物書きというと、一般的には小説を書く人のことを思い浮かべると思う。
でも自分の場合、最初に勉強したのがテレビドラマのシナリオ講座。それまではシナリオというものを読んだことがなかった。その講座で紹介された「月刊シナリオ」「月刊ドラマ」等の雑誌で初読。正直な感想としては、「読みにくい」だった……。
小説に慣れていると、シナリオというのは形式も表現も違う。その違和感が読みにくいと感じさせるのだろう。
シナリオというのは設計図であって、俳優さんが演じて、スタッフさんの演出や編集を経て、ドラマ(または漫画)になって初めて完成形。だから、俳優さんの表情や表現、構図やテンポや音楽。そういうのが揃っていないので、読み手にはまだまだ不親切な状態なのである。
具体的には、ト書きとセリフで構成されているのがシナリオ。シーンは柱と呼ばれる○で始まる場所を記す行から始まる。
例としてはこんな感じ。
○学校(夜)
はるかと旬、恐る恐る一歩を踏み出す。
木造の廊下がミシリと音を立てる。
はるか「しっ、静かに」
旬「えっ、オレ?」
ト書きには、「はるかは、ドキドキしていた。旬は、怖がっていると思われたくなかった」みたいに絵で表せないことは書かない。ト書きは、景色とか人物の動きとか、客観的事実を書くものなのである。気持ちを表したければこんな感じ。
床が音を立てるたびに小さく悲鳴を上げるはるか。
旬「な、何怖がってんだよ、お前」
声が裏返っている旬。
のように、セリフとアクションでその心情を読み手に伝えるような書き方をする。
初心者の頃は、ここに結構躓いたのだが、慣れてくるとこれが面白い。
「怖い」「寒い」「嬉しい」を、「ビクビク歩く」「腕を何度もさする」「両手を挙げて雄叫びを上げる」などと書いて読み手に人物の感情を想像させる。この間接的な感じがクセになる。
もちろん、きっと書き手により様々で、自分が漫画原作をやっていた頃は、とにかく漫画家さんに意図が伝わる書き方ならよいとされた。
ただ、コンクールなら、これを守らないと「こいつシナリオってものを知らない、基礎知識がない」とか判断される可能性が高く、損になるだろうと思われる。
でも、その間接的な感じが、読みにくさに繋がっている気がする。それで気後れしてしまうことがある。
コンクール応募作を書き上げるたび、自分以外の誰かに読んでもらいたい。視野が狭くなって気付かなかったことを第三者の目で指摘してもらいたい。そう思うのに「シナリオって読みにくいからなあ……」と申し訳ない気持ちがあるので躊躇する。ただでさえ忙しい皆さんに時間を取ってもらうのに、小説ならまだしも、と思ってしまうのだ。
J、おずおずと分厚い紙の束をAに差し出す。が、すぐにひっこめる。
Aさん「なあに? どうしたの?」
J「あ、いや何でもない……」
なんて……思わせぶりに読んで欲しいオーラを発するJの1シーンでした。
(注)スミマセン、ト書きは三文字空けで書くと習っています。このblog、ちょっとうまく書式がハマらなくてずれてしまっていることをご了承ください……。
(了)
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