天国から来た大投手 八、小さな友人 123 | 六月の虫のブログ

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感謝祭の休暇が終わった火曜日の朝、コーチのヤングが森次郎にグッドニュースがあると朝食前に寮の部屋にやって来た。ヤングは「モリ、君がカリフォルニア州、高校フットボールの最優秀選手に選ばれたんだよ」と言って、森次郎に抱きついた。トムは「すごいじゃないか、モリ。これで全米の大学から奨学金のオファーがあるよ」と言った。森次郎は二人の興奮をよそに、そのことについてピンとこなかった。ヤングは「今朝のアセンブリーで皆に報告するよ。表彰式は来週の金曜日、サンフランシスコで行われるそうだ」と言い残して部屋を出た。

森次郎は、表彰式にネイサンとメグ、そして美盤とジュディに出席してくれるよう頼んだ。優秀選手には、デニスとルースターも選ばれており、チームメイト達も出席することになっている。最優秀選手の森次郎にはスピーチをするように言われている。ローカルテレビ局も取材に来るらしい。森次郎は、生まれて初めて、タキシードを着ることになった。

表彰式の当日、スクールバスに乗って皆でサンフランシスコに向かった。最優秀選手賞のトロフィーを授与しに、元ハリウッドスターの知事が来るらしい。表彰式の会場に到着すると、美盤とジュディが入り口前で待っていた。ジュディはタキシード姿の森次郎を見るなり「立派な紳士ね。もう一度恋に落ちそう」と微笑んで頬にキスをした。美盤は「森次郎、ところでスピーチは大丈夫なの」と訊いた。森次郎は「まあね」と言って、会場に入った。

会場に入ると、司会者が森次郎に進行について説明に来た。司会者は、まず森次郎の名前の発音を確認した。それから、「優秀選手の表彰の後、森次郎が活躍しているゲームのハイライト映像を流す。この後、知事が登場し、トロフィーを授与する。最後に、森次郎のスピーチで締めくくる」と説明した。森次郎は司会者に、映像の後すぐにスピーチさせて欲しいと頼んだ。司会者は、誰かと相談に行き、戻ってくると、森次郎の希望どおりにすると告げた。




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