疑り深い性格(20/1/5) | 石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

日常で気になったことや、長い物書き志望歴で思ったことをランダムに綴ります。

福袋の季節。


昔は何が入っているかわからない、というのが主流だった。だから売れ残りをまとめて詰め込んでるんだろうな、どうせ見えないからそれらを一気に在庫処分する気なんだろう、と疑ってかかっていた。


私は昔からそういう疑い方をする性格なのである。

 

けれど、何が入っているのかわからないのに○万円とか出す気がしなかった私でも、今年は買ってしまった。生まれて初めて。


その福袋デビューは、ゴルフの衣料品6点セットである。


何年か前、知り合いの買った袋を見せてもらってからずっと気になっていた。その知り合いはいまだにそれらを重宝しているものだから。


そしてついに今年、私がゲットした中身は、帽子、ソックス、ネックウォーマー、シャツ、インナー、そして防寒アウターの上下。すべて某スポーツブランド物である。


ゴルフをやらなくても普段使いできる、お洒落で機能的なものばかりしかも近年は買う前に中身を見せてくれる。今回、試着までさせてもらってしまった。


正当なお値段と比べると、控えめに見積もっても5分の1くらいと思われ、大満足のお買い物だった。


でも、同じように中身を知らされ、かなりのお買い得、というセットでも手が出ない物もある。


行きつけの喫茶店のコーヒー豆セット。何回か分のコーヒーチケットとコーヒー豆の詰め合わせで、なかなかに魅力的ではある。


でも、これに関しては疑り深さが覆っていない。そのコーヒー豆、売れ残りなんじゃない? かなり古いものなんじゃないの? と。


食べ物の福袋となると、そういう点で衣料品とは違い、二の足を踏んでしまう。結局、正規の値段でフツーのを買います、となって終わった。

 

それでも自分の疑り深い性格、歳と共に大分丸くなってきたんじゃないかとは思っているのだが。

 

中学生の頃、初めて塾に自分でお金を納めに行った日のことを覚えている。確か入会金の4万円。中学生にとっては大金だった。


その封筒を鞄に入れて電車に乗って塾へ向かった。途中誰かに狙われたらどうしよう、と心配で心配で、何度も鞄に手を突っ込んでは確認した。


その何度目かのとき、4万円の袋が指に触らない。鞄を大きく開けたりひっくり返して探したりしたら、周りの人に大金を持っていることがばれちゃうんじゃないか。そう思って姿勢は変えず必死でごそごそ手探り。でも指に触らない。

 

座っていた席で、じわーっと涙が溢れてきた。「お金、取られちゃったんだ……盗まれちゃったんだ」と。


今思えば、どんな奴がどうやったらそんな離れ業ができるんだ、とすぐにわかるはずだけど。疑り始めた中学生の疑念は膨らむばかり。


どいつだ、誰だ、と周り中の大人を一人一人涙目で睨みつけた。みな知らん顔をしている。悔しくて更に涙が出た。塾へ着いたら先生に訳を話さなきゃ、でも信じてくれないかも、と、また疑いは広がる。

 

しかし、結果としてお金はあった。あまりに周りを疑って何度も封筒を触ったため、鞄の奥の奥に入り込んでしまったという、何ともバカバカしいオチ。


今はそれほどのアホではなくなったものの。丸くなってきた、というか常識的レベルに近くなってきたはず、と思いたいものの。


そのとき以来、自分のことが誰より疑わしい。もう○十年、何かあるとすぐにヤラカシテシマッタ、自分のバカバカバカ、と思ってしまう。それがまた次の失敗を呼ぶ。


自分に自信が持てにくい人生を送ってきたのは、他にも理由はあれど、そういう疑り深い性格のせいもあるかも知れないな、とも最近思う……。


(了)

  

 
 

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