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今日の夕方行われた、アメリカ・メジャーリーグに挑戦するダルビッシュ有選手の札幌ドームでの、対談会見の内容には正直驚きました。

彼自身が今日、話していたが、確かに数年前に、メジャーへの希望を聞かれたときに、「メジャーに興味はない。行くくらいなら、野球をやめる」と断言していたのは、私も覚えていた。
でもまぁ、月日が経てば、人の考え方も変わるのは当然であるし、そのことに何も違和感はない。
ただ、今日、ダルビッシュ選手はこう言い放った。
「今でも、その気持ちは変わっていない。メジャーに行きたくて、行くのではない。なるべくなら日本で野球がしたかった。」と。
私は、それが何を意味しているのかが、よくわからなかったが、続けて話した彼の言葉で全てを理解できた。
「対戦相手から、「この3連戦では投げないでね!」とか「あ~、ダルが投げるなら、今日は勝てないわ、打てないわ」と冗談でも言われることで、ファイティングスピリッツやモチベーションが下がってしまうことが多くなった」
なるほど、そりゃそうだわな。
少し、話は脱線します。
私は、7歳からプロ養成所のような硬式野球リーグに入り、中学・高校・大学・社会人草野球と、30年以上も野球をやり続けている、まぁ、一般の人からすれば、多少は野球をわかっている素人だと自負しているのだが(笑)、そんな私でも、全く気がつかなかったが。
野球の頂点にいる人間の感覚。
<ダルビッシュクラスなら、ばったばったと、打者をなぎ倒して、連戦先勝!年間25勝くらいして、5億くらいお金もらって、贅沢な暮らしを!>
ひょっとしたら、そうなのかなぁって、誰もが思うこと。
でも、全然違うんだね。
私たちと、感覚は同じだったんだね。
「ガチンコで勝負を楽しむ」という感覚は。
それは、私たちと全く変わらないんだね。
例えて言えば、
テレビゲームをやるとしても、野球ゲームでコンピューター相手に連戦連勝ではおもしろくなくて、すぐやめちゃうと思う。
ドラクエをやるとしても、いきなり超強い状態で始まって、いきなりボスを倒せるくらい強かったら、すぐに飽きてやめちゃうだろう。
草野球でもそうだ。
草野球ではたまに、力の差がものすごくあるチーム同士が対戦することもある。
うちのチームの方が強くて、相手チームが弱いと想定しよう。
そのときに、相手チームの選手の奥さんがきていたり、子供が「お父さんがんばれ!」みたいな雰囲気が出ていると、<20対0>くらいで勝てちゃう戦力差がある試合でも、なんだか集中力を欠いて、ダラダラした試合をしてしまうことがある。
それは、相手に配慮してしまうからだ。
逆に、相手がものすごく弱くても、「負けるか!コラ!」みたいな、闘志むき出しで乱闘寸前みたいな、ルーキーズみたいなやんちゃなチームとの試合は、緊張感を持った試合展開になることが多い。
結果として<10対1>くらいの点差になったとしても、相手に与えた1点を反省し、試合には勝ったが、勝負には負けたと思うくらいの充実感が得られることもある。
大変、長々と書いたが、要点はこうだ。
力の差がある勝負の場合、力の弱い方の考え方と戦い方で、力のある側のモチベーションや集中力が変わるということだ。
すなわち、
今のプロ野球界で、スター選手がメジャーに移籍してしまうことが懸念されているのだが、その状況を作ってしまったのは、日本プロ野球界なのではないだろうか?
メジャーに挑戦する選手の多くが、日本でやりたいのだけど、立ち向かってくる選手や球団がいなくなってしまって、メジャーに行かざるを得ないのではないだろうか?
組織全体が、あいつに好きにやらせるな!絶対次は打つ!みたいな雰囲気を出せば、モチベーションが下がることはないのではないのか?
ダルビッシュが投球練習しているときに、打者が9人グランドにでて、ダルビッシュを睨みながら、素振りをしていたら、彼は、モチベーションを失うことにはならなかったのではないか?
ダルビッシュ選手が、このように発言している。
「もう、メジャーに行くしかないのかな。。。っていう感じです」と。
日本の至宝ともいわれる、ダルビッシュ有をそんな悲しい思いをさせて、メジャーに行かせてしまったとするならば、日本プロ野球界にとって、これ以上の損失はない。
それなのに、今の日本では、メジャーに行くことはなにやら、裏切り行為のような風潮さえある。
とんでもないぜ!
原因は、俺らなんちゃうんか!?
今の若者が夢を持たなくなったんじゃなくて、俺らの年代がその夢をつないでいける環境づくりができていないんじゃないのか?
強く思います。
そりゃ、そうだよね。
死ぬほどつらいトレーニングをして、試合に臨もうとしているときに、相手チームから、「え~、今日ダルビッシュなのぉ~。打てないわ~」なんて、言われたら、どうやってモチベーションを維持せよっちゅうねん。
昔なんて、江川が投げるときなんて、みんな、刺し違えてでも江川をマウンドから引きづりおろすぞ!って雰囲気がブラウン管からも感じることができました。(古い話ですみません)
その本気の雰囲気が、子供の心をつかんではなさなかったのです。
別に160キロ投げられるから、心躍るんじゃない。
別に試合に勝ったから、心躍るんじゃない。
別に4割打って首位打者になったからって、心躍るんじゃない。
そうなんだよね。
たとえ、試合に負けても、9回裏2アウトランナーなしから、江川から1本ホームラン打って、完封を阻止するだけでも、みんなで肩を組んで、喜べたんだよね。
人間ドラマ。無くなってるぞ!プロ野球!
でも、これって、野球だけの話じゃないんだよね。
仕事でもそう。
スタッフもガチンコの勝負の仕事をやっているときには、いきいきと自分らしさを発揮して、がんばれるんじゃないのかな。たとえ、厳しくて泣いちゃうくらいであってもね。
逆に、会社の効率性という理由で、そのガチンコ勝負ができず、歯車のように使われたら、どんなに待遇が良くても、給料が良くても、その仕事に魅力を感じなくなってしまうのではないのかな?
プロ野球界も、僕たちも、本質は同じです。
怖いぐらい同じです。
ダルビッシュ選手のような悲しい思いをさせては、いかんのです!
あんなにも、悲しい決意のインタビューを見たのは、人生で初めてでした。
もう、二度と彼のような選手をみたくないって、本気で思いました。
僕たちにできること。
まずは、自分の会社の社員たちが、ダルビッシュのような状態になっていないかを確認すること。
心臓がバクバクするような、ガチンコの仕事をやれているのかどうか?
力がある人間は、特に今の仕事に燃えるような闘志で向き合うことができているのかを確認すること。
(もちろん安定を強く望む社員もいますから、そのあたりはバランスです)
<燃え尽き症候群>ではなく、<ガチンコ勝負ができなくなった環境でのモチベーションの低下>という、新しい価値観を今回のダルビッシュ有選手から、教えてもらいました。
才能を生かすも殺すも、自分たちが作る環境次第か・・・
肝に命じよう。