2045年。全ての国家を震撼させる経済災害「全世界同時デフォルト」の発生と、AIの爆発的な進化により、世界は計画的且つ持続可能な戦争“サスティナブル・ウォー”へと突入した。
 電脳社会に突如出現した新人類“ポスト・ヒューマン”による電脳犯罪を阻止すべく、総理の密命により再び組織される公安9課。日本においてポスト・ヒューマンに覚醒したとされるシマムラタカシの捜索中に失踪したトグサを追い、全身義体のサイボーグ・草薙素子率いる公安9課は、先の大戦で廃墟と化した東京へと向かう。そこで草薙たちを待ち受けていたのは、自らを「N」と名乗る難民集団と、介入するアメリカの特殊部隊だった。奪取された原子力潜水艦による核大戦の危機が迫るなか、公安9課、アメリカ、ポスト・ヒューマンによる三つ巴の戦闘が激化していく――。

 

  シーズン1の設定で、経済ジャーナリスト系の人からかなりツッコミの入った“世界同時デフォルト”ですけど、私も正直「それは、ちょっと変じゃないか?」と思ってました。“世界同時株安”ならわかるんですけど・・・。誰かの借金は、誰かの貸付金なんで・・・、全員借りてるような、もしくは全員が貸してるような設定は変だよね。通貨の違いもなくなってるの?とか・・・。
 
 シーズン2は、そういう違和感うけませんでした。
 
 このシリーズの主役は、バトーとプリンかな・・・?バトーと素子を恋愛成就させられなくて、バトーが可哀想なので、プリンがバトーに片思いする設定にしたのかもしれません。そういうとこ制作者も考えるんでしょうね。私的には、プリンは素子の分身なのでは?と思いました。
 
 もう一人の主役は、シマムラタカシ。 彼の14才からの成長がこの事件を起こしてる。
最初は、自作のゲームとか作ってる。シーズン1の最終話で明かされる子供の時の従妹のユズが警察に殺されてしまう事件。タカシは、オーウェルの“1984”をくれた空挺部隊の男と一緒に立ち去る。そこにトグサが居合わせてトグサも一緒に車に乗る。
 ユズは、その後もタカシにしか見えない存在として彼に寄り添い続ける。同級生のカナミが教師にセクハラを受ける場面で、彼女を助けられないタカシの妄想の中で戦争が起きる。そして、空挺部隊が助けに来たと思ったら、空挺部隊はタカシを撃ち殺す。
 次の日何もなかったかのような教室。ユズが言う。「空挺さんは、タカシくんだよ。」
これって、虫も殺せない優しい男の子の内面を物語にしてる。
 人を殺せないタカシは、シンクポルというコードを書く。そしてカナミを苦しめた教師を集団の力で殺す。ここで、教師殺しに参加した生徒の数人が、「カナミのことも嫌い(いい子ぶって、上から目線で・・・)だった」とつぶやくのを聞く。
 民主主義(多数決)でも、人は心の平安を得られない。
 多分、そこから人がそれぞれの夢を生きるコード(Miniluv?)へと進んでいく。それと同時に、タカシは“1A84”に感染し、ポストヒューマンになる。
 
 ジョージ・オーウェルの“1984”って、読んでないのに読んだフリしてしまう本の1位だって(笑)。昔、私よんだんですけど、Big Brotherっていう支配者のことしか覚えてないです(笑)。ソ連がまだ健在だった時代ですから、全体主義、権威主義にたいする批判と捉えられてますが、全体主義を恐れすぎるといことは自分がそれに惹かれていることを無視することだと考えられますから、民主主義の個人の自由とそれに伴う責任が引き起こす不安とストレスにたいする皮肉に聞こえるような気もします。
 
 アメリカが作った“1A84”という人をポストヒューマンにしてしまうコードの名前ですけど、Aは16進数の9の次の数字ですよね。バイナリコードって、コンピュータに認識できる数字が0か1かの2桁なので、0000から1111までの順列数が2×2×2×2で16になるんです。一つの数字や文字を4桁のバイナリコードで表すわけです。
 “1984”の次のバージョンだよ、ということですね。
 
 トグサは、常に準主役というか、彼は普通の人代表なんですよね。手柄を立てて出世して結婚を約束してる女性や未来の家族を幸せにしようという夢を抱く。声も山寺さんがやってるから、微妙な声の表現自由自在ですし・・・。
 トグサの記憶の場面が妙にリアリティーない。雪の中で薄着で飲まず食わずなのに、どうして生きてられるの?
 16年前の若いトグサと言うことになってるけど場所はどこ?ソ連の矯正収容所みたいなシベリアを思い起こさせる場所で、出てくる用語がすごく左翼らしい。“総括”、“粛清”、“解放”。なんか左翼全体主義国家のイメージですね。
 この後に“N”を見せるので、全体主義国家の負の部分を先に見せているようです。
 
 Nですけど、人によって何を意味するかは、マチマチなイニシャル。9課の課長の荒巻は、Nを“難民”と呼んでいます。“ニュートラル”、“ノスタルジア”など、いろいろ考えられますね。
 そして、“Nぽ”は、これって、ネット用語の“ダメポ”から来てる気がするのは私だけでしょうか?ネット民で違法なことをしてた人が、警察に踏み込まれて、「もうだめ、ポリスが・・・。」と書こうとしたポリスという言葉の途中で書き込みができなくなったので、できた言葉だと聞いて笑ったことがありますけど、“Nぽ”の「ぽ」はポリスのことなんじゃないかな?Nを取り締まる側の奴らの意味。
 
 そして、アメリカっていうアングロサクソン系国家のありようをすごくリアルに描いてました。英米系の国って、本性は“海賊”。一見紳士的にふるまって見せるけど、強欲で、自分の利益を全体の利益という言葉の中に隠す名人。
 今回、中国が背景にも全く出てきません。中国の台頭は終わったってことですね。ロシアも亡命先を探すせこいスパイが出てくるだけ。ウクライナ侵攻で、プーチンの頭の中いまだ19世紀だと世界にバレたので、そんな扱いも仕方ないです。
 
 
 プリンと素子の差。素子は、全身義体なのにゴーストがある。でも、プリンにはない。AIが進化したからでしょうか?プリンが射殺されたときに、頭を撃たれていなかったので、すぐに脳を取り出せばよかったのでは?ということを言ってたネットレヴューを見ました。
 今、ここへきてGhostって何だったの?と言うことになりますが、生命として連続している根拠ということでしょうか?“意識”?わかりません。
 
 最後、素子はタカシの首の後ろのコードを引き抜いたのでしょうか?多分ね。そうじゃないと、世界は平和になって、続編不要になるもんね・・・。
 
身も蓋もないこと言ってすいません。