十六歳のアメリカ ベースボール 三〇、練習試合 108 | 六月の虫のブログ

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 週末、デイヴたちと久し振りにボーリングに行った。ベースボールのチームに入ってからは、ずっとチームのウインドブレーカーを着ていた。ウインドブレーカーは、袖がゴールドで、胴のところがダークグリーンで、右胸のところには背番号(一一)が刺繍してあり、背中にはアイリッシュとプリントされていた。ボクはこのウインドブレーカーが非常に気に入っていた。チームメイト達と一緒に遊んでいる時も楽しいが、やはり少しはどこかで気を使っているようだ。デイヴやボブやリックたちといる時は、全然気を使わなくてもいいし、多少の我がままも言える。デイヴもパーティーの後、遠いハーシャーまでボクを送らなくてもよくなった。確かに学校の行き帰りにスコットの車の中で、シェリーの手と遊ぶことはできなくなったのは残念だが、デイヴたちと近くなったことと、ベースボールができるようになったのでプラス・マイナス・ゼロ。いや、プラスの方がマイナスより上だ。

 カーシャウ家に引っ越して間もない頃、平日だったがデイヴたちを家に招待した。カーシャウ家の地下室にはプール・テーブル(ビリヤード台)があったので、みんなでピザでもつまみながら遊ぼうと思っていた。夕食後の八時に来るように言っていたけど、八時を十五分回ってもデイヴたちは現れなかった。高級住宅街にはよくあることだが、道が途中で行き止まりになったり、円になっていたり、非常に判りにくくなっている。その日学校で、デイヴには道順をしっかり教えたはずなのに、三十分経っても来ないので、その辺を迷ってくるくる回っているのだろうと思い、ボクは外に探しに出た。ベースボール・チームのウインドブレーカーを着て、辺りをきょろきょろ見渡していると、一台の車がボクの前で止まった。車を見て、それがデイヴたちでないのはすぐに判った。車には若い大人の男女が乗っていた。助手席の方の窓から女の人が顔を出し、ボクを手招いた。ボクが車の彼女の前まで行くと、運転席の男の人が、ボクに「どこかまで乗せていってあげようか」 (”Do you need a ride?) と尋ねた。ボクは、「友達が道に迷ったと思って、探しているだけだ」と彼らに説明した。するとその男の人は、ボクが困っていると思って声を掛けたということだった。また、普通なら声を掛けないが、ボクがマクナマラ高校のジャケットを着ているので声を掛けたらしい。彼はマクナマラ高校の卒業生だった。ボクは丁寧に彼らにお礼を言うと、家に戻った。結局、その晩、デイヴたちは現れなかった。一時間以上道に迷って、探すのをあきらめて帰ったとのことだった。


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カーシャウ邸、平屋建てで地下室があって奥行きが広く中庭がある。