初めて飛行機に乗ったのは、学生最後の冬だった。卒業旅行でヨーロッパへ出かけた時だ。
正確には覚えていないけれど、直行便ではなくどこかを経由したので、20時間とかかかったと思う。ただでさえ乗り物酔いしがちな私、初フライトがそんな長時間とはかなり酷で、着いた時には灰になっていた。
何がイヤかって、離陸の、目の裏から胸の奥のあたりがズレるような不快感。着陸なんかそれが10倍くらいになって、ガガーンなんて衝撃音と共に来るからズレるなんてもんじゃなく、前後上下左右がぶわっとぐちゃぐちゃになるような感じ……。
初フライト、それほど気分が悪くて何も考えられなかったのに、ものすごく印象に残っていることがある。
隣に座っていた外国人の40代くらいのおばさんである。
晩御飯の時、スチュワーデスさん(=CAさん 当時はそう呼ばれていた)に「fish or beef?」と聞かれ、そのおばさんは「fish」と答えた。が、ほとんど残した。ああ私より気分の悪い人がいる。やはり大量に残した私の罪悪感が少し薄まった。
のも束の間、そのおばさん、何やらスチュワーデスさんに英語でガチャガチャ絡み始めた。「beef」のみが聞き取れた私、まさかと思ったが、果たしてそのおばさんのところに「beef」が運ばれてきた。
えええ? 二度注文ありなのか? と思ったが、私にはそんな元気も図々しさも英語力もない。
でもそのおばさん、beefも結局ほぼ残した。かと思うと今度は揺れる飛行機に恐怖の悲鳴を上げ始めた。
勘弁してくれ。
こっちだって気分がすぐれず、食欲もないから眠りたいのに、その後も絶えずスッチーさんを呼び出してはガタガタまくし立てる。
そういうもんなのか? 飛行機というのは怖いし気分悪くなるしだから、スッチーさんに当たり散らす頼りまくるものなのか?
と、無理やり目を閉じながら(眠れないけどそのおばさんの行動を見たくない故)グルグル回った思考は、忘れられない思い出となった……。
そんな悪印象のせいか、今でも飛行機はあまり得意じゃない。
まずあの閉塞感、拘束感にいやあな気分を覚える。座ったが最後、トイレすらなかなか立ちにくい状況。食事や飲み物の提供時間には通路を通れないし、窓は開けられない、絶えず轟音に包まれている。しかも大体長時間である。
降りる順番争いも疲れる。上の荷棚を開けながら通路を確保し後ろをけん制する輩。預けた荷物の受け取りも、1つ目はすぐにコンベアに出てきたと喜んでも、あと1つが延々出てこない、なんてことも多い。グループごとにまとめて出してくれないものかといつも思う。
そんなこんなで私には苦手意識の強い空の旅。少しでも快適に過ごせる小技などをお持ちの方、是非教えていただきたいです。
(了)