パナソニック、植物並みの効率で有機物を生成する「人工光合成システム」を開発

パナソニック先端技術研究所のグループは、世界最高の太陽エネルギー変換効率で有機物を生成する「人工光合成システム」を開発しました。今回実現した、効率0.2%は、バイオマスで使用される植物と同等です。

人工光合成は、植物のように太陽光を使って水と二酸化炭素から酸素と有機物を生成する技術で、地球温暖化とエネルギー問題を同時に解決できる夢の技術として、現在世界中で研究が行われています。

"この装置は、我々が開発した人工光合成の仕組みをデモンストレーションする装置です。こちらの電極に光を当てると二酸化炭素が還元される反応が起こります。反応が起こった所は、今は黄色いですが、だんだん緑になっていきます。この部分が二酸化炭素が実際に反応し、エネルギー源が生まれている部分です。"

反応のメカニズムはこうです。まず光電極を水に入れて光を当てます。すると、光が吸収され、水分子が反応することにより、電子、酸素分子、水素イオンが生成されます。このうち電子は、電線を通って触媒電極に移動し、二酸化炭素と水素イオンと反応します。この還元反応により、ギ酸を主とする有機物が生成されます。

このような二酸化炭素の変換には、光で電荷電子を高いエネルギー状態にまで持ち上げることが必要です。今回、パナソニックは、LED照明などに使われている窒化物半導体を光電極に使用することで、電荷電子を二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態まで高めることができることを初めて見出しました。

これは、太陽光での実験の様子です。実際の太陽光照射による実験においても、化学反応による電子の移動が電極間の電流として観測されます。

さらに、金属触媒の材料設計によって、生成する有機物の種類を変えることも可能です。研究所では、最新のマシンを導入して、分析を行っています。

"二酸化炭素は、反応させるといろんなものに生成物が分かれていきます。今はギ酸というものが主にできていますが、今後はギ酸ではなくて、炭化水素やアルコールなど有用なものに持っていきたいと考えています。今までどういった触媒を用いてどういった環境でやればどういったものができるかというのは、研究者が一人ずつ一個一個実験していたんですが、この装置では、組成や反応の条件を変えて8つの実験を同時にできるので、いままでよりもハイスループットにシステマティックに研究開発が行えます。"

パナソニックは、今後エタノールの生成で植物並みの効率の実現を目指しています。さらに、将来への展望として、工場やプラントなどから排出される二酸化炭素を吸収し、エタノールを生成する人工光合成プラントを稼働させたいとしています。




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