天国から来た大投手 八、小さな友人 110 | 六月の虫のブログ

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次の金曜日、ネイサンが現れない。ゲームは、あと二十分で始まる。森次郎は、携帯電話でメグに連絡した。メグは、ネイサンが熱を出して、入院していると説明した。森次郎は、メグが泣きながら電話を取ったのが、すごく気になった。森次郎がチームメイトやコーチにネイサンが入院していることを告げると、皆驚いて心配したが、今はこれからの試合に集中した。さすがに準決勝の相手は手強かった。森次郎もパスを通すのに苦労した。デニスもなかなか走れない。前半を終わって、十四対十と何とかリードを保っている。ロッカールームに戻ると、デニスが口を開いた。「皆、日曜日のネイサンのプレー見たよな。ネイサンがここにいたら、彼はきっとこう言うよ。相手は弱いんだから、踏み潰してしまえってね。ネイサンのタックルに負けないような熱いプレーをしようぜ」。コーチは「もっと気迫を見せてくれ。モリ、もっと左右を広く使おう。長いパスだけじゃなく、短いパスも織り交ぜていこう。皆もいいな。病院にいるネイサンの分も頑張って、決勝はネイサンと共に戦おうじゃないか」と締めくくった。

後半のロバートソン高校は、前半とはまったく違ったチームだった。森次郎も投げて走って、大活躍だ。走っては五十ヤード、パスも三百五十ヤードを超えた。デニスも百ヤード以上走った。ディフェンスも激しくタックルして、相手クォーターバックのサックも三回、インターセプトも二回記録した。結局、ロバートソン高校は、四十九対十で圧勝した。浩輔にとっては、モチベーション(やる気、気合、根性)の重要さを実感したゲームだった。浩輔のいたライオンズは、常に優勝争いをしていたので、モチベーションを常に高く保てた。そうでないチームの選手達は、シーズン終盤になると、ゴルフや飲み屋などの話しかしない。それでは勝負に勝てるはずもない。理論だけでは勝負に勝てない。

森次郎はロッカールームに戻ると、メグの携帯に「メグ、ネイサン、試合は圧勝しました。前半は苦戦しましたが、ハーフタイムに皆でネイサンに恥じないゲームにしようと気合を入れ直して、相手チームを踏み潰しました。決勝戦は、早く元気になって、ネイサン自身が僕達に気合を入れに来てね。メグ、今夜はもう遅いのでメールで失礼します。明日の朝、病院に顔を出します。おやすみなさい。モリ」とメールを送った。




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