男の涙 | 迷えば原点

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医療法人翠章会 すまいる歯科 理事長・山村洋志明が書き綴ったブログです。

みなさんこんばんは!
岡崎市・豊田市の歯医者 すまいる歯科の山村でございます。

プロ野球日本シリーズ第4戦
日本ハム対中日の試合は、ある意味、異様な雰囲気で始まりました。

日本ハムの金村投手が、マウンドに上がる前に、ファンの人々の前で、頭を下げ謝罪しました


なぜか・・・


ご存知の方もいるとは思いますが、知らない方の為に、私山村が少し説明させていただきます。


金村暁投手。
12年前、日本ハムに入団。
きゃしゃな体からは想像できない切れのある直球と、スライダー、フォークを持ち玉に、強気のピッチングで、西崎幸広投手以来の、日本ハムのエースとして投手陣を支えてきました。

日本ハムは、一時期は上位にいることもありましたが、平均すると、基本的には『泣かず飛ばず』といったようなチームで、弱くないけど、強くもない、そんなチームでした。

そんなチームでも10年間エースとして、チームを支え、まさに、田中幸雄選手同様『ミスターファイターズ』といって過言ではない選手でした。

そんな金村投手は、今年も9勝をあげる活躍をしています。
しかし、シーズン中はここ一番の試合で、負けてしまうという状況がつづき、投手陣の中では、ダルビッシュ投手、八木投手につぐ、3番手もしくは4番手の扱いでした。

しかし、彼もベテランです。
中日の立浪選手と同じく、腐ることなく、自分の仕事をがんばっていたのですが、
そんな時、ある事件が起きてしまいます。

今年の9月24日。
その試合は金村投手が先発し、中盤まで日本ハムペース。
しかし、5回2アウトから、日本ハム大量リードの中、非情にも交代させられてしまいました。
ヒルマン監督はここが限界とみたのでしょう。


その状況は、たとえ試合に勝っても、先発した金村投手に勝ち星はつきません。

金村投手は続投を志願するも受け入れられず、あえなく降板させられてしまうのです。


彼がこだわったそのマウンドは、自身の10勝目がかかったマウンドだったのです・・・


『10勝』とは先発する役目のピッチャーのひとつのプライドを保つラインです。

ダルビッシュ投手などの若手に押されて、肩身が狭くなっていた金村投手には、自分のプライドを保つためにも、どうしても達成しなければならない、ひとつの区切りだったのです。

彼は試合後に、公然と監督批判をしてしまいました。
しかも、かなり強い口調で・・・


それは、ある記者から、心無い質問をされたからです。


「金村投手、今シーズンは9勝という結果に終わってしまいましたが、それについてひとことお願いします。」


『10勝』という区切りを人一倍気にしていた金村投手が、この一言で、なにか張り詰めていたものが、『ブチッ』ときれてしまったんだと思います。


あまりにもデリカシーに欠ける質問・・・


それに乗せられてしまった金村投手にももちろん非はあります。



ただ、プレーオフの順位がめまぐるしく変わる中、チーム一丸でがんばらなければならない時に、自分勝手な発言を、あおられたからとはいえ、してしまった。


翌日以降、各方面から、金村投手はバッシングを浴びます。

当然です。
チームの状況が状況ですから。


即刻、2軍に落とされました。
過去に例を見ないほどの、罰金を課されました。


そして、彼の今年が終わるはずでした。



しかし、チームメイトそして北海道のファンから、球団に嘆願書がでたそうです。

「日本ハムの功労者、金村投手にもう一度チャンスを」と・・・



1ヶ月の間、チームには帯同せず、2軍で調整を続けてきました。


そして、今日。10月25日。


金村投手は、札幌ドームのマウンドに立っていました。


深々と、4方向に頭を下げ、マウンドに登るのです。


自分の非を全て認め、謝罪し、それでも自分の夢見た日本シリーズのマウンドに登る。


金村投手は熱投を続けます。

3-0でむかえた、5回の表、2アウト。
ここで、ヒルマン監督は、マウンドに向かいます。

あの9月24日の試合と全く同じ場面です。
でも、今日は違いました


そして、金村投手に一言声をかけて、ベンチに下がるのです。

続投です!


そして、次のバッターを打ち取り、チェンジ!

金村投手の9月24日に止まってしまった時計の針が、再び動き始めました

その瞬間、今日の試合は、日本ハムが勝つと確信しました。



試合後の監督インタビューで、ヒルマン監督はこういうのです。

私は金村を誇りに思っている。ファンも選手も金村を誇りに思っている」と。



もう僕の涙腺は緩みっぱなしで、涙が止まりません。


そして、ヒルマン監督と金村投手が抱き合うのです!!


誰か!テッシュ頂戴!(笑)



お立ち台の上で、金村投手は、アナウンサーのマイクを奪いさり、こう言うのです。


札幌ドームのみなさん、そして全国のプロ野球ファンのみなさん。本当に申し訳ありませんでした!!」


いったい何秒間、頭を下げていたのだろうか


僕は今まで、こんなに格好悪くて、そして格好良い大人の男の謝罪を見たことがなかった。

金村投手の目には涙があふれていました。


僕の目にも涙があふれていました(笑)



こんな話、映画にするとB級映画ですが、実話だと、こんなにも感動するものなのですね。


新庄選手の引退宣言からはじまり、金村投手の涙のカムバック劇。


どうやら、今年の日本シリーズの結果は、少し見えてしまったのかもしれません。


でも、そんな勝ち負けは抜きにして、本当に野球ってすばらしいなって。
本当に人間ドラマなんだなって、しみじみ感じました。


明日も第5戦がありますが、目が離せそうにないですね。


中日も、そんなドラマがつくれるようにがんばってもらいたいです。


PS:中日の選手たちへ
落ち込んだら、流れは絶対にきません。
外からみてても、必死さは、日本ハムの選手の方が上です。
名古屋に帰ってくるのをみんな信じています。
絶対に、明日負けないように!!
がんばれ!!