第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加したオッペンハイマーは、優秀な科学者たちを率いて、世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。やがて冷戦がおこり、激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった―。
昨年の年頭にアカデミー賞をたくさん受賞して話題になった、「オッペンハイマー」。やっぱ、傑作でした。下の動画を見た時、山崎監督が褒めていたのでビデオになったら見てみようと思っていました。今なら、アマプラで見放題です。
原爆が実際に投下された映像が使われなかったという批判をよく見ましたが、そういう映像を入れてもいいけど重要性は低いかなと思いました。
重要なストーリーが2つ語られる。オッペンハイマーが、原爆投下して広島や長崎の惨状や死者数を知った後、予想よりも多かったことに愕然とし、水爆の開発の反対派になること。
そしてストローズとの確執。プリンストン高級研究所の所長にオッペンハイマーを招聘しようとした理事のストローズが公衆の面前でオッペンハイマーに馬鹿にされたことを恨み、オッペンハイマーを陥れようとするところ。
映画の中で、一番優れた表現だと思ったのは、原爆投下の成功に開発チームの人々がひな壇に並びオッペンハイマーのスピーチを聞く場面。スピーチでは、祝いの言葉を話しているのに、最初は、普通に映っていた人々がオッペンハイマーがセリフを言うたびに、原爆の熱光線に曝されたように白くなり、皮膚がはげたようになり、最後姿を消してしまうシーン。オッペンハイマーの罪悪感が、我知らず、発露される。
戦争は総力戦ですから、どちらの国も持てるリソースをつぎ込んで武器開発をするでしょうから、日本の側にその能力と資源があったら、日本が原爆を開発したかもしれない。民間人を犠牲にしたことを問題視するのは正しいでしょうが、原爆を悪と決めつけてかかるのはよくないと思います。