主に投稿しているウエブ小説用に書きためた短編小説がたくさんあるので、ちょいちょい転用して枚数に合う外部コンクールに応募している。
その際、シナリオコンクールに、となると、形式を変えなくちゃならない。形式だけじゃなく、書き方も小説とは変わってくる。なので中身は出来上がっていても、手直しは結構大変。
物語の作り方の基礎を、私は最初にシナリオ学校で教わった。シナリオには独特の決まり事もあるので、さて小説を書いてみようとしたとき、言葉の選び方とかセリフの量だとか感情の表し方の違いに戸惑った。
例えば、紅葉のことを書くとする。
シナリオだと、ト書きに「門を覆う真っ赤な紅葉」。これに「ヤダなあ」とのセリフと「彼は足を一歩踏み出しては後退りを繰り返す」とかのト書きを加えて、不安で後ろ向きな気分を表わす。
けれど小説なら、地の文で「冬の訪れを予感させるような毒づいた色の紅葉に門を入ることを拒否されたように思った」とかなんとか、さらっと一文でその人物の気持ちまで突っ込むことができてしまう。
シナリオのト書きには感情を入れない。あくまで「設計図」だから。どんな場所で誰がどんな言動をして何が起こるか。それだけを書く。
だからそこにある感情やその後の変化は、セリフや表情や行動で示さなくてはならない。
もう一つ例えれば、小説ならば「彼は彼女を嫌いになり距離を置いた」の1行で表せるものが、シナリオだといくつものシーン、人物、会話でそれを具体的に示さなくてはならないということで。
(ただ、小説でも具体的な言動で表す方が読み手の頭に入ると思うので、いつもベタな一文で説明終わり、というわけでもなく。自由度が高いというか)。
で、シナリオの場合でも、直接的に「俺は彼女を嫌いになったから別れる」と言わせてもいいのだが、そういうのは「説明ゼリフ」と呼ばれ、よろしくないとされる。
でもト書きには事実しか書けないから、セリフで視聴者にわからせたい、でも説明ゼリフはダメ、となると。
彼女のいる場所に近づかない、彼女とコンタクトを取らない、彼女の好きだった食べ物が苦手になる。そんなエピソードを3つくらい作る。
つまり「大勢の友だちの輪から出ない」「目を逸らす」「メロンを見て吐き気をもよおす」等の客観的な行動を表すト書きと、「どうしたんだ?」「自然消滅するつもりなんだよ」等の友だちとの会話なんかで説明することになる。
(3つというのはあくまで自分の場合で、好みの問題です)。
だから勢い、シナリオはセリフの割合が多くなる。ある小説家の方に、小説はセリフ3割・文は7割、と言われたこともある。たぶんシナリオは逆。
今、小説をシナリオに直して応募しようとしているので、その7割をひっくり返して、感情表現の入っていた小説的文章を事実のみのト書きとセリフだけでわかるように書き換え中。
……正直、嫌になってきている。
自分の肌感覚では、シナリオは小説の枚数×1.5倍くらいになるかなあと。
挑戦するのは50枚以上という既定のシナリオコンクール、応募したい手元の小説は29枚。計算すると43,4枚にしかならず、微妙に足りない感じ。
その枚数合わせがまた結構大変で、何でこんな面倒なことをやっているのかと思う。
でもやめられないのが性分になってしまっている。
(了)
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