トラックの前輪の片方が、道路にめり込んだというニュースがあった。
原因は、このところの猛暑でどうもアスファルトが溶けたのではないかと。そのせいで一部陥没し、そこにタイヤがハマったんじゃないかということだった。
えっ、アスファルトって、溶鉱炉とか製鉄所みたいな高熱じゃなくても、毎年来る四季の夏の暑さで溶けちゃうの? それほど近年の暑さは酷くなってきたってこと? と衝撃だった。
アスファルトなんて身の回りに普通にやたらにある。そんなそこかしこに落とし穴が出没するかもしれないわけで、おちおち運転も歩行もできないじゃない? そういうことに注意しながら通行しなくてはいけないなんて……恐ろしい世の中。
これほどの危機感はないが、このニュースで思い出したことがある。
久しぶりにちょっとした外出をする機会があって、その際持っていく荷物に合う大きさのバッグを出そうと押入れを探った。
お、ちょうどいいのがあった、あ、これ好きだったけど最近使ってなかった、なんて懐かしくいろいろ並べてみたりして。
で、選んだバッグで出かけたら、服に、腕に、変な粉がやたらにこびりつく。何だろうとよくよく見たら、その古いバッグが持ち手から底からポケットから、表皮がぼろぼろに剥げてきていたのだった。
げ。お気に入りだったのに。
調べてみると、同じようにあちこち剥げてしまっているものが10個以上も見つかった……泣ける。
暑さか。やっぱりアスファルトと同じように暑さにやられて溶けたのか……とっさにそう思ったが。
思えば、このところのテレワークや外出自粛でバッグなどあまり種類を使わなくなっていた。それで押入れで寝かされたままの多数が傷んでいった。つまり経年劣化という方が正しいのだろう。
合皮の証明みたいなもんで、だからそもそものお値段は安かったわけだけど、それでも形や色や大きさに愛着のあるものばかり。でもとても携帯するに堪える状態じゃない……。
「捨てる」に分類したものの、踏ん切りがつかず、ずっとそのまま家においてある。
同じように、昔バーゲンで買った革まがいのジャケットなどもビリぼろになっているのを発見。うーむ。
また、梅雨時に久々に引っ張り出したジャンプ傘の持ち手もまた。我が家に2、3本しかないビニ傘以外のまともなやつ。傘としては機能するだけに、捨てるのは惜しい。惜しいが手元に粉が次々散ってきて激しく不快。
ネット検索してみたら、合皮の補修テープなるものがあるらしい。ジャケットはともかく、バッグも傘も、そのテープを試してみてから捨てても遅くないかも。と、未練たらしく思っている。
(了)
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