年末の憂鬱の一つとして、年賀状書きがある。
我が家は毎年、オリジナルの図柄を描いて印刷するのだけれど、この図案がいつもなかなか決まらない。というか、思いつかない。
基本的に決まっているのは、その年の干支を入れること、我が家の旧年か新年を象徴する何かを絡ませること。
私は絵を描くのは好きだけど、上手くはない。だからようやくイメージができたとしても、その通りには描けない。なので毎年四苦八苦する。
近年は、あちこちの年賀状プリント代行のチラシやネット上の無料素材の気に入ったデザイン、あるいは家にあるぬいぐるみなどを見本にして、我が家流にアレンジしている。
で、ようやくできた絵柄をパソコンに取り込む。
ところが昨年はここで躓いた。スキャナーが反応しない。そうだ、パソコンを新調したんだった、ソフトが入っていない。と気付いたはいいが、そのディスク、どこやったんだっけ。探すのに時間がかかり、そのうちに面倒くさくなってきて明日にしようかな……となってきて。
何とか根性継ぎはいでようやく見つけ、インストール完了。よし、と気分が上がったのも束の間、そうだった、毎年ここでまたつっかえるのを思い出す。
手描きの図柄が、パソコン上で薄すぎたり大きさが収まらなかったり。その微調整にイライラするわけで。結局妥協に次ぐ妥協で、何だか冴えない状態で筆ぐるめにのるのである。
「謹賀新年」と表題をつけ、2021年と入れ、住所氏名を書き込み、何となく寂しい全体を背景とか小物を加えてごまかす。
この辺りまで来ると、もっと凝って最初の図案からやり直そうかなどと欲が出てきたりするのだが、大体タイプアップ。もうこのままいくしかない時期になる。で、ざざざーっとプリントアウトする。ここで疲れ切って続きは翌日以降。
次は住所録を確認。去年いただいたものに「転居しました」「年賀状は今年を最後に失礼します」があるかチェック。また、喪中のお知らせをいただいた方の除外。
そうした上で、今度は宛名をざざざーっとプリントアウト。
……昨年はここで失敗。データが残っていたのか何なのか、住所でなく丑のデザイン(つまり裏側)が住所面にバリバリ印刷された。ちょっと席を立っていたので、気付いたら4枚無駄になっていた……後日郵便局に手数料を払って引き取ってもらえばいいのだが、そういう些細な手間を面倒くさがってしまうのが私で、たぶん次の年賀状を書く時期になると思われる……。
ふう。
そのショックから無理無理立ち直り、絵柄の隙間に一言を書き込む。この文言もいつも迷うのだが、昨年はもうこれにつきる。「コロナに負けず次に会う時まで元気でいましょう」。
そうしてあとはポストに出すだけ。
なのに、ここでまた結構時間がかかる。家のそばにポストがないため、何かのついでに、とか思ってしまうせい。その何かのときに持って出るのを忘れること数回。……結局たぶん元旦には届いていないでしょう……ごめんなさい。
いただいた数々の素敵な年賀状を見て、ああ自分ももっとしっかり作ればよかった、と後悔するのが年初めの恒例です。
(了)
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