きれいな水で泳ぐも人生。汚れた水で泳ぐも人生。 | 佐藤淳一レフェリーブログ “きれいな水で泳ぐも人生。 汚れた水で泳ぐも人生。”

佐藤淳一レフェリーブログ “きれいな水で泳ぐも人生。 汚れた水で泳ぐも人生。”

2017年11月23日にプロレスレフェリーを引退しました。
現役時代は、沢山の方に支えられ、そして応援していただきありがとうございました。

最近暗い内容のブログばかりで申し訳ございません。

驚くことにアクセス数は倍以上に膨れ上がりました。

実は、ブログを始めるにあたり、レフェリー引退を見据えて書き始めたということは、以前のブログにも書きました。

自分の歩んできた道を知ってもらい、興味をもっていただいた方が会場に足を運んでくれたら素敵なこと。

ブログのタイトル

『きれいな水で泳ぐも人生。汚れた水で泳ぐも人生。』

これは、大好きな『ミナミの帝王』で萬田銀次郎役を演じる竹内力さんが言う台詞です。

竹内力さん「いっぺん染み付いた汚れは簡単に落ちるもんやない。きれいな水で泳ぐも人生。汚れた水で泳ぐも人生や。」

※一回借金をしてしまうと簡単には返せない。
借金の無い生活も人生。
借金まみれの生活も人生。

こんな解釈でしょうか?

引退試合までに自分の人生をさらけ出してまで伝えたいと思い、このタイトルにしました。

暗い内容ですが、もう少々お付き合いください。




妻の1年にも及ぶ入院生活は本当に辛かった。

家の掃除は1ヶ月に一度くらい。
自分の洗濯は休みの日にまとめて。
仕事と看病で睡眠時間は削られ、友達とも疎遠になっていた時期です。

中でもお金には本当に苦労しました。

入院生活半年後になる頃には、お金がなく、昼食は外食などはせずに自炊の弁当と水筒に麦茶を入れ出費を抑えていました。

自炊の弁当と言っても、玉ねぎをきざんでご飯と炒め、ケチャップで味付けをしたものを、
二段の弁当箱に詰めた味気ないものを毎日。

おかずなんてありません。

栄養なんて気にしていられず、お腹が満たされればいいと思っていました。


この頃、淳一が実家に電話する内容は、

淳一「今月、お金ないから2万振り込んでもらえないか?」

母は何も言わずにバカ息子の為に振り込みをしてくれました。

『お金が無いから母親に電話するか。』

軽い気持ちで母親を頼っていました。

1ヶ月に1度の電話が、1ヶ月2回に。

段々と感覚が狭まり、ついには1週間に1回に。

『申し訳ない』

という感覚が薄れ、母親に頼れば(電話すれば)お金は入ってくるものだと思っていました。


自分が大好きなアーティストさだまさしさんの有名な曲に『案山子』があります。

歌詞の中に

『手紙が無理なら電話でもいい、金頼むの一言でもいい』

実家を離れて暮らしている淳一はこの歌詞とは真逆で電話をかけると『お金』の催促ばかり。
親不孝ものの大バカ野郎です。

最初は母親の判断で父には黙って振り込みを続けてくれていましたが、頻繁に振り込みが続いてきたためにとうとう父親に相談したのでしょう。

淳一「また、振り込みをお願い。」

母親「日曜日に浅草に行くから、たまには顔見せなさい。」

指定された喫茶店に着くと母親と父親、ベビーカーには甥っ子。

父親から烈火の如く説教をされます。

母親が封筒を差し出し、奪いさるようにその場を立ち去ります。

中身は5万円。

その時の心境は、

『2万円ではなく5万円入っていてラッキー。』

そんな気持ちでした。
完全に感覚が狂っています。


数日後、いつものように、お金に困りますが母親にはお金を頼めません。

淳一「お米を送ってくれないか?」

悩んだ淳一はお金は無理でも米ならいいだろうと思い電話。


後日、宅急便でお米が届きます。

段ボール箱を開封するとお米の下に封筒が…。


表書きには、

『おばあちゃんから』

中をあけると2万円。


この時、ハッと我に返りました。

『このままでは駄目だ!!』

『なにくそ!!』

と自分を奮い起たせ重い腰をあげ、借金返済を計画します。