

 

TOHOシネマズ渋谷で、『スパイダーマン:ホームカミング』。

 

いろんな意味で画期的。高層ビルの立ち並ぶマンハッタンなら軽くできることが田舎だと全然できないってあたり、だよねぇって感じで笑ったな。青春映画~男の子の成長物語として実に面白かった。あと、いつもなら無茶しがちのトニー・スタークがステキな大人の態度でピーターくんを見守ってて、このおっさんもまた成長してんだなぁ、なんて思ったり。始まって早々のストーンズ「キャント・ヒア・ミー・ノッキング」にぶちあがりました。それと、ゼンデイヤ、かわゆす。

 

2017年8月11日(金)~13日(日)

 

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO。

 

自分にとっては5年ぶり3度目のライジング。2日目が夕方まで苗場なみの雨降りだったのはちょいキツかったが、それでも望外の楽しさ&充実度だった。このフェスに来ると日本のバンド~ソロ歌手の多様な個性と共に、それぞれが先達から引き継いできたものを強く感じ取ることができる。

 

1日目に観たのは、チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン→ビッケブランカ→女王蜂→THE BEATNIKS→Chara→Song for ムッシュかまやつ(KenKen、山岸竜之介、Char、金子マリ、奥田民生、斉藤和義、シシドカフカ)→FRIDAY NIGHT SESSION~SKA IS THE PARADICE(東京スカパラダイスオーケストラ、チバユウスケ、中野良恵、峯田和伸、YONCE、ピーター・バラカン)。

 

2日目に観たのは、ハシケントリオ→フジファブリック(2曲だけ)→never young beach(2曲だけ)→F-BLOOD(藤井フミヤ+藤井尚之)→ユニコーン→SPEEDER REX(中村達也×KenKen×Rei)→久保田利伸→MY LIFE IS MY MESSAGE(山口洋×仲井戸麗市×宮沢和史+うつみようこ)→IN THE MIDNIGHT HOURS(T字路s→Rei→松竹谷清)→RIZE(Charと金子マリが参加)。

 

1日目のSong for ムッシュかまやつや、2日目の山口洋×仲井戸麗市×宮沢和史、それにT字路s~Rei~松竹谷清など、遅くにボヘミアンガーデンで観たライブがどれも濃密で印象に残った。ボヘミアンガーデンは一番奥地にあり(苗場で言うならカフェドパリあたり)、通りがかりではなく、そこで観たいものがある人が意志を持って行くような場所。濃密な空間になる理由はそれもある。また山口×仲井戸×宮沢のステージやそのあとのIN THE MIDNIGHT HOURSは佐藤タイジのソーラーシステムを使っていたため、ほかのステージに比べて抜群に音がよかった。

 

また、F-BLOODが「白い雲のように」(猿岩石への提供曲)や「NANA」(チェッカーズ)をやったり、久保田利伸が「LA・LA・LA・LOVE SONG」や「Missing」を歌ったり、ユニコーンが「服部」や「すばらしい日々」をやったりなど、キャリアある人たちがここぞというところで投下するヒット曲の効力についてを改めて実感。フェスにおいて、そういうヒット曲を持ってる人たちは本当に強い。B'zが「ultra soul」やったときなんて、そのステージから離れて移動してる人たちまでもがキメのところで一斉にジャンプしてたもんね。

 

因みに単体での僕的ベストアクトは、1日目はChara。今のCharaは素晴らしく、自分としては今の彼女がキャリア史上一番好きだ。で、2日目はRIZE。Charとマリさんを呼んだ際の、Jesse始めメンバーたちの熱くなりっぷりを観てたら、彼らのこれまでのいろんな場面が走馬灯のようにぐるぐるぐる……。胸が熱くなりました。

 

ほかに印象に残ったのは、まずビッケブランカ。スロー曲をまったく歌わず、ひたすらアッパーな曲で通して、とてつもない盛り上がりを生み出していた。フェスでどう勝負するかを彼は勘でわかっているのだな。ハシケントリオ。長く活動してきたからこその踏ん張る力と地力がよく伝わった。ドラムが伊藤大地で、間近でそのプレイにも見入ってしまった。F-BLOOD。とにかくフミヤの余裕ありのアクションがひたすらかっこいい。ああいうダイナミックなマイクスタンド使いができるロックスター、今や日本じゃ彼とダイアモンドユカイくらいかもしれない。

 

来年は20回目となるライジング。また来れたらいいなぁ。

 

仕事が一段落したらしっかり感想をブログに書こう…と思っているうちに時間はどんどん過ぎて、もうすぐ8月も終わり。早いものでフジロックから1ヶ月が過ぎてしまった。その1ヶ月の間にライジングに行ったり骨折したりサマソニに行ったりで、フジの記憶も最早ぼんやり。なのであれこれの感想を改めてじっくり書く気力はもうなくなってしまったのだが、自分にとっての備忘録として、ざっくりとだけ書いておこう。

 

まず7月27日(木)の前夜祭。

 

DJ MAMEZUKA→H ZETTRIO→DOCTOR PRATS→DJ MAMEZUKA→T字路s。

 

会場に向かう途中の車中で、大好きなT字路sが前夜祭に出ることを知って大興奮。レッドマーキーでT字路sを観れるなんて!

 

会場に着いて花火を観つつビール飲んだらたちまちゴキゲン。楽しくて楽しくて、気づいたらメガネをなくしてて、探したら落ちててヒビが入っていた……けど、とりあえず見えるし楽しいから気にするのはやめてライブを観た。

 

H ZETTRIOはダンサー3人がマジックっぽいこともやって大いに盛り上がり、スペインのDOCTOR PRATSはフジで観てこそのお祭り気分に。そしてT字路s。後ろまでぎっしり埋まった大勢の人たちが妙子さんの歌と篠田さんのベースに大きな拍手と歓声を送って沸きまくってた。もう何年もファンなだけに、嬉しかったなぁ。あんな景色が観られるなんて夢のよう。それ、チャランポが前夜祭に出て大きな盛り上がりを生んだときの気持ちに近かった。

 

7月28日(金)

 

DOCTOR PRATS(前半30分)→Rei→原始神母(2曲)→RAG'N BONE MAN→EDEN→GALLANT→FATHER JOHN MISTY→木暮shake武彦(2曲)→THE XX(4〜5曲)→SAMPHA(3曲)→GORILLAZ→ARCA&JESSE KANDA→EVIAN CHRIST(後半10分)→CLARK(前半15分)。4時半帰宿。17時間。

 

この日にしたツイートは以下の通り。

 

「Reiちゃんat木道亭。あの場所なのでゆるくやるのかと思いきや、エレキのバンドセット時と変わらぬハイなテンションとノリでぶっとばしてくれた。最高だ! 来年はヘブンあたりで観たいねぇ。」

 

「ラグーン・ボーン・マン、すんげえよかった。「ヒューマン」始めバンドをバックに歌った曲もよかったけど、僕はキーボードと彼だけの「スキン」が一番ジーンときたな。夜だったらさらに激しく感動したと思う。今度はワンマン観たい。」

 

「gallant、曲のムードとファルセットはプリンス〜マックスウェル〜リンデンの系譜上にあるものなんだけど、あちこち動いて落ち着きないのはエレカシ宮本くんっぽく、MCが日本語なのも面白い感じだったけど、とってもよかった!」

 

「ファーザー・ジョン・ミスティ、今年のフジのベストアクトになるかも、ってレベルのよさだった。ああいうカリスマ性とセクシーさを持ったSSW、日本にはいないよなぁ。」

 

アルカが終って……

「疲れた‥‥。なんかもう全部吸い取られた‥。タイコに続いて2度目だけど、やはりアルカ、常軌を逸してる。吐き気を我慢して、それを越えたところからの凄まじい高揚感。これもひとつの体験なのだ。楽しいだけがライブじゃないんだよ。夢見るな、こりゃ。」

 

翌日の朝…

「FATHER JOHN MISTYとGORILLAZが圧巻だったけど、一夜明けたら結局自分の頭の中を占めてるのはアルカとジェシー・カンダさんの狂気&毒気とその向こうにある愛。アルカのことばっか考えてます‥‥。」

 

因みに午前3時頃だったかな、オアシスで飲んでたらお酒を買いに外に出てきたアルカとカンダさんに遭遇。凄まじいパフォーマンス観て放心したあとだっただけに、ギャップのありすぎる可愛らしさと優しさにたちまち恋に落ちた僕でした。

 

7月29日(土)

 

Anly→ゴールデンカップス(前で2曲聴いたのちロータスで音だけ)→CHRONIXX(1曲)→THE AVALANCHES(半分くらい)→THE LEMON TWIGS→CORNELIUS→TEMPLES→APHEX TWIN(15分)→A GUY CALED GERALD(10分)。2時前に帰宿。11時間。

 

この日は数年ぶりにがっつり雨にふられ(なのでツイートなんてしてる場合じゃなかった…)、初めのうちは「これがフジだから」と余裕を見せてたものの、自分でも予想外のうちに体力を奪われることに。エイフェックス中の強い雨によって完全に充電切れとなり、そのあとしばらく苗食近くでオザケン話を肴に仲間と呑んで笑ったものの、さほど夜遊びしないで宿へ。なんかしっかり遊んだ気のしない(勿体なさの残る)1日となった。

 

THE LEMON TWIGSとTEMPLES、若い2バンドに感心。どっちも素晴らしかった。才能に満ち溢れたああいう若者たちが出てくる限りロックはまだ大丈夫だ、という感想を持つ。また、TEMPLESを観ながらGLIM SPANKYのことを考え、同時代性を思ったりも。

 

7月30日(日)

 

LUKAS GRAHAM(1曲)→T字路s(後半4曲)→LOVE PSYCHEDELICO→戸川純 with VAMPILLIA(2曲)→松崎ナオ&佐藤タイジ(3曲)→STURGILL SIMPSON→BONOBO(途中まで)→LORDE→ASGEIR(中盤の数曲)→BJORK→MAJOR LAZER(後半30分くらい)→G&G Miller Orchestra plays Elvis Presley(通りがかりに3曲)→THE GURL(2曲)→IZUMI SAWAMOTO(後半)→竹内朋康カルテット(途中まで)。2時半頃帰宿。13時間半。

 

会場にいた時間は土曜とさほど変わらないんだが、がっつり観た本数と充実度はこの日のほうがだいぶ上。座って観てたのは松崎ナオちゃん@アヴァロンの3曲のみで、あとは基本的に前のほうで立ってしっかり観てたし、移動もそこそこ多かったので、MAJOR LAZERで騒ぎ終わったらだいぶ足にきていたが。

 

2度目のLORDEは3年経ってもスレたとこなど1ミリもなく、フジの景色と観客の美しさに素直に感動してる様子を見ながら僕はさらにぞっこんラブ。ビョークはいつものことながら完璧。彼女自身の素晴らしさに加え、初日の自身のパフォーマンスとは異なる抑制されていながらもエモーショナルなDJでサポートしてたアルカにも心動かされたり。MAJOR LAZERは後半しか観れなかったけど、あんなスケール感ありのバカ騒ぎ、単独でやるのはいろんな問題で現実的に無理だよな、フジだからこそ実現できたことだよな、とか思いながらアホんなって楽しんだ。

 

因みに久々に観たかったトロンボーン・ショーティーがLORDEと丸かぶりで観れなかったのはイタかったが、まあしゃあない。単独再来日に期待しよう。

 

ロードが終わってからのツイート。

「前回のフジから3年経っても全くスレたりせず、心の底からフジの景色の観客と景色の美しさを讃えて感極まり気味になってる彼女のひととしてのステキさ、心の美しさ。このひとはいくつになってもくだらないセレブになんか絶対ならないと確信できた。」

 

「こいつ何言ってんの?と言われんの覚悟でつぶやくけど、昨日、途中で裸足になって歌いだしたLordeを観てて、一瞬デビュー2年目の頃の鬼束ちひろがシンクロした。いや、いいです、わかってもらえなくて。そんなん僕だけだろうから。」

 

ビョークが終ってからのツイート。

「ビョークとアルカ。二人が出会ったことに僕は感謝したいし、運命的なものを感じずにいられない。あ、カンダさんもだから3人か。ビョークがアルカを紹介したとき、アルカは日本人のようにビョークにお辞儀してたのがなんか印象的だった。」

 

「1日目のアルカのパフォーマンスと3日目のビョークの後ろのアルカ、まるで別人と言う人もいるけど、僕は完全にひとつだと思うし、両方あってのアルカだと思った。そして今年のフジで一番自分の印象に残ったのもまたアルカ。今一番じっくり話したい人。」

 

「ジェシー・カンダとアルカ。タイコで観たときはまだ理解しきれずエグさに衝撃受けるばかりだったが、2度目の今回はだいぶ理解できた気がしたし、ビョークの音&映像でさらに理解が深まった気がした。生物の腐敗に対する思いとかね。ものすんごく純粋。そこがビョークと一緒。」

 

やはりLORDEとビョークが圧巻の最終日だった。

 

そんなわけで、前夜祭含めた4日間で会場にいたのは約47時間。観たのは計38アクト。とりわけ強く印象に残ったのはGALLANT、FATHER JOHN MISTY、GORILLAZ、ARCA、THE LEMON TWIGS、LORDE、BJORK、MAJOR LAZERなど。

 

また、GORILLAZ、BJORK、MAJOR LAZER、THE AVALANCHES、CORNELIUS、APHEX TWINなどなど、映像演出の凝ったアクトが今年は特に目立っていて、やはり今は映像と音の同期に長けたバンド(やDJ)じゃないと生き残っていけないものなのかと考えさせられたりも。だからこそ、そんな中で極めてシンプルなステージで力を発揮してみせたLORDEが一層素晴らしいと思えたりもしたのだった。

 

 

2017年8月24日(木)

 

渋谷クラブクアトロで「ザ・たこさんのアイアンクローシリーズ 無限大記念日5追撃戦~渋谷クラブクアトロ編~」。

 

DJ Sikisima(浦風親方)のDJであったまったところで、まずは大西ユカリ with オーサカ=モノレール。ユカリ姉さんとモノレール、その相性のよさ、息の合い方たるや。様式としてだけではなく、内側からどうしようもなく染み出てくるコクあるソウルまたはファンク汁。その濃さとオモロさよ。

 

その流れでのザ・たこさんというのは、一つの理想形。キチュウくん歌唱の「キチュペクト」に始まり、テーマの前に早々と名曲「バラ色の世界」を…といったあたりには多少の意外性もあったが、全体的には定番曲でギュッとまとめた安定の構成。と思って観てたら、アンコールでこの夜ならではのスペシャル感が!  モノレールの中田さんとホーン隊、そしてユカリさんが加わり、なんと「ロンリー・チャップリン」を。グラサンかけた安藤さんの見ためはマーチンというより西部警察風味だったが、ユカリさんとのデュエットは本家とはまた違う種類のコクがあって、観客たちは大盛り上がり。それ、間違いなくこの夜のハイライト。最高でした。

 

 

 

2017年8月21日(月)

 

ビルボードライブ東京で、ホセ・ジェイムズ(1stショー)。

 

サマソニではお昼のマリンステージという「ねえねえ、それってホセの音楽性わかって決めてんの?」と言いたくなる時間帯&場所での出演だったが、それでもアリーナの前のほうにはファンが詰めかけていたし、何よりホセの気合が十分。その気合は関西のボクサーのようなカッコにも表れていて(終って帰るときTVカメラに向かってパンチを繰り出す動きをしてたので、彼自身明らかにボクサーを意識していたのだろう)、かなり短い持ち時間ではあったけど内容的には十分「いいぞ」と思えるものだった。トキオ~!といった煽りやメンバーの名前を呼ぶ際の声の大きさもスタジアム対応で、アクションも普段のライブより大きめ。僕的には何よりこのような短めの野外セットで彼がどういう選曲をしてくるかに興味があったのだが、新作からのファンキーな曲(「Live Your Fantasy」や「Ladies Man」)を軸にしつつ、「Promise in Love」などお日様の似合う曲もうまく配置して、実に開放的なモードのパフォーマンスを展開してみせていた。それでもアリーナ後方(残念ながら人は少なかった)やスタンド席の観客を巻き込むまでには至らなかったけど、例えばあれを夕方のビーチステージでやったら相当の盛り上がりになったことだろう。ビーチであれ、観たかったな。

 

で、翌々日のビルボードライブ公演。サマソニがアウェイだったとしたら、こちらはホセにとって、やり慣れたホーム。球場と違って、そこまで動きも声も大きくする必要はないはずなのだが、スタジアムでのモードがまだ彼の中に感触として残っていたのか、いつもより喋りや煽り(そもそもいつもはそこまで煽らない)の声を大きめに出していた。また、前半からステージをおりて2階席や1階席を歩きながら歌ったりといったところも、通常のライブより開かれた様を強調していたよう。作品ごとにモードを変化させる人であるからして、これからもずっとこのように開放的でエンタメ性の強いライブをするということはないだろうけど、とにかく今はこのような開かれ方のライブを見せるのだと決めて臨んだのだろう。

 

構成としては、サマソニの30分のショーにいろいろ加えて発展させたもの。つまりサマソニでやった曲は(確か)全部やったし、流れ的にもそれらの曲を主軸に組み立てていた。が、こっちの興味はむしろサマソニでやった曲以外のところで何を歌ってどう見せてくれるのかのほう。そっちに関してはまず、前半で新作収録のスロー「Let It Fall」を聴けたのがよかった。ボブ・マーリィっぽいというかアフリカ的というか、そんな雄大さのあるこの曲が僕は大好きなんですよ、ホセの歌い手としての実力がよく現れてる曲な気がしてね。

 

それからこれは観た人の意見がみな一致するだろうけど、サマソニではなかったメンバーたちのソロ演奏が十分に聴けたのもよかったところで。とりわけ今回はちょい久々のリチャード・スペイヴェンを途中で大フィーチャー。彼のドラムとホセのスキャット(それ、ボイパっぽくもあり)によるインプロにかなり十分な時間をとっていたのだが、ホセにとってそれは決して珍しい出し芸ではないとはいえ、やはりそこには引き込むものが大きくあって、明らかに今回のライブの見せ場として成立していた。それと大林武司のジャジーソウルな感じのキーボードね。その音色のステキさにうっとり。ベースもよかったけど、本音を言うならやっぱりリチャード・スペイヴェンにはソロモン・ドーシーを組ませてほしかったかな。

 

終盤ではホセはギターを弾いて、前回公演でもやったボウイの「世界を売った男」を歌ったりも。というふうに、「R&Bもファンキーなやつもバラードもロックもいろいろ歌えるオレ」を開いた態度でアピールしてたのが今回公演と言えましょうか。

 

んで結論。よかったですよ。よかったんですけど。個人的には新作『ラヴ・イン・ア・タイム・オブ・マッドネス』の曲でまだまだ聴きたかった曲があったなー。単独のほうはもっとガッツリ『ラヴ・イン・ア・タイム・オブ・マッドネス』中心の濃いものを期待してたんですよ僕は。うん。こう言っちゃなんだけど、今回は「開かれたライブ」ではあったけど「攻めてるライブ」ではなかったというかね。前回のビルボードライブ東京公演が相当攻めてて熱量の高いものだったから、そういう意味においては正直ちょいと物足りなかった。僕にとってのホセ・ジェイムズの魅力のひとつは「常に新しいステージを目指している」ところでもあるからして。

 

フジロックの2週間後、今年は久々にライジングサンロックフェスにも行ってきた。が、まだフジについてもライジングについても書けてない。因みにライジングが終ったその日、自分は札幌国際芸術祭のいくつかを観るため札幌の街をまわっていたのだが、宮の森美術館で石川直樹展 「New Map for North」を観たそのあと、出口の段差でよろめいて転倒(スマホで外観を撮ってて、そっちに気をとられてた故の不注意)。左の鎖骨をポッキリ折ってしまったのだった。

というわけで、現在も鎖骨固定帯で肩と腕の位置を固定した上、三角巾で腕を吊った状態で生活しているのだが、そんな状態でもじっとしていられず、先週末はサマソニへ。今日はその日記を。

 

 

2017年8月19日(土)・20日(日)

 

サマーソニック2017。

 

鎖骨を折ってまだ数日しか経ってなかったので、人込みに混ざって大丈夫なのか、ぶつかったり押されたりしないだろうかという不安もあるにはあったが、「行かない」という選択をする気にはやはりどうしたってなれず、今年もサマソニ、2日間とも参加。ヨメに守ってもらいながらしっかり楽しんだ。

 

とはいえ例年のように午前中からあちこち歩きまわっていくつも観るのはさすがに無理(鎖骨固定体というもので左腕の位置を固定した上に三角巾で吊るしているので、バランスが悪く、早く歩けない)。なので、土曜にとっておいた千葉のホテルもキャンセルし、ゆっくりめに家を出て、かなり観るものを絞り込んだ動きに。

 

観たのは以下の通り。

 

19日(土曜)
ホセ・ジェイムズ→デュア・リパ→ザラ・ラーソン(2曲)→HONNE→ケラーニ(途中まで)→ミスター・ジュークス(終わりの2曲)→ブラック・アイド・ピーズ→カルヴィン・ハリス→フアナ・モリーナ+中納良恵(3~4曲)。

 

20日(日曜)
ポンド(3曲)→ロイヤル・ブラッド(3曲)→ダヤ→ホイットニー→BABYMETAL(前半20分程度)→ケシャ(3曲)→トレヴァー・ホーン・バンド→アクスウェル&イングロッソ(後半15分)

 

昨年ならジャクソンズやレディオヘッド、一昨年ならディアンジェロといったふうに、毎年何かしら強烈に心と記憶に残るアクトが必ずあるものだが、そこまでのものが今年は(自分の観た中には)なかった。ただ、それは観るこちら側のコンディションも関係していて、怪我をしてなければブラック・アイド・ピーズもカルヴィン・ハリスもアリーナの前のほうでガシガシ踊って観ていただろうし、そしたら印象もだいぶ違っただろう。

 

幸せな時間だなぁと感じながら最も気持ちアガりっぱなしで観ることができたのは、2日目のガーデンステージのトリを務めたトレヴァー・ホーン・バンド。終盤によくわからない日本の女性アイドル(?)グループが出てきたのだけはちょいシラけたが、それを除けばFGTH、バグルス、ゴドレイ&クリーム、t.A.T.u.、10cc、イエスなどなど、トレヴァー・ホーンまたはロル・クレーム関係の大名曲オンパレード(自分が期待しててやらなかったのはシールの曲ぐらい)。とりわけ最後のFGTH「リラックス」で花火があがったときの幸福感たるや。

 

それから今年は女性ソロ歌手をたくさん観ることができた。デュア・リパ、ザラ・ラーソン、ケラーニ、ダヤ、ケシャ(あと、フアナも女性ソロですね)。よかったのはケラーニとデュア・リパ。特に自分が今回のサマソニで一番楽しみにしてたのがデュア・リパなんだが、スタイル抜群で動きがいちいち様になるし、スター・オーラが放たれまくってて、超クールだった。低い部分の声の出方はちょいリアーナ似。楽曲にもう少し幅が出てパフォーマンスに柔軟性が加われば、そのリアーナを脅かすくらいのビッグスターになるのもそう時間がかからないでしょう、っていうね。いやホント、彼女はかっこいいっす。

 

ほかに1日目は(ケラーニとモロかぶりで終わりの2曲しか聴けなかったけど)、大傑作を出したばっかのミスター・ジュークスが楽しかった。改めて単独再来日を期待したいところ。あと、2日目のホイットニーも和んだな(特にトランペット入りの曲がよくってね)。それ、ガーデンステージというあの場所によるところも大きかっただろう。因みにサマソニで自分が一番好き&いがちな場所がガーデンで、次がビーチ。音響もこの2ヵ所はほかよりよいからして。

 

一方、改めて実感したのは、自分はアイドルグループ的なものとハードロック~メタル~メロディックパンク的なものが、やっぱりつくづく苦手だということ。今年の2日目はそんなんばっか揃ってたから、どうしても通りがかりとかにチラ聴きすることになるんだけど、正直少しでも早くそこを通り過ぎたくしかならなかったという。なんだろ、たぶん何人かが揃って同じ振りをきっちりすることとか、重い音を隙間なく詰め込んでることとか、やたら元気なのとかが、自分の生理に合わないんだな。それでもBABYMETALはコンセプトと物語性の練られた面白さでしばらくは観れたんだけど(真ん中のコがすごいキリッとしたいい表情でステキでね)、でもあの手の音を浴び続けるのは20分ちょっとが自分の限界みたい。

 

あと、物議をかもしたカルヴィン・ハリス。僕は怪我してたからスタンドで座って最後まで観てたんだけど、「くっそー、元気だったら前のほうでガシガシ踊ってたのになー、そしたらもっともっと最高だったのになー」っていう悔しい思いと、さすがだわっていう感嘆しかなかったな(←「しかなかった」ってのはイマドキの肯定形のほうです、念のため)。期待してた新作のモードと違うということでガッカリした人たちのネガティブな感想がツイッター(ツイッターだけね。インスタはたいがい大絶賛)に溢れてたけど、そもそも前もってライブセットだと発表されてたわけではないのだし。曲が古いのが問題なんだという意見もあったけど、クラブとかじゃなくてサマソニのようなロックフェスに集まってる人たちを楽しませるという意味であれはこれ以上ないプレイだったと僕は思う(事実、近くにいた外人さんとか、ちょい懐かしめの曲でどっひゃ~って盛り上がってたし。僕は僕でリアーナのWe Found Loveがかかったときには数年前の同じ場所でリアーナがそれ歌ったときの昂揚がリアルに甦ってきて、カルヴィンはそれすらわかっててそれかけてんじゃないかと勝手な解釈して胸が熱くなってたし)。だから彼は世界ナンバー1・DJの座についたわけだし、誰かも書いてたけど先鋭であることに重きをおく評論家を喜ばせるためにDJしてるわけじゃないですもんね。ってか僕はあのセットの中に新作の「スライド」を挿んできたことがむしろ意外だったし、その挿み方がまた潔くて、きゃ、クール♡なんて思ったけど。ま、とにかく見事なプレイだったと素直に感心したので、物議をかもしてること自体が「へぇ~」って感じであり、面白くもあり、でした。どっちにしてもあれは観といて本当によかった。

 

というわけで、タイコ、グリーンルームときて、フジ、ライジング、サマソニの3大夏フェスが終わり、これでちょっとひと段落。朝霧やらの秋フェスまでに怪我がよくなるといいなぁ。