天国から来た大投手 十、レッツ・プレー・ボール 153 | 六月の虫のブログ

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三回からは森次郎がマウンドに立った。一塁を守っていたデニスがキャッチャーのポジションについた。待ってましたと浩輔は森次郎に乗り移った。浩輔はデニスに「七十パーセントの力で投げるから」と耳打ちした。相手の三番バッターにツーシームのムービングファーストボールを投げた。バッターは見逃し、ストライクワン。次はスライダーに空振り、ストライクツー。最後は高めのムービングファーストボールに手を出して、三振。次の四番打者もカットボールとムービングファーストボールで、ツーストライクと追い込んだ。すると相手MCCのベンチの選手三人が、マウンドの浩輔に向かって「五ドル」と叫んだ。浩輔が彼らの方を見ると、彼らは「俺達の四番バッターを三振に討ち取ったら、五ドルやるよ」と言って浩輔を挑発した。浩輔は「本当だね。合計十五ドルだよ」と彼らに念を押した。浩輔はデニスに「九十パーセントに上げるよ」と大きな声で言ってウインクした。

浩輔は九十パーセントの力、つまり本番と同じ力で、ムービングファーストボールを投げ込んだ。球速が九十マイル半ば、百五十キロを越えるボールに相手の四番バッターは、完全に振り遅れて三振した。浩輔は相手ベンチを見て、ウインクした。浩輔は結局三イニングを投げて、九打者連続三振のパーフェクトに抑えた。バットに当てたバッターは一人もいなかった。打つ方でも二打席連続ホームランを打ち、四打数四安打の大活躍だ。MCCの選手やコーチは浩輔、森次郎のピッチングとバッティングに驚きを隠せないでいる。スタンドのジュディ達は大喜びだ。ミスターZもベンチに戻るたびに「スーパー(凄い)」を連発している。試合は三対五で負けたが、勝ったMCCベンチの空気の方が重そうだった。この試合で練習試合が三試合目のMCCに対して、初戦のロバートソン高校チームは大健闘したと言えるだろう。浩輔は、マサーリもジョンソンもそこそこ行けそうだと感じていた。特にマサーリは、早慶高校の沢口に匹敵する能力があるかもしれないと思った。試合の後、MCCの選手三人が十五ドル持ってきたが、森次郎は受け取らなかった。

         
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