天国から来た大投手 十、レッツ・プレー・ボール 152 | 六月の虫のブログ

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金曜日の練習試合は、地元のモントレーコミュニティカレッジ(MCC)の野球チームとの対戦だ。相手は大学生で、腕試しには丁度いい。浩輔は久し振りの実戦に少し興奮しているようだ。アメリカの高校野球は七イニングまでで、九イニングまである日本の高校野球より負担は少ない。練習試合では、二イニングをブライアン・マッサリが、次の三イニングを森次郎が、最後の二イニングをブライアン・ジョンソンが投げる予定だ。ミスターZは、この三人の先発ピッチャーでシーズンを戦うことにしている。他にも三人のリーリーフピッチャーがいる。アメリカの野球シーズンは三月中旬から五月の中旬までの約二ヶ月間で、四十試合くらいを戦う。平日に二試合、土曜日には二試合、日曜日にも試合をする。ピッチャーが一人や二人では、シーズンを乗り切れない。アメリカでは日本の高校野球のように連投はないし、一試合百球以上は投げさせない。一試合、七イニングだから、百球までで完投するのもそう難しくない。

森次郎は、四番レフトで先発した。先攻はMCC、マサーリは初回のMCCの攻撃を一失点で切り抜けた。一回裏のロバートソン高校の攻撃は三者凡退で終わった。二回表、マサーリはツーアウトを取った後、八番バッターに二塁打を打たれ九番バッターにヒットを打たれて一点、一番バッターにヒットを打たれて、ランナー一塁、二塁となった。続く二番バッターは、レフト前にヒット。森次郎は素早くボールを取ると、本塁に矢のような送球、ストライクで本塁に走り込んだ二塁ランナーはタッチアウト。ランナーはもちろん、MCCのベンチも驚嘆した。スタンドにいるジュディ、メグとネイサンは大喜びだ。森次郎はベンチに戻る途中、マサーリとグラブでハイタッチした。

 二回裏のロバートソン高校の攻撃は、四番の森次郎からだ。森次郎はゆっくりバッターボックスに入ると、スパイクで足場をならした。森次郎がバットを構えると、ピッチャーが投げた。速球がほぼ真ん中に入ってきた。森次郎は思いっきりボールを叩いた。打球はレフトフェンスの遥か上を越えて行った。森次郎は顔色も変えず、ベースを一周した。相手ピッチャーをはじめ、MCCの選手や監督も唖然としている。相手ピッチャーは気落ちしたのか、五番バッターのマサーリにもヒットを打たれた。次のバッターも四球で歩いたが、七番バッターが外野フライに倒れ、二回の攻撃を終えた。



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