天国から来た大投手 七、ロバートソン高校 97 | 六月の虫のブログ

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ロバートソン高校フットボールチームは、大差で勝ち続けた。州大会出場まで、あと二勝までこぎつけた。このゲームも前半を終えて、二十八対ゼロで大きくリードしている。第三クォーターに入っても、森次郎のパスは冴え、二つのタッチダウンを奪った。スコアが七十二対ゼロになったのでコーチは、第四クォーターは森次郎を休めることにした。第三クォーターも残りわずか。浩輔が森次郎に言った。「一度でいいからクォーターバックをやらせてよ」。森次郎は「いいけど、あと二プレーくらいしかないよ」と言った。浩輔は森次郎に乗り移り、プレーが再開された。浩輔は見事にルースターにパスを決めた。第三クォーター最後のプレー。浩輔はボールを持ち、パスする相手を探したが、なかなか見つからない。ようやく、デニスがフリーになったのを見て、パスを投げようとした時、「ドーン」浩輔は相手ディフェンスにタックルされフィールドに叩きつけられた。

浩輔は起き上がったが、森次郎の体はフィールドに寝たままだ。浩輔はあせった。森次郎がどうなるのか心配なのと同時に、何ということをしてしまったのだという罪悪感が、浩輔を支配した。浩輔は思わず「ジミー」と叫んだ。すると、ジミーが浩輔の前に現れた。ジミーは「駄目じゃないか。浩輔、君は自分の夢の伝承者として森次郎を導く立場にあるのだよ。君の楽しみのために、森次郎の体を使うなんて、言語道断だよ」と浩輔を注意した。

森次郎は担架で、待機していた救急車に載せられた。浩輔は顔面蒼白で、どうしたらいいのか判らずにいた。ジミーは「浩輔、森次郎は大丈夫だよ。軽い脳震盪を起こしただけさ。君がもう一度森次郎に乗り移って、森次郎に問い掛ければ彼の意識は戻るよ」と言った。浩輔がジミーに言われたとおりにすると、森次郎は目を開けた。浩輔は「モリ、ごめん。もう二度とわがままは言わない。二度と君を危険な目に合わせないから、許して欲しい」と素直に謝った。森次郎は「許すも何も、あれがフットボールですよ、浩輔さん」と言って微笑んだ。

その頃、森次郎の意識が戻ったことを知らない学校関係者は、森次郎の緊急連絡先になっている姉の美盤に連絡した。美盤は、気が動転してどうしたらいいか判らなかった。




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